言葉の壁を歌が越えた夜!

MASH、アメリカ初ライブ感涙レポート!(「自分の夢を信じ続けたその先に、僕は信じられない景色に出会えた」)

MASH、アメリカ初ライブ感涙レポート!(「自分の夢を信じ続けたその先に、僕は信じられない景色に出会えた」)

2019/08/03


MASHMASH

 

MASH
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「いつかポートランドに来てもらいたんだよね、で、向こうで歌ってくれたら、最高だよね。」何年も前からMASHと会うたびに言い続けて来た言葉。多分、出会って、仲良くなってからだから、もう10年以上言い続けて来たかもしれない。特に、僕のポートランドの友人、ポールがMASHの歌詞に惚れ込んで好きになってからは、現実味を帯びたトーンで誘い続けて来た。でも、その頃、MASHに言っていた、「ポートランドで歌ってよ」は、ライブという形ではなく、もっと気軽なものをイメージしていて、例えば、僕らと旅行をして、食事の後とかに、数人の友人たちの前で歌ってくれたらってものだった。なのに、あんな夜が生まれるなんて・・・

会場は、『Portland Roasting Coffee (ポートランド・ロースティング・コーヒー)』。MASHの歌に惚れ込んだ友人ポールが勤める会社だ。元々は、卸専門でポートランドのコーヒー業界を牽引していた会社が、小売に力を入れるため、数年前に作った、カフェ&イベントスペースがあり、そこをライブ会場とした。カフェは、ゆったり50席ほどあり、地域の人たちがそこで会話を楽しんだり、学生が勉強をしているのが当たり前の光景。カフェの横に設けられた大きなイベントスペースは、スタンディングならば、100人以上収容可能なほどの大きさだ。僕ら日本からのポートランドツアーメンバー33名と、現地の日本人コミュニティーの70名ほど合わせて、まさに100名を超える人数がこの日ライブを観ることになった。MASHにとっては、海外初ライブ。初ライブがいきなりそんなに大きなキャパになるなんて、まさか本人も想像していなかっただろうし、無責任なことに、企画者側である僕自身も全く予想だにしていなかった。

MASHのリハーサル。言葉の問題に関しては、僕が間に入って通訳をしようと思っていたけれど、僕も音楽の専門的な言葉をそこまで知っているわけでも無く、また、音の繊細な調整など、ニュアンスを伝えるのが難しいかもと、覚悟してリハーサルに臨んだ。「ギター、OK?」片言の英語でMASHが「ジャーン」と、最初の音をかき鳴らし、曲を弾き始めた瞬間、真剣な眼差しで見つめながら、細かく調整を始める音響スタッフ。「アルペジオの曲の時にマイクのリバーブをもう少しだけかけて欲しいんだけど、アルペジオって英語でなんて言うんだっけ?」そんな使ったことのない言葉だから、調べて伝えようとするやいなや、「この感じの曲の時は、リバーブ、もう少し欲しいんだろ?」二人が、言葉を超えて音楽で会話をする瞬間を目の当たりにした。そして、今振り返ると、この時からMASHのライブは言葉の壁を凌駕し、始まっていた。

「彼はかつてHIPHOPを愛し、ラップをしていましたが、今はギターを手に持ち、シンガーとして活動を続けています。僕らのツアーメンバーのほとんどが愛知県からやって来ましたが、まさに僕たちの街が誇るミュージシャン・・・MASHです!」「ハロー、アイムMASH、フロムジャパン!」片言の英語で挨拶をし、曲を始めるMASH。正直、後でこうして振り返るまで、なんの曲で始まったか覚えていないくらい、主催者の僕自身が緊張していた。しかし、ステージの上のMASHは飄々としているように見えた。何曲か披露し、合間合間に英語でMCを入れていたMASH。しかし、「この中で、日本語を理解する人ってどれくらいいるんですかね?」とMASHが尋ねると、会場の半分くらいの人が手を挙げ、「結構いるんですね(笑)じゃあ、もうここからは日本語で話します。もし、わからない人がいるようであれば、隣の人が通訳してあげてください!」MASHは続けた、「いつもに比べて緊張していないなと思っていたんですけど、違いました。2ヶ月前にこのライブが決まってから、ずっと緊張していたんだってことが今わかりました(笑)」そうかMASHも緊張していたんだ。そして、この瞬間から、会場の空気が変わった。もしかしたら、観る側にも、言葉だったり、詳しくは曲を知らないだとか、どこか身構えていた緊張感があったのかもしれない。MASHが自分の抱えていた想いを赤裸々に伝えた瞬間、見えはしないけれどそこに張り詰めていた膜は弾け、その後にMASHから発せられた歌声によって、会場全体が包まれていった。温かく、優しく、そして、強く。

『七月六日』、『稲穂』、そして、『星が綺麗な夜に』。あんなにもポートランドでライブをやって欲しいと願っていた自分が、今、どこでMASHの曲を聴いてるのかわからなくなった。歌の世界で描かれる、自分の故郷や思い出の場所。そして、人。まだまだしばらく側にいてくれるだろうって思っていた大切な人が、突然自分の目の前からいなくなる。今回のツアーで旅してきた場所は全て、大切な父親との思い出の場所ばかり。その場、その場で感傷的になることはなかったけれど、いつだって存在は思い出す。そしてやっぱり思う、「側にいてよ(Stand By Me)」悲しみの涙、寂しさの涙でもあるけれど、MASHの歌の中で、久々に会えたことの嬉し涙が止まらない夜だった。

文:小林拓一郎

通称"コバタク"
ZIP-FMでナビゲーターを務める名古屋では知らない人がいない人気ラジオDJ。MOROHA、Nakamura Emi、ビッケブランカなど数々のミュージシャンとも関係が深く、名古屋で1000人キャパのライブハウスでラジオ番組を飛び出し「t Time FES」を企画!即日ソールドアウトする。最近は地元名古屋市中区千代田にcoffee shop「Pharmacy Coffee Lab」をオープン!

https://kobataku33.com/
https://www.jstgroup.com/pdx/


◆MASHリリース情報
2019年7月10日に10年ぶりのシングル「たった16小節の夢」を発売

<収録曲>
1.星が綺麗な夜に
2.たった16小節の夢

https://www.youtube.com/watch?v=ww85wbIYxds

3.マイホームタウン

¥1,080  (税込)  AVCD-94514


◆今後のLIVE
8/03(土)東京・三軒茶屋GRAPEFRUIT MOON

 

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