ABILITY Presentsプロが語る作編曲のノウハウ

高藤大樹氏直伝 DAWを活用した曲作りの進め方【第1回:閃いたメロディを打ち込みシンプルな伴奏を作る(作曲編)】

高藤大樹氏直伝 DAWを活用した曲作りの進め方【第1回:閃いたメロディを打ち込みシンプルな伴奏を作る(作曲編)】

2020/11/30

SPYAIR、flumpool、安室奈美恵など著名なアーティストのライブやレコーディングのサポート、映画やアニメ、TVCMなどのBGM制作など、キーボードプレイヤー/コンポーザー/アレンジャーとして様々な音楽をプロデュースする高藤氏。ここでは3回に渡って「作曲、アレンジ、レコーディング〜ミックス」という曲作りの流れとノウハウを解説していただく予定です。また、そんなプロのセンスやテクニックを取り入れた音楽制作を可能とするインターネット社のDAWソフト「ABILITY」の打ち込み/作曲支援機能、オーディオ機能についても紹介します。その1回目となる「作曲編」では、メロディ作りのコツと、ドラム、ベース、ピアノによるシンプルな伴奏を作るまでをお届けしましょう。

取材:平沢栄司 写真:小貝和夫


【連載の目次】
(連載1回目:作曲編)
https://tunegate.me/P20201124001
(連載2回目:編曲編)
https://tunegate.me/P20210125005
(連載3回目:録音&ミックス編)
https://tunegate.me/P20210319004


 

高藤さんインタビュー

【Step1】頭の中で吟味したメロディをDAWへと打ち込み仕上げていく

──高藤さんは、どんなときにメロディが思い浮かびますか。また、どうやって形にしていくのでしょうか?

高藤:まず、何を伝えたいかを決めて、歌う人のイメージをしっかりと自分の中に作ってからメロディを考えます。閃いたものが歌えると一番なんですが、歌は苦手なのでピアノを弾きながら頭の中にメロディを思い浮かべるんです。その時、必ずしも時間軸に沿って作るわけではないんですよ。例えば、J-POPだったらサビが命なので、5パターンくらいのサビを考えて比較したり組み合わせたりしてみる。そして、そのサビを生かすためのAメロやBメロを考えるという流れです。メロディができあがったらリアルタイム入力でDAWへと打ち込みます。その後、ここは高い音域に集中してるなとか、もっと下から上へレンジを広げてみようとか、逆に跳躍の幅が広すぎるとか、気になったところをDAW上で調整して仕上げていきます。

──メロディを作る上で、何か注意すべき点はありますか?

高藤:音程の跳躍ですね。狭い方が収まりがいいし歌い方も自然になる。もちろん、大きく跳躍したいときもありますが、あまり広くすると歌えない人がいるので…。あとは音域。低すぎてもダメだし、高い音域ばかり多様してもいい曲にはならない。歌う人の一番オイシイところを使うべきです。その目安は難しいですが、例えば、「ド」〜「ド」の1オクターブに収める感じでしょうか。男性なら女性の1オクターブ下ですね。やはり、歌メロでは広い音域を縦横無尽に使うのはやめた方がいい。限られた音域の中で、いかに良いメロディを作るかってことが重要なんです。
 

ABILITY活用術1

自分にマッチした入力方法を選択してメロディが打ち込める

様々な入力方法が用意されているABILITYならば、自分の知識や技量、そして好みに合わせて閃いたメロディが打ち込めます。各種入力法を併用したり、入力後に別の入力法による修正もできるので、効率よく打ち込み、より良いメロディへと仕上げていくことが可能です。
 

・楽器が演奏できなくても大丈夫

画面上の五線譜に音符を打ち込んでいく「スコア入力」や、音符をグラフィカルに表示する画面で直感的に打ち込む「ピアノロール入力」があります。それぞれの入力画面には、音符を数値データ化してキメ細かな入力やエディットが可能な「数値入力」も用意されています。
 

ABILITY01▲「スコア入力」
ABILITY02▲「ピアノロール入力」

 

