よみうりランド内 「日テレらんらんホール」
ユナイト、3月30日に結成8周年記念のワンマンライヴの模様
ユナイト、3月30日に結成8周年記念のワンマンライヴの模様
2019/04/04
ユナイトが誕生して早いもので8年が経った。移り変わりの早いヴィジュアルシーンの中で“終わらないバンド”という命題を掲げ活動してきた彼らにとって、この8年間は決して楽な道のりを歩んできたわけではない。常に笑顔をたやさない5人ではあるが、壁を乗り越えるたびにメンバー間でぶつかったことも一度や二度では済まない。それでも、ここまで長く続けることができたのは、U’s(ユナイトファンの呼称)がいたから。中には、ライヴには行ったことがないけれどずっと応援してきたという人もいるだろうし、最近ユナイトの楽曲を聴いて興味を持ったという人もいるはずだ。どちらも、彼らにとって立派な支えになっていることは間違いない。好きになるのに年月は関係ないし、彼らの曲はどこからでも入りやすい。
とはいえ、さすがに8周年記念のライヴともなれば、メンバーからしたらこれまで作ってきたすべての曲を披露したい気持ちになるところだが、彼らは違った。この日は、華美な演出を一切加えずにバンドスタイルのみでライヴを展開するというシンプルな構成で、U’sを大いに楽しませてくれたのだった。
「8周年始めるよ!」いつもどおりの伸びやかな声で結(Vo)がライヴの始まりを告げると、メンバーカラーの光で埋め尽くされた場内はU’sの笑顔と共に輝きを増していく。最新曲「ビリブオアノ」をオープニングに持ってくるあたり、今の自分たちが1番かっこいいと思うんだけどどうかなという自信が伺える。ふと、ステージ後ろに目をやると、莎奈(Dr)が使用しているバスドラムのフロントヘッドが「ビリブオアノ」のジャケット写真と同じとなっているではないか。
本日のライヴ会場である日テレらんらんホールはよみうりランド内にあるだけに、遊園地には欠かすことのできないメリーゴーランドの絵柄が会場の雰囲気にとてもよく合っていた。ポップな歌声に乗って客席からも合唱が沸き起こる。穏やかな空気が流れる中、ライヴは次へと進んでいった。「無限ピクセル」では椎名未緒(Gt)がカラフルなツインテールを揺らしながら演奏すると、「U-s m e h-」はサビ始まりの曲ということもあって、突き抜けるような爽やかさにU’sは終始楽しそうな表情を浮かべながらメンバーを見つめていく。
その後、「時間は長いですけど最初からガンガン飛ばしていきましょう!」と煽りを入れると、「ナユタの秘密」ではU’sが一斉にジャンプをして曲を盛り上げる。ここでは、サビ部分に入る前にハク(Ba)がベースをリズミカルに奏でることによって、みんなの気持ちを音で引っ張ってくれていたのが印象的だった。
「たくさんのアトラクションのように、色々な僕らを見せたいと思ってます」その言葉を引き金に「good night」と「栞」が演奏されたのだが、その前にチャイナ風のメロディがクセになる「隕石系スタジオパンダ」を披露したのが良かった。先に挙げた2曲は歌を聴かせることに徹底的にこだわっているだけに、歌詞が意味不明で楽しいと話題を呼んだ「隕石系スタジオパンダ」とは楽曲ジャンルが異なっているのは明らかだ。そうやって、同じバンドが作ったとは思えないぐらいのギャップを1つのライヴで見せてくれるのがユナイトの良いところ。だが、楽曲のタイプが違うとはいっても、瞬時にして場の雰囲気を切り替えるのはなかなか難しい。それでも「色々な僕らを見せたいと思っている」と言っただけあって、この後の見せ方には感心してしまった。
「栞」から「Kud’」へと場面は変わり、演奏が終わるとすぐに楽器隊はステージの袖へとはけたのだが、ステージに1人残った結が客席すべての視線を集める中で、「イオ-PiANO COSMiC-」を歌い上げたのだった。その堂々としたたたずまいから、8年という歳月をかけてユナイトのフロントを守ってきたのが彼で良かったと思わせてくれた。
歌い終わりにお辞儀をして袖に一端はけると、入れ替わるようにして楽器隊がステージに戻ってきた。4人だけで演奏された「ユニコーン」は、この周年ライヴのために作られたというインスト曲。みんなからの反響が良ければ今後音源化することがあるかもしれない、とこの後のMCで言っていたのだが、ライヴでのU’sの反応を観るかぎり、音源化される日も遠くはないはずだ。
ここからライヴは中盤戦。インスト曲を間に挟んだことによって、ダレることなく「silence dreamer」へとつながった。「この会場をダンスホールにしようよ!」という合図で始まった「Romantic☆Trampoline」は、「隕石系パンダ」同様、歌詞の面白さが特徴的だ。「Romantic☆Trampoline」の作詞・作曲を手掛けたのはLiN(Gt)なのだが、ユナイト結成当初から飛び道具的な楽曲を作るのが得意な彼にとって、こうした摩訶不思議系の楽曲は朝飯前と言っていいだろう。
よく、アイドルへの褒め言葉として、あの子はアイドルになるために生まれてきたと言う人がいるが、LiNの場合はヴィジュアル系をやるために生まれてきたんじゃないかと思うことがある。それだけ、楽曲を通して自分のプロデュースの仕方がうまい。だが、ユナイトが全員LiNのようだったら、それはそれでつまらない。それぞれがちゃんと個性を持って曲を表現しているからこそ、1つの集合体として成り立っているのだ。「その調子で、この後のライヴもみんなで作っていこう!」と、「ubique」の後に結が客席に声をかけると、そこから雰囲気は一転、激しいモードへと突入した。
「離見」をきっかけに、未緒とLiNが同時にギターを回す姿が華やかだった「FCW」、結が楽しそうに「声出してみようか、もっと!もっと!」と煽りを入れて「失望エミュレイター」へと続くと、この会場がホールだということを忘れてしまったのではないかというぐらいの暴れ方で曲の世界観に入っていくU’s。そこに、「イタダキマス」の台詞が人気のハードナンバー「ice」が投下されたものだから、火に油を注ぐような勢いで盛り上がりが加速していった。
「楽しい時間は早いもので、もう18曲、あっという間だね。もうちょっとやってほしい?もっと声出せんじゃないの? ラストスパート飛ばしていこうか!」ライヴが後半へと進む頃にはみんなバテてしまうだろうと思っていたのだが、ステージも客席も疲れを知らない。むしろ、1曲ごとにますます元気になっているようだ。「ジュピタ」を始め、ユナイトの新境地を切り開いたといっても過言ではない「-ハロミュジック-」と、演奏を重ねるにつれてみんなの笑顔が増えていくのがわかる。
「僕らを支えてくれてありがとう!」そう伝えると、8年間の最後の曲として「starting over」が演奏された。カラーテープが舞う中でU’sは隣の席同士で手をつなぎステージを見守る。幸せな気分のまま曲が終わると、「8年間長かったけど、みんなと出会えたからユナイトをやってて良かったと思います。見つけてくれて、好きになってくれて、ありがとう!」
その真っ直ぐな言葉に客席からは温かな拍手が贈られたのだった。この後には、結からU’sに向けて改めて感謝の気持ちが述べられた。意外だったのは、8年間の思いを1人ずつ振り返るという感傷的な場面がなかったこと。それは、彼らがこの先を見ているから。周年ライヴとはいえユナイトはここで終わりではない。その証拠に、夏には新作をリリースするし、ワンマンツアーも行うことが発表された。秋のワンマンツアーも既に決まっているという。そうやって、彼らは未来を見据えて行動している。本編ラスト、活動9年目最初の曲として演奏された「ホワイトスイマー」の後で「願わくは、10年、20年と一緒に笑っていられますように!」と結は言っていた。それが実現するよう、いつまでもユナイトには“終わらないバンド”でいてほしい。
カメラマン:MASANORI FUJIKAWA、nishinaga "saicho" isao
ライター:水谷エリ
UNiTE. 8th Anniversary oneman live [-U&U's oneworld-]
2019年3月30日(土)日テレらんらんホール
SET LIST
01. ビリブオアノ
02. 無限ピクセル
03. U -s m e h-
04. ナユタの秘密
05. ユキノシタ
06. 隕石系スタジオパンダ
07. good night
08. 栞
09. Kud'
10. イオ -PiANO COSMiC-
11. ユニコーン ※instrumental
12. silence dreamer
13. Romantic☆Trampoline
14. ubique
15. 離見
16. FCW
17. 失望エミュレイター
18. ice
19. ジュピタ
20. small world order
21. -ハロミュジック-
22. starting over
23. ホワイトスイマー
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