出産の瞬間までを綴ったエッセイにも注目!
大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』インタビュー
大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』インタビュー
2016/03/14
大森靖子が、前作『洗脳』から1年3ヶ月ぶりとなるメジャー第2弾フルアルバム『TOKYO BLACK HOLE』を3月23日にリリースする。アルバムには昨年7月にリリースされた「マジックミラー / さっちゃんのセクシーカレー」、最新両A面シングル「愛してる.com / 劇的JOY!ビフォーアフター」を含む全13曲を収録。また完全生産限定盤には、自身の出産の瞬間までの1ヶ月間を綴った200ページに渡るエッセイも付いており、直木賞作家の朝井リョウには「彼女が小説家でなくてよかった」と言わしめたほどだ。音楽だけではなく、文章の才能にも注目が集まる大森靖子。ファン必見のインタビューだ!
取材:東 徹夜
子供ってどんどん成長して行くし、一瞬一瞬を見逃さないようにすると全然時間が足りない。
──今回のアルバム『TOKYO BLACK HOLE』の完全生産限定盤には、出産までを綴ったエッセイが付いていますよね。出産1ヶ月前に原稿を書くのは大変じゃなかったですか?
大森:そうですね。実際は書き切れないものを箇条書きにして、後で思い出しながら書いたりもしてます。でも、以前はブログも書いてましたし、連載もやっているので、“大変”ってほどではなかったです。妊娠中はほんとに頭が働かないんですね。あとで何にも覚えてないんですよ。だから文字に残しておかないと、というのはありました。今は残しておいて良かったなと思ってます。
──アルバムには13曲が収録されていますが、出産後に作った曲というのは?
大森:6曲目「SHINPIN」と、3曲目、4曲目の歌詞ですね。歌詞は結構書き直してます。
──6曲目「SHINPIN」を作るにあたって、曲作りや歌詞のアプローチで何か変化はありましたか?
大森:6曲目に関しては、出産の前か後かというよりも、アレンジャーのサクライケンタさんありきで描いたというところで他とはアプローチが違います。実はアルバムが完成する前は12曲しかなくて。私は奇数が好きなので、収録曲は11か13がいいなと思っていたんですね。で、11の曲数少なめは今のCD業界的にトレンドに近く、13はどちらかというと社会のノリに近く。自分は情報量の多い13でいこうと。言葉数とかも多い、盛り盛りな感じにしたいと思って。それで、ずんねのプロデュースで一緒に仕事をしたサクライくんとやりたいということになり、彼のアレンジが好きなので、基本的にそれを引き立たせたく、あえて強いメロディーとかを付けないようにして原曲デモを作りました。
──なるほど。
大森:出産って意味では、3曲目の歌詞を変えた方が関係あるのかなと思います。
──それはどういったところですか?
大森:ハロプロが好きで、夏のコンサートを見にいったときに、色んな新ユニットの新しい輝きが盛りだくさんすぎて、もうあっち見たりこっち見たりで眼球が足りないとおもって。そういうアイドルの青春を燃やして産んでくれている奇跡を見逃すのがつらいって曲をつくっていたんです。で、子供産んでから、新生児って秒単位で表情が変わるんですよ。どんどん成長して行くし、一瞬一瞬を見逃さないようにすると全然時間が足りないんです。ああ意外に母性でハロコンをみていたんだなーと、歌詞の重心を少しずらして、結果は同じなんですけど、好きな子の成長においつきたい、その全部知っていたい、呼吸する暇もない、みたいな焦燥感を曲に出したいと思いました。
──サウンドプロデュースは亀田さんですよね?
大森:そうです。この曲は言葉数も多く、言葉主体でメロディをつくったので譜割がおかしくなるんです。その原曲そのままで成立するように曲をアレンジして頂いた感じです。
──デモを亀田さんに渡すときは、フル尺で自分でアコギを弾いたものを渡すのですか?
大森:はい。自宅で簡単に録れるようにしてあって。アコギで弾いて、ボーカルも録ります。
──それは小型レコーダーにですか、それともパソコンに?
大森:パソコンに録ります。でも、私がパソコンを使い切れていないので、知り合いに来てもらって。で、それができないときはiPhoneに録ったのを送ります。
──今回、亀田さん以外にも新たなプロデューサーとしてミトさんを迎えられていますよね。1曲目の「TOKYO BLACK HOLE」では、ミトさんとはどのようなやり取りを?
大森:ミトさんにデモをお送りしたら、バリエーションの違うアレンジを8パターンくらい作ってくださったようで。結果、私の原曲の熱量をそのまま出すアレンジがいいだろうってことになったと伺いました。全部の言葉や音、気持ちみたいなものを丁寧に拾ってくれて、それに感動して表題曲にしました。
──そもそも「TOKYO BLACK HOLE」はいつ頃作られた曲なのですか?
大森:曲自体は去年の1月くらいだと思います。でも、歌詞は出産前あたりに相当書き直しています。
──曲の頭から書いていったものを何度も書き直した感じですか?
大森:そうですね。“地獄~地獄”とかは音にはめて作ったんですけど。あとは原型がないくらい書き直しています。安達哲さんの「さくらの唄」という漫画が好きで、この曲はそのエネルギー感で行きたいなと思ったので、漫画を何度も読み返しながら作りました。
──この曲のタイトルはいつ頃付けたのですか?
大森:曲もアルバムも全部できて、最後の最後です。最初、歌詞にある“ZERO SENCE”という零戦とかけている言葉があるんですけど、これにしようかなと思っていたんです。でも、アー写(宣材用のアーティスト写真)を撮るときにイメージを教えてくださいって言われて。で、「東京ブラックホールみたいな感じで」って送って。あれ、これすごくいいよねってことになって。
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