・鍵盤を弾いたり、鼻歌を歌っての入力も可能

MIDIキーボードがあれば、テンポに合わせて弾いたままを記録する「リアルタイム入力」や、パソコンで音符の長さを選択しキーボードで音程を指定して打ち込んでいく「ステップ入力」がお勧めです。更に、オーディオ機能を利用して、マイクに向かって歌った鼻歌で音符データが打ち込める「Sing to Score機能」も装備されてます。

「Sing to Score機能」▲「Sing to Score機能」
 
高藤さんのサウンド1

 

高藤さんインタビュー

【Step2】メロディにコードを付ける〜ピアノの伴奏を打ち込む

──メロディにコードを付けるときの考え方と具体的な選び方は?

高藤:まず、メロディに対して冒険をしない…できるだけシンプルなコードにするというのが自分の中での基準です。コードをつける場合、理論から考えないのであればメロディを構成している音を参考にするのが一番だと思います。例えば、メロに「ミ」があるならば「ミ」を含むコードから選ぶみたいな感じですね。あと、コードは1つの小節の中に2つくらいまでにしたいというのもあります。それも、そんなに跳ばない…奇抜なコードではなく、スムーズにつながる相性のいいコード、例えば、連なるコードの中に共通の音があるものを選ぶんです。

──コード・パートを打ち込むときのコツを教えてください

高藤:ピアノの音色でコード・パートを打ち込むならば、メロディの音をコードの一番上に持ってくるよう意識すると上手くいくと思います。例えば、「ドミソ」も「ミソド」も「ソドミ」も「C」じゃないですか。そのとき、メロが「ド」のあたりを弾いているならば、「ミソド」と重ねてトップの音を合わせるんです。すると、収まりもいいしメロディを強調することにもなります。ピアノの打ち込みが苦手なギタリストの人は、この辺を意識するだけでも全然違ってきますよ。
 

ABILITY活用術2

コードやコード進行の知識がなくてもメロディにコードが付けられる

ABILITYには、メロディにコードを付けたり、コード・パートを打ち込むための支援機能が用意されています。コードの知識に不安があったり打ち込みが苦手な人でも、効率よくコード・パートの作成ができます。
 

・どんなコードを付ければいいのか判らない…

メロディは作れるけどコードは苦手という人は「コード判定」機能を使ってみましょう。ABILITYがメロディを解析して自動的にコード進行を提案してくれます。メロディと一緒に試聴し、気に入ったものを選んで「コード・トラック」へと入力します。
 

ABILITY04▲「コード判定」機能
 

・もっと簡単にコードのパートを打ち込みたい

誰でも簡単にコード名からコードを打ち込めるのが「コード・パッド」です。入力中の曲で使用できるコードが一覧表示され、マウスの操作で試聴したり「コード・トラック」へコード名を入力することができます。
 

ABILITY05▲「コード・パッド」
 
ABILITY06▲「コード・トラック」

 

そして、MIDIトラックへ和音を打ち込むときは「和音入力」機能が便利です。画面で指定したコード名かコード・トラック上のコード名を参照して、クリック一発で和音の構成音が一括で入力できます。
 

ABILITY07▲「和音入力」機能
 

さらに「フレーズ・トラック」を活用すれば、マウスでドラッグするだけで1小節目の演奏を元にコード・トラックのコード進行に応じて変換されたコード・パートが作成できます。また、エディタ画面を開くとコードの転回形(音の重ね方)の指定もできるため、キーボードで弾くような自然な繋がりのあるコード演奏になります。
 

ABILITY08▲「フレーズ・トラック」
 

★ピアノ・パートを演奏している音源はコレだ! 高品位なサウンドを奏でるピアノ音源「Model D」

ABILITY Proには、コード・パートの演奏に最適なピアノ音源「Model D」が付属されています。しっとりとした音色から明るく派手な音色まで、大容量波形によるリアルかつ繊細なサウンドは、アンサンブルのコード・パートはもちろん、ソロピアノの演奏に耐えうるクオリティを持っています。
 

ABILITY09▲「Model D」

 
高藤さんのサウンド2
高藤さんのサウンド3
高藤さんインタビュー

【Step3】メロディに似合うリズムを考えてドラムを打ち込む

──ドラムのリズムを考えるとき、何を注意すればいいですか?

