──松居さんの楽曲はピアノだけでなく様々な楽器がリードを取ってますが、リード楽器によってメロディーラインを変えたりするのですか。それともメロディーラインに合った楽器を選ぶのですか。

松居：今回の場合は割とアンサンブル的な作りになっているので、後から「この楽器でリードを取らせよう」と決めていく事は有りましたけれど、曲によっては「あっ、この曲は“カーク・ウェイラム”のサックスで」みたいなことはありますね。曲が生まれてきた時から“これっ”というものもあります。

──TuneGateの読者は、曲を作っている方が多いのでさらにお聞きしますが、楽器によってメロディーの持って行き方とか奏で方があると思います。松居さんはその辺りも合わせて作られているのですか。特に松居さんの場合、メロディーは重要なポイントですよね。

松居：私の場合は、まず聴こえてきたものを書き留めるか、録音してそれを全部譜面にして、まず核になるメロディーを仕上げます。その後、アレンジしていく過程で、ピアノ以外の楽器にパートをふる場合は、例えばサクソフォンなら、ソプラノかアルト等、一番鳴りの良い音域に合わせて移調/転調しますね。ピアノ的なメロディをサックスにする場合はここでトリルはやめてこうしようとか変化させますね。

──そうやって生まれた今回のアルバムですが、全米ビルボードのコンテンポラリージャズ・チャートで初登場1位という、日本人としては初めてなんですよね。

松居：発売の次の週にランキング1位ということは、それだけ待ち望んでいた人達がいてくれたということで、ほんとうにファンに感謝ですね。全米ビルボード1位は「Deep Blue」に続いて2回目なんですけれど、今回はプラスiTunes JAZZで1位だったんですよ。その時は「あぁ、うれしい」と思って自分で写真を撮りました。マイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー」やトニー・ベネット&レディー・ガガのコラボレーションアルバムよりも上で1位だったんです。私は知らなかったんですけど、レコード会社やマネージャーはチェックしていて、「congratulation！」って言ってきて、メールが飛び交ってました。

──取材とか結構来たんじゃないですか。

松居：２度目の１位という事で特に取材が来た訳では無いですが、リリース前後では、ラジオ・新聞など色々なところで、ニューリリースとして、特集が組まれたり、インタビューも多かったですね。日本からの取材もありましたね。アメリカにおいてはアルバム発売記念ツアーとしてコンサートを続けていました。「みんなのおかげで1位になったよ」という感謝の気持ちで各地を巡ってました。