作・編曲家、エンジニアの鈴木Daichi秀行がレビュー

価格以上の音質と拡張性の高さを備えたオーディオインターフェイスが登場!

価格以上の音質と拡張性の高