高藤:まずは、メロディにマッチするリズムであること。それと、打ち込み系なのか生ドラムなのかを決めておく。生だったらメロディに対してドラマーが叩いてるような人間味があるものにしたいし、打ち込み系ならば逆にそういうのは無視してソリッドにするんです。

──高藤さんはどうやってリズムを打ち込んでいるのですか?

高藤:自分の場合、同じパターンの繰り返しでもコピペはしません。ドラムを叩くようにリアルタイム入力である程度の長さを一気に入力します。テンポ的にキツいときは、キックとスネアだけ先に録ってから後でシンバル系やタムを重ねたりはしますね。
特に、ハイハットの強弱は、コピペしない方が人間味が出るんですよ。キックやスネアも表拍は強く裏拍は弱めにする。それは、ベロシティをいくつに設定するという話ではなくて、メロディに対してどう表現するかを考えながら演奏すれば自然と決まってくるものなんです。

──リアルタイム入力ができない人は、どうすればいいですか?

高藤:パターンを打ち込んだら、まず、強弱をエディットするといいと思います。ただ、BFDなどのドラム音源ではベロシティによって強弱だけでなく波形も切り換わるんですが、波形が違うとグルーブも変わってくるので注意してください。そして、ジャストの演奏で違和感を感じたならばタイミングを微調整してみると。でも、最近のドラム音源は性能がいいので、ジャストで打ち込んでも音色にグルーブがあったりして自然に聴こえることが多いんですよ。
 

ABILITY活用術3

繰り返しの多いドラムが効率よく打ち込めるステップ・シーケンサー

ドラムを叩くようにリアルタイム入力する以外にも、他のパートと同様に「ピアノロール・エディタ」や「スコア・エディタ」を使ってリズムを打ち込むことができます。
 

ABILITY10▲「ピアノロール・エディタ」
 
ABILITY11▲「スコア・エディタ」
 

また、「ステップ・シーケンサー」を利用すれば、反復が多いリズムが効率よく打ち込めます。入力方法は、縦軸に並ぶドラム音色のリスト横に並ぶ発音タイミングを指定するボタンをON/OFFするだけと簡単。各ボタンの下に表示されるバーで強弱の調整も容易です。そして、入力したパターンをマウスでドラッグすれば、そのリズムが繰り返し演奏されます。
 

ABILITY12▲「ステップ・シーケンサー」
 
ABILITY13

▲マウスのドラッグ操作で簡単にリズムを繰り返すことができる
 

★ドラム・パートを演奏している音源はコレだ! プロが使う高性能ドラム音源「BFD」の弟分「BFD Eco」

リアルなサウンドとスタジオ・レコーディングに匹敵するキメ細かな調整でプロのユーザーも多いドラム音源「BFD」。ABILITY Proには、必要十分な音色バリエーションと機能に絞り込んだ「BFD Eco」が付属。ロックやポップスに欠かせないドラム・パートのクオリティがアップします。

※収録のドラム音源は2021年4月1日以降、IK Multimedia MODO DRUM SEに変更されています。MODO DRUM SEは、フィジカル・モデリングによるサウンドの生成と先進のサンプ リング技術によるカスタマイズを実現するドラム音源です。
 

ABILITY14▲「BFD Eco」

 
高藤さんのサウンド4
高藤さんインタビュー

【Step4】コードのルートでベースを打ち込む

──ベースラインを考えるときのコツを教えてください

高藤:自分の場合、冒険しすぎたベースは嫌いなので、やっぱり、ルートをちゃんと鳴らして歌を支えることを考えます。だから、最初はルートの8分弾きで十分だと思いますよ。そこから変化させるなら休符ですね。例えば、スネアのタイミングを休符にして抜くとか、キックと一緒のリズムになるよう休符やノートの長さで調整するんです。

──ルート以外の音に動いていくときには何を意識すればいいですか?

