シングル収録曲4曲の作詞・作曲エピソードを公開!
高橋 優「ルポルタージュ」インタビュー
高橋 優「ルポルタージュ」インタビュー
2017/11/22
──では、続いて2曲目の「羅針盤」についてお伺いします。こちらは最近CMなどでもよく耳にしますが、どのようなきっかけで生まれた曲なのですか?
きっかけとしては、アクサさんからタイアップのお話を頂いて、CMコンセプトや会社の経営理念などをお伺いしたことです。
──その後、曲作りはどのような感じで?
アクサさんのテーマ自体が、普段から僕の歌わんとしていることとあまりズレていないと思ったし、それならば今自分が作りたいものを書けばいいなと。Aメロとか、わりと即興ちっくに弾きと語りが出てきて。
──そもそも、普段の曲作りは家でやっているのですか? それともスタジオに入って?
どっちもあるんですけど、とにかく1人でやるんですよ。最近ではテレビに出させてもらうこともあるんですが、テレビ局の楽屋で作ることもあります。そういう時も1人にさせてもらって。
──集中するために?
はい。僕の場合、誰かいると一気にやれなくなります。
──それは昔からですか?
そうですね。自分のペースで何かしたいときに誰かがいると気を使っちゃうんですよね。曲を作っていること自体にもどこか恥ずかしいというか、決して恥ずかしいことをしているわけじゃないんですけどね、仕事だし(笑)。でも、何か恥ずかしい工程を見られているような気がして。
──これだけたくさんの曲を作っていると、以前作ったコード進行に似ているなとか、この前書いた歌詞にそっくりだなとか。そのような葛藤に陥ることもありますか?
はい。でも、その意識があるときはたいてい上手くいかないです。過去に意識が向いていること自体、僕の中では結構失敗作に向かっているというか。もちろん、過去に書いた曲に似ていることもあるんですけど、そういうことに意識が向いていないときの方ができます。「やっちゃえ〜!」みたいな感じで作ったときの方が、似てても何でもとりあえずできちゃう。で、その後、似ている部分だけ手直しすればいいし。ただ、書く前からそういうことを意識して、例えばスタッフから「また、明日はきっといい日になるみたいな曲が聴きたいな」とか言われたら、もうおしまいですね(笑)。それを意識しちゃったら、俺もう絶対できないなと思います。そのぐらい、曲を書くときは真っさらな状態で何か書きたいと思うことが大切で。そういう時ならば「明日はきっといい日になる」や「虹」に似てても、違うのができるんです。
──毎回、何か湧き出てくるものが出るのを待つわけですね。
そうですね。「作りたい!」っていうテンションの時とか、「作るのが好き!」って思ってやっている時が一番いいと思います。
──曲を作る時はアコギで?
家にボロボロのギブソンの小っちゃいのがあって。カッタウェイの。でも、アコギを持たずに作曲することもあります。
──アコギを持たない時はどのように?
上手く伝わるかわからないですけど、例えば、「六本木1丁目にワーナーが移った」というのにメロディーを付けるとして。アコギを持っているとGから始めてDに行きたくなるとか、自然ときれいな感じになっていくんです。でも、「六本木っ、1丁目にっ、ワーナーが移った〜」と酔っぱらったみたいに歌って、それにコードを当てると全然違うものができるんです。そういう作り方も楽しくて、時々わざとそんなことをすることがあります。
──そういう遊びというか、試みは昔からやっていたのですか?
ここ3〜4年、近年の方が多いですね。
──長年ギターで曲を作ると、どうしても手癖的なものが出てきますよね。ところで、高橋さんご自身は今までどのようにギターを習得されてきたのですか?
僕のスタートは、X JAPANのhideさんへの憧れで。hide with Spread Beaverの「ROCKET DIVE」や「ピンク スパイダー」、「Beauty & Stupid」をコピーしたかったことなんです。
──エレキギターなんですね。
そうです。一番最初に買ったギターはエレキギターです。hideさんと同じ形なんですけど、偽物の安いやつで(笑)。で、弾きだしたんですけど、エレキギターはそれ単体だとあまり成立しない楽器じゃないですか。シールドがあって、アンプがあって、エフェクターがあって、ようやく成立するというか。でも、僕はエレキギター以外は何も買えなくて。で、途中、夢半ばにしてhideさんを諦めた日があったんです(笑)。一応、「ピンク スパイダー」とかは弾けるようになったんですよ。でも、しばらくしてまたギターを弾きたくなって、今度は近所の楽器屋でアコギを買ったんです。そんな流れです。
──秋田の楽器屋さんで?
はい。
──最初、アコギではどのような曲を弾いていたのですか?
当時は、歌本に載っていた流行りの曲を片っ端から弾いていました。今でこそ、いろんなサイトがありますけど、僕の中・高生の時はなかったので、分厚い歌本でやってましたね。
──そうだったんですね。では、話を「羅針盤」の方に戻しますが、こちらの曲でこだわったポイントなどを挙げるとすると?
2コーラス目のAメロで「見ず知らずの街 そこに一人ぼっち〜」というのがあるんですけど、これはずっと僕がお世話になっているバーのマスターが話していたことなんです。「職業を決める際とか、自分の道に迷ったらこれを思い出せ!」って言われたことがあって。今、急に知っている人が一人もいないくて、言葉も通じないところにポツンと置かれたら「何して稼ぐ?」って。山登りなら登りだすだろうし、泳ぎ手なら泳ぐだろうし、通訳なら言葉を覚えるでしょうと。「さぁ、お前は何をやるんだ? 物乞いするのか。何もせずにゴロゴロしてたら死んじゃうよ」みたいな。そんなことを言うマスターで。
──なるほど。
目標に向かっていく時に、コンパスというのはずっと北を指していて道に迷わないけど、我々の人生の場合、心のコンパスはないので、いかんせん迷いがちで。今回、アクサのCMで前向きに生きていくことがテーマだったので、この曲の核心部分になったと思っています。
──レコーディングはどのように進められたのですか?
「羅針盤」のレコーディングはいたって順調で。何かにつまずくことなくプリプロをやって、池窪くんと僕の間で「あっ、これだね!」ってすぐに方向性も見つかって。曲調自体も僕の「福笑い」って楽曲だったり、ライブでやるミドルテンポのちょっと跳ね気味なものに近いし、池窪くんも僕もそういう感じを理解していたし、スムーズに録れた気がします。
──レコーディングのメンバーというのは、「ルポルタージュ」と同じだったのですか?
ベース以外は同じです。普段は、よくライブでも弾いてくれている小島タケヒロさんがやってくれていて。この「羅針盤」も小島さんです。ただ、「ルポルタージュ」の時は小島さんのスケジュールが合わなかったので、BahashishiというバンドをやっていたJARIくんにお願いしました。ドラムに関しては、どちらもTRICERATOPSの吉田佳史さんです。
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