11月26日 東京・六本木 EX THEATER ROPPONGI
筋肉少女帯「再結成10周年 パーフェクトベストTOUR」ファイナル公演をレポート
筋肉少女帯「再結成10周年 パーフェクトベストTOUR」ファイナル公演をレポート
2016/11/28
午後6時を少し回った頃、場内が暗転。華やかなSEが鳴ると、客席からは早速熱い声援が飛ぶ。まずは大槻ケンヂ(Vo)が現れ、ドラムセット前にずらりと並べられた5着の特攻服の中から1着を選び、袖を通す。続いてステージに現れた橘高文彦(G)、本城聡章(G)、内田雄一郎(B)のシルエットからも、ロックバンドのなんたるかを背中で語るような雰囲気が滲み出ている。バンド再結成10周年の心境を巧みに綴った1曲目の「めでてえな?」で会場をひとつに束ね、続く「仲直りのテーマ」でフロアの熱気はいきなり最高潮に。このパーフェクトベストツアーが、筋少を見守る人々のさまざまな想いを乗せて各地を回ってきたことが伝わってくる。
「再結成から10周年、俺たちも40代から50代になったぜ!これからもお互いに年を取り続けようぜ!」と大槻が叫ぶ。パッションに満ちた演奏はもちろん、どんな面白トークが飛び出すかわからないMCは、今宵も絶好調だ。イントロから絶頂に導く「トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く、4人の息の合ったラップの掛け合いがたまらない「ワインライダー・フォーエバー(筋少 Ver.)」、目の前の困難をすべてなぎ倒すかのような「タチムカウ」等、ライブならではの躍動感が心地よい。全国のサラリーマンがカラオケで歌い叫ぶことをイメージした最新シングル「人から箱男」(筋少×カラオケDAMコラボ曲)の疾走感にも、一筋縄ではいかない迫力がある。
本編中盤、「新人バンドのテーマ」「パノラマ島失敗談」「蓮華畑」が続けて披露された箇所は、筋少という稀有なバンドの歴史をしっとりと噛みしめることのできる贅沢なひと時。激烈なハードロックを奏でる一方で、聴く者一人ひとりに語りかけるようなナンバーで魅了するのも、彼らのニクいところだ。
華麗なスピードチューン「恋の蜜蜂飛行」を合図に、本編は終盤に突撃。祝祭の日にふさわしいゴージャスな音で畳みかけ、最後は「ツアーファイナル」が場内に高らかに響きわたる。この曲が着地点を迎え、オーディエンスが最上級の幸せに浸る頃、時計は午後8時頃を指していた。あっという間にも程がある。
この場を離れがたい観客の声に応えて、アンコールでは「孤島の鬼」と「中2病の神ドロシー(筋肉少女帯メジャーデビュー25th記念曲)」がフロアを筋少色に染め上げてゆく。ラストは必殺の「釈迦」で締めくくると、ステージに向けて、惜しみない拍手と歓声が送られていた。
終わってみれば、再結成以降にリリースした楽曲から厳選されたベスト盤『再結成10周年パーフェクトベスト+2』の収録曲を中心に据えた、眩いばかりのセットリスト。再結成以降の10年間も、筋肉少女帯が旺盛な創作意欲で活動し、その姿をファンも愉しみ続けてきたことを物語る、特別なツアーファイナルとなった。
この夜のMCで大槻が観客に語りかけた言葉が印象的だ。「10年間ありがとう!心からそう思います。再結成する前も素晴らしい日々だったけど、再結成してからの10年は楽しかったよ!普通のロックバンドみたいなことを言いますけど、オーディエンスのみんなのおかげですよ!いつまでも新人バンドの気持ちでやっていこうと思います!」
そんな彼らの年内最後のワンマンライブは、12月23日の恵比寿LIQUIDROOM公演を残すのみ。聴く者の心の隙間に揺さぶりをかける筋肉少女帯の未来に、期待が膨らむばかりだ。
TEXT BY 志村つくね
セットリスト
「再結成10周年 パーフェクトベストTOUR
〈セットリスト〉
1. めでてえな?(バンド再結成10周年の歌)
2. 仲直りのテーマ
3. トリフィドの日が来ても二人だけは生き抜く
4. ワインライダー・フォーエバー(筋少 Ver.)
5. タチムカウ
6. 人から箱男(筋少×カラオケDAMコラボ曲)
7. 枕投げ営業
8. 週替わりの奇跡の神話
9. 新人バンドのテーマ
10. パノラマ島失敗談
11. 蓮華畑
12. 恋の蜜蜂飛行
13. 混ぜるな危険
14. ムツオさん
15. ツアーファイナル
EN1.
1. 孤島の鬼
2. 中2病の神ドロシー(筋肉少女帯メジャーデビュー25th記念曲)
3. 釈迦
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