高藤:音程を動かす時は、メロディと当たらないようにコードの音を意識すると収まりはいいですね。動かす場所は、次のコードへと進む手前とか4小節目の切り返しのところ、あとは歌が動いていないところでベースが動くのはアリです。サンプル曲では、前半の8分弾きに対して、後半は歌に合いの手をいれるようにマイナーのペンタトニックや半音の動きを入れたベースラインになっているので聴いてみてください。

──打ち込みの8分弾きで機械っぽさ回避する方法はありますか?

高藤:まず、各ノートの長さをギリギリまで伸ばすことです。特にロック系のベースは短く切らない方がいい。ファンクならキレキレの方がカッコいいですけど、ロックやアップテンポの曲で音価が短いとヘンになっちゃうので。それと、コード・チェンジ後の最初の音のベロシティを強くしてアクセントを付けるといいと思います。
 

ABILITY活用術4

ピアノロール画面でルート8分弾きベースをエディットしてみよう

最初から完成したフレーズを打ち込むだけでなく、入力後に修正を加えながら仕上げていくことができるのも打ち込みのメリットです。
 

ピアノロール・エディタでのルート8分弾きベースの打ち込みは、ノート・パレットで「8分音符」を選択した後、ルートの音程と8分刻みのグリッド線との交点のマスクリックして「ノート」を入力していきます。
 

ABILITY15▲ノート・パレットでの打ち込み
 

例えば、休符を入れたければ、入力ツールを消しゴムモードに切り替えて任意のノートをクリックするだけでOK。また、ノートの前後をドラッグすれば音符の長さを変えることも可能です。そして、次のコードのルートへと滑らかに動かしたいなら、ノートを上下にドラッグすると音程が変更できます。
 

ABILITY16▲ピアノロール・エディタでのエディット
 

★ベース・パートを演奏している音源はコレだ! 多彩な音色で曲作りをサポートする音源「SampleTank4 SE」

ABILITY Proに付属の「SampleTank4 SE」は、膨大な数の音色を内蔵。ベースならばプレシジョン・ベースやジャズ・ベースなどの種類の違いや、指弾き/ピック弾き/スラップといった奏法の違いを含めたバリエーションが多数用意され、楽曲やフレーズに最適な音色が選択できます。
 

ABILITY17▲「SampleTank4 SE」に内蔵されているベース

 
高藤さんのサウンド5

 

高藤さんのサウンド6

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆


次回の「編曲編」は、今回作成したメロディと伴奏を元したアレンジの進め方を解説します。
 

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高藤大樹

高藤大樹=PROFILE>
Producer/ Arranger/ Composer/ Keyboard Player

4歳より音楽教室へ通い始めピアノやエレクトーンを習い始める。幼少の時からアンサンブルの楽しさを知り、14歳の時シンセサイザーやMTRを使い始め、当時の黄金ヒットを意識した楽曲制作を始める。20歳の頃よりアーティストのサポート・キーボードや、作編曲家としてプロのキャリアをスタート。SPYAIR、flumpoolをはじめとする数多くのアーティストのツアーやライブに参加するほか、さまざまな楽曲プロデュース、作曲、編曲を行なっている。近年は音楽の幅を広め映画やアニメの劇伴、企業CM、各種ショーの音楽制作、そして地方自治体のPR用音楽なども積極的に手がけている。ライブでは常にキャッチーで歌心を大事にした音作りや演奏を心がけ、アーティストからも絶大な信頼を得ている。制作ではリスナーを第一に考え、どんな時も琴線に響く音色をモットーに創作を行う。これからの時代をアーティストや作品ごとにしっかりと考え、柔軟に他のセクションとの調和やプロジェクトの向かうべき方向を的確に見据える能力やセンスも各所にて定評を得ている。


https://www.soundbahn.tokyo

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