プロの作・編曲家/DJ/プロデューサーがレビュー
直感的な作曲・パフォーマンスができるMASCHINE MK3のルーパー機能に注目!
直感的な作曲・パフォーマンスができるMASCHINE MK3のルーパー機能に注目!
2019/09/15
ビートメイキング/作曲ツールとして世界中で人気の「MASCHINE」は、シンセや機材に不慣れなギタリストでも直感的に曲が作れてしまう、便利な機能を搭載しています。ベーシストやDJ、作・編曲家として活躍している荻野目 諒氏にMASCHINE MK3を使ってもらい、その実力をチェックしてもらいました。
取材:サウンド・デザイナー編集部
※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2019年9月号)より抜粋したものです。
詳しくは、サウンド・デザイナー公式サイトをご覧ください。
荻野目 諒(オギノメ リョウ)
ベーシストとしてライブやレコーディングに参加する他、ライブ現場のシーケンスを管理するシンクマスターやトラックメイカー、クラブでのDJなど、活動のフィールドは多岐にわたる。横浜市の海洋レジャー施設「八景島シーパラダイス」のナイトショーの楽曲制作をはじめとして、大柴広己(もじゃ)、HANAE、FlowBackなどのライブサポートも行なっている。また、8月末にはトラックメイカーのNebula名義で、ダンスミュージックの配信レーベルであるWE GOT MUSICより、シングル「Betelgeuse」をリリースする。
ネイティブ・インストゥルメンツ
MASCHINE MK3
¥75,800(税込)
●問:ネイティブ・インストゥルメンツ・ジャパン㈱
●https://www.native-instruments.com/jp/
ギターを弾いたりパッドを直感的に叩くだけで、素早く曲作りができる
「MASCHINE」は、アレンジやミキシング、サンプリングといった、曲作りに必要な機能をすべて備えたソフトウェアと、それらを直感的に操作できるハードウェアが一体となった音楽制作システムです。
トラックメイカーやダンスミュージック向けのツールと思われがちな本製品ですが、実はギタリストやベーシストにとって、非常に使い勝手のいい機能が多く搭載されています。
代表的なのが、オーディオループの録音や編集、レイヤーが簡単に行なえるルーパー機能です。これは「Take」、「Sound」、「Pattern」という3つのモードから、演奏の取り込み方を選ぶことができます。
今回は、MASCHINEに収録されているリズムパターンに合わせて、ギターとベースのループ録音を行ないました。なお、無料で入手できる同社のアンプシミュレーター「GUITAR RIG 5 PLAYER」をMASCHINEソフトウェア上で立ち上げれば、本格的なアンプの音作りができます。
最初にTakeモードを試しました。これは、1つのトラック内に複数の演奏を録り溜めてベストなテイクを選んでいく方式で、じっくり弾き込んでフレーズを練る時に向いています。例えば筆者は、曲のイントロのフレーズで悩んだので、このモードで納得のいくテイクを作り込みました。
Soundモードでは、録音したループがトラック上で次々とレイヤーされていきます。演奏の手を休めることなく音を積み重ねられるので、セッションライクに曲を組み立てたいプレイヤーにはもってこいの手法です。いわゆるハードウェアのルーパーのような使い方ができるので、ライブパフォーマンスにも取り入れやすい印象を受けました。
Patternモードは、前述のSoundモードと違い、1回の演奏が1つのパターンとして本体に取り込まれます。例えば、思いついたフレーズをどんどんパターンとして取り込み、曲の進行に合わせて後からパターンを並び替えるなど、曲のアレンジを構築していくのにも役立ちます。
また、本機に搭載されている16個のパッドに、音階やコードをアサインして演奏することができる「Keyboard」モードと「Chord」モードも、作曲やパフォーマンスの際に便利です。鍵盤が弾けない人でも、シンセなどの音色を使ってコード弾きが簡単にできるだけでなく、メロディも簡単に打ち込めてしまいます。
メロディの音階も、通常のメジャー/マイナースケールはもちろん、ジャズやワールドミュージックのスケールなど、豊富に用意されているので、あらゆるジャンルに対応できるでしょう。
MASCHINEはビートメイク・ツールに留まらず、ギタリストがアイディアを手早く形にできる優秀な作曲ツールでもあります。ユーザーインターフェイスの見やすさや、ハードウェアの洗練されたデザインも、皆さんの創作意欲を掻き立ててくれることでしょう。
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