出産の瞬間までを綴ったエッセイにも注目!
大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』インタビュー
大森靖子『TOKYO BLACK HOLE』インタビュー
2016/03/14
“私は今、飢えて死んでもいいから踊りたい”みたいなアルバムを作ったつもりです。
──11曲目「無修正ロマンティック〜延長戦〜」では直枝さんとデュエットもされていますよね。始めからデュエットソングを書こうと思って作ったのですか?
大森:いいえ。これに関しては、直枝さんとも長い付き合いなので、アルバムでは1曲お願いしようと思っていたんです。で、お願いしたら、歌詞がある方がやりやすいとのことだったので、歌詞を渡しました。そしたら直枝さんの歌ったデモが帰って来たんですよ。そのデモの声がめちゃ良くて。“ぜひデュエットでやりましょう”ってことになったんです。1人で歌うには、年齢も違うし、ちぐはぐした言葉が並び過ぎてるし。“ヨガ教室”と“サークルクラッシャー”は並ばないですよね。それを成立させるには、もう2人いるしかないというのもあって。直枝さんの口癖の“ヤケ酒しようぜ!”っていうのを私が断るって構図になっているし。
──“ヨガ教室”のところもそうですけど、歌詞に“中央線”って言葉も何度か出てきますね?
大森:そうですね。住んでたので。
──レコーディングはどのように進められたのですか?
大森:順番に録っていきました。直枝さんのデモの声を聴きながらまず私が録って。その後に直枝さんの本チャンを録る感じでした。
──デュエットソングがアルバムに入った感想はいかがですか?
大森:気持ちいいですね。いいアクセントというか。
──12曲目の「給食当番制反対」もユニークなタイトルですが、この曲はいつ頃作られたのですか?
大森:去年の1月にいっぱい曲を作ってたんですけど、その頃に作りました。この曲は歌詞というより「給食当番制反対」というタイトルから思い付いて。青が赤になっていくというのが書きたかったんです。
──というと?
大森:朝から夕焼けになっていくんですよ。
──なるほど。学校での出来事が朝から描かれているわけですね。
大森:それと、生まれて死ぬことを重ねて。学校で一日が始まって終わるように、生まれて死ぬっていうのを表現したくて。“ママにつくってもらった手編みのマフラー カーテンレールにぶら下げて”で自殺するのは実話で。
──こういった曲の歌詞を考えているときも頭にはメロディーが鳴っているのですか?
大森:言葉数が多く、意味を持たせてストーリーもしっかりある歌詞の時は、あえてメロディーをつまらなくするんですよ。ベタに。メロディーが面白いとストーリーが抜けて行ってしまうので。あえてメロディーは沈めて考えた曲です。
──13曲目「少女漫画少年漫画」は非常に壮大なアレンジがされていますが、始めからアルバムの最後にふさわしい編曲をお願いしたのですか?
大森:いいえ。もともと全部の曲のレコーディングが終わるまで、アルバムの曲順は決めてなかったです。この曲は、この人に頼んだらどんなアレンジになるかが読めない状態でオファーをだして、楽しみだったんです。で、出来上がったらすごく壮大で、ラストにもってきました。
──この曲の歌詞のお気に入りポイントを上げるとすると?
大森:ぜんぶですけど、今の気分で1行あげるとしたら“既にだれかが踏み潰した明日が転がって ぼくらは使い古しの明日を生きる”ですかね。これは私自身も実感としてありますね。
──文才も高く評価されている大森さんですが、普段から曲のタイトルや歌詞などはスッと思い付く方なのですか?
大森:曲によりますね。撚り出すこともありますし、パッと思い付いて書くこともあります。
──子供の頃から本をよく読むとか、国語が得意な子だったんですか?
大森:本は全然読めなくて。納得しないと次の行に進めないんですよ。だから10ページ目くらいまで読んで止めるというのを繰り返してきて。でも、国語はできました。日記やブログは毎日3,000字書いてて。
──何歳くらいの頃ですか?
大森:高校生くらいの時ですね。ネットがあったんで、とにかく自分の言いたいことを整理して、“3,000字書く”というのを自分に課して。それは毎日やってました。
──なぜやろうと思ったのですか?
大森:たぶん、考えなくなるのが怖かったから。思考しなくなって、知識が止まって、知恵を得なくなって。ちょっとしたことで何も感じられなくなるのが怖くて。それをできるようにちゃんとやってただけで。誰に見せたいとかもないし、人に読ませる文章じゃないからぐちゃぐちゃだったし。
──なるほど。では、最後に改めて今回のアルバムの聴き所とファンへのメッセージをお願いします。
大森:1曲1曲を濃くし過ぎたので聴き所が難しいんですけど(笑)。とにかく、熱量と気合いだけは伝わると思うので、何か感じる曲があれば、その曲を広げていって、じっくりと聴いてもらえたらうれしいです。“私は今、飢えて死んでもいいから踊りたい”みたいなアルバムを作ったつもりなので、みんなの根底というか、毎日を過ごすエネルギーにつながればいいなと思います。
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