‟アジアの賛美歌”と称された伸びやかな高音を持つシンガー

伊東真紀『Voyage』インタビュー

伊東真紀『Voyage』インタビュー

2017/03/10


100本以上のCMソングを歌い、海外でのリリース経験もあるシンガーソングライターの伊東真紀が、2016年11月26日に待望の1stアルバム『Voyage』をリリースした。本作は共同プロデューサーとしてピアニストの秋田慎治を迎えた他、土岐英史などジャズ界のスーパープレイヤー達が参加。そして、映画『モダン・タイムス』のテーマソング「Smile」やジョン・レノン「Imagine」といった名曲のカバーに加えて、彼女自身のオリジナル曲で構成されており、近年稀にみるAOR感満載の1枚となっている。インタビューでは、アルバムの聴きどころや海外での活動、マイクへのこだわりなどについても聞いてみた。
取材:斎藤一幸(編集部)

 

──まず、1stアルバム『Voyage』はどのようなコンセプトで制作されたのでしょうか?

伊東:『Voyage』というタイトルですが、英語で “出航“や “航海” といった意味があります。船の航海は天気が晴れの日もあれば嵐の日もあるように、聴いている一人一人の毎日にも穏やかな日もあれば、辛い時もあると思うんですね。『Voyage』は日常誰もが感じる何気ない心模様を描写して、明日への光を贈りたい、そんなメッセージを込めて詞を綴りました。私の声とそのメッセージが“聴いてくれるみんなの毎日にずっと寄り添いたい“という思いと『Voyage』というタイトル通り、“みんなに伝えたい私の音楽の始まり“という想いも込めて制作しました。

──今作は自身が作詞作曲されたオリジナルを7曲収録していますが、アルバムのために作られたのでしょうか?

伊東:今回のアルバムに関しては、期限をまったく決めてなかったので、自分が作りたいと思う曲をただひたすら作っていました。そして「じゃあ、そろそろアルバムができるかな」というタイミングが来たのでスゴく自然な感じで2年間かけて作りました。

──それでは収録曲についてお聞きします。まず1曲目の「アネモイ」ですが、1曲目からメロディアスなサビが印象的ですね。個人的にもっとジャズっぽい曲をイメージしていたので驚きました。オリジナル全曲に言えることですが、メロディがキャッチーですよね。

伊東:ありがとうございます。やっぱり通ってきたのが歌謡曲の世代なので(笑)。

──ただコテコテの歌謡曲じゃなく、筒美恭平さんのようなテンション系の入ったサウンドですね。

伊東:そうなんです。私はいわゆるオシャレサウンド大好きで、90年代の女性ボーカルものを口ずさんでいたので、そのころのメロディが染みついているんでしょうね。

──3曲目のカバー曲「Smile」ですが、この曲はライブでも良く歌われてるのですか?

伊東:はい、4年ぐらい歌ってます。今作『Voyage』全般に言えることなんですが、伝えたいメッセージがある曲以外は選曲しなかったんですね。「Smile」に関しては、チャップリンが映画『モダン・タイムス』のテーマ曲として書いてるんですけど、彼自身の中に「Smile」という曲に対する想いがとても深いものが根付いているんですね。チャップリンは反戦平和のメッセージを作品に込めた平和論者です。その為にアメリカから国外追放処分になっていた時期があります。「Smile」は”どんなに辛く哀しくても”微笑み”を忘れないで。微笑むことで、心が変わってくる。哀しみに別れを告げるんだ。やがて世界だって変えることができる。人生はまだまだこれから、ここからはじまるんだ!”という様なメッセージが込められている曲だと思い歌っているので、今回皆さんとそういう想いをシェアしたくて収録しました。
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『Voyage』

¥3,000(税込)
High Hopes Sound


1.アネモイ
2.側にいたキミへ
3.Smile
4.moments of change
5.Imagine
6.with you
7.Life
8.永遠の場所
9.Human Nature
10.Moon River
11.ただそれだけで
12.夢

ライブ情報

・2017年5月12日(金) 
アートカフェフレンズ
Open: 18:00〜/Start: 19:30〜
渋谷区恵比寿南1-7-8 B1F
問い合わせ:03 (6382) 9050
料金:¥4,000-(1stDrink+¥500)
出演:伊東真紀(vocal) 秋田慎治(piano)

・2017年5月28日(日)
隠れ家・篁醇亭 KOJYUNTEI
昼の部 Start: 16:00〜17:15
夜の部 Start: 19:00〜20:15
甲府市美咲 1-17-6
予約問い合わせ:055(252)2228

昼の部:¥4,000 -
夜の部:¥4,000-
昼・夜通し:¥7,000-
※お食事(要予約限定)
17:50〜18:50  ¥2,500-
出演:伊東真紀(vocal) 秋田慎治(piano)

・2017年6月24日(土)
名古屋Swing
Open: 18:00〜/Start: 19:30〜
名古屋市中区東桜2-18-24 B1
予約問い合わせ:052(932)1328
(18時〜0時)
料金 : ¥3,500-(予約) /¥4,000-(当日)
出演:伊東真紀(vocal) 秋田慎治(piano)

伊東真紀(イトウマキ)

SanFrancisco Conservatory of MusicにてVocal Workを学び、帰国後、本格的に活動を開始。
DJ HideoKobayashiのFeat.Voをした「new globe」はドイツの音楽サイトBesonic.comで、3ヶ月連続1位になり、のびやかな高音が絶賛され一躍脚光を浴びる”アジアの賛美歌”と呼ばれ、アメリカ、フランス、ベルギーでリリース。
パリでリリースされたコンピレーションアルバム”Eyes on Tokyo”では阪本龍一氏や久石譲氏と並び、自身が唄った楽曲が収録された。
その一方で、真紀の豊な感性と音楽性を生かし、多くのCMソングにも参加。
「2020年オリンピック招致」「ニュークレラップ」「マクドナルド」「ビヒダスヨーグルト」など100本以上のCMソングでお茶の間に親しまれる。
中国国営放送のアニメ”Kitten Dream”に楽曲提供を行ない、日本・韓国・アメリカでテレビ放送された・アニメ「黒神」の劇中歌を英詞作詞・歌唱。ジャンルや国境にとらわれずグローバルに活躍をしている。
自身で作詞・作曲をした楽曲の発表のみならず、独自の表現でJazz、BossaNova、Popsを追求し続け、全国のライヴシーンで活躍。東日本大震災後「new globe」をフリーダウンロードでリリース。
2013年4月リリースの最新「幸せへ/My Love」(ダブルA面・T-TOC Records)では、編曲・共同プロデューサーに内池秀和(作曲家)を迎えてレコーディング。中西俊博(vl)、江口信夫(dr)、天野清継(gt)、菅原裕紀(per)、村上聖(ba)、林正樹(pf)と”幸せ"をテーマにあたたかい良質ポップスの作品に仕上げた。
2014年10月 ギタリスト・川崎燎氏の薦めによりエストニアライブを行なう。
また、2015年12月20日はじめて日本で作詞作曲をしてレコーディングをした曲『心の花』『gift』がデジタル配信リリース。
2016年11月16日待望の国内初のファーストアルバム「Voyage」をリリース。
日常誰もが感じている一瞬の心模様を描写した日本語と英語の歌詞の世界は、明日へ光を贈るメッセージが込め、共同プロデュースに秋田慎治を迎え、土岐英史(A.Sax,S.Sax)、秋田慎治(Pf)、平石カツミ(Ba)、藤井摂(Dr)、荻原亮(Gt)とエレクトリックとアコースティック、JazzとPopsが融合したサウンドに仕上げた。自身の書き下ろし7曲、カヴァー4曲・スマイル、イマジン、ヒューマンネイチャー、ムーンリヴァー、秋田慎治との共作1曲を収録。
空間を優しく包み、心の琴線にそっと触れる歌声は、国内外で高く評価されている。

 

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