RYUICHI、INORAN 、H.Hayamaの3人からなる音楽ユニットが放つ10年ぶりのオリジナルアルバム
Tourbillon『Life is beautiful』インタビュー
Tourbillon『Life is beautiful』インタビュー
2016/10/14
河村:7月から8月にかけてですね。
──ドラムに沼澤尚さん、ベースにTOKIEさんが参加されていますが、レコーディングではどのようなことを話されたのですか?
河村:僕らから特に指示をするということはなかったです。タカさんもTOKIEさんも現場でのキャリアが長い方なので、僕らは彼らがどう来るかっていうのをある程度予想しながらお呼びして、二人も僕らの求めるものを分かったうえでレコーディングに臨んでくれているので。だから細かい所でいちいち指示をすることは皆無だし(笑)、タカさんらしく、TOKIEさんらしく演奏してもらうっていうのが基本ですね。僕らが何かを言うとしても “もう少し激しい感じも試してもらっていいですか?” とか “淡々とした雰囲気で演奏したらどうなるか聴かせてください” とかそのくらいかな。
──LUNA SEAの場合はどうですか?
河村:LUNA SEAのレコーディングは、リズム録りの時点から5人で入って僕も仮歌を入れたりするんですけど、やっぱり指示を出すことはあまりないですね。作曲のクレジットは5人全員になっていますけど、それぞれの曲にその曲の元々のモチーフを持ち込んだ人間が必ずいて。その人が例えば “もうちょっとギターのニュアンスこうなんだよな” とか “ベースがもうちょっと動くとどうなるかな?” とか、そういったことは言いますね。
──曲ごとに中心人物が変わるのですね。
河村:はい。でも、そういった曲の方向性に関する話以外は“阿吽”じゃないんですけど、他のメンバーが “きっとこうくる” と想像してデモを出したりしてますね。デモテープのときから打ち込んだドラムが真矢くんっぽかったりとか(笑)。でもそれは葉山くんもそうだよね。デモのときからドラムがタカさんのイメージで打ち込んである。
葉山:そうですね(笑)
──お互いに信頼があってこそですね。
河村:はい。だから僕自身の好みはあるけど “誰が良くて、誰が悪い” といった議論にはならないですよ。スター選手が揃って演奏するのがTourbillonのライブだったりレコーディングなので。
──豪華なメンツが揃っていますよね。
河村:そうなんです。だから参加してくれている土屋正巳さん、沼澤尚さん、TOKIEさんというメンバーの誰か一人でも替わったら、全然音楽が変わったしまうと思うんです。例えば葉山くんの楽曲はプログレッシブというか、リズムが速くて難しい曲が多くて。そういった曲に対してタカさんはリズムに乗るのが難しい所を粘土みたいに “ベトッ” と叩くことで “ドラムが凄いことをやってる!” と感じさせずにプレイすることができるんですよ。これってホントに凄いことで。
──どういうことでしょうか?
河村:もし、その箇所を完璧に叩きこなす “鋭利な” ドラマーになると、僕は “ここ演奏が難しい所だな” と感じながら歌ってしまうと思うんです。タカさんはそういう意識なく自然に歌わせてくれるんですよ。タカさんとトッキ—のコンビは10年前にもやってもらいましたけど、 “息が合ってるな” と思うし、リハーサルでも何でも気持ちよく演奏できますね。
──ドラマーによってかなりフィーリングは変わってくるのですか?
河村:変わります。極端に言えばキックの音が“ディッ”って鳴る人もいれば“ドーン”っていう人もいて。バスドラムの音像が変わっただけでも同じ曲がゆったり聴こえたり、タイトに聴こえたりと物凄く変化しますよ。
──葉山さんはレコーディングにはどういった機材を持ち込まれましたか?
葉山:スタジオは隆一さんのスタジオを使わせてもらったんですけど、そこにグランドピアノが置いてあるのでピアノはそれを、オルガンはハモンドを使って、あとはシンセサイザーをずらっと並べて、デモを聴きながら“どの音を乗せよう?”という作業をずーっとやっていましたね(笑)。
──ちなみにシンセサイザーはどんなものを採用されましたか?
葉山:全部言うと膨大な量になってしまうんですが、今回凄く活躍してくれたのはビンテージシンセの「Memory Moog」です。このシンセは代替機種が沢山あって、当初は他のシンセのサウンドを使っていたんですが、試しにちょっと本物を鳴らしてみたらそれが断然良い音だったんです。テイストは同じなのに “代替機種と本物でこんなに違うんだ” って衝撃を受けましたね。
──アナログシンセは “太い”とか “存在感がある” と言われますが、そういった感じでしょうか?
葉山:そういうことです。純アナログの良さを再認識しました。
河村:ボーカリストからの視点だとライブで足元のモニターから返すときに、デジタルシンセは音量を上げてもコード感が感じられずにアタックだけが強くなってしまう感じがあるんですよ。音の “太い/太くない” ってそこなんだろうなって思います。
葉山:音色に対する“中身の詰まり具合”なんですかね?
河村:アナログってやっぱり音程やコード感が凄くあるんだよね。音の粒立ちも違うし、葉山くんの言うとおり“詰まってる”感じがする。
葉山:例えば自宅で “全部ソフトシンセで作ります” っていう音楽もあるじゃないですか。その場合はバランスが取れて良いんですよね。でも、いざマイクを通した生音が曲の中に入ってくると凄くバランスが取りにくいんですよ。
河村:打ち込みで全て完結する音楽だったらそっちの方がいいのかもしれないね。だけど僕らはドラムもベースもギターも全部生で録ってるから、アナログシンセの方が馴染みやすいんだと思う。デジタルだとフェーダーを上げないと聞こえてこないよね。
──なるほど。では、最後に10月以降のライブに向けて、その意気込みとファンへのメッセージをお願いします。
葉山:皆さんの前で初めて演奏する曲が今回多いので、僕たちの変化や進化を楽しみにしてもらいたいし、僕たちもすごく楽しみにしています。
河村:自分でいうとおこがましいかもしれませんが、Tourbillonって今のシーンには無い音楽だと思うんです。だから、アルバムを聴いて興味を持たれた方はぜひライブに来て頂いて。それがどのように演奏されるかを体験してほしいですね。立体的、映像的な音像を共に楽しみたいですね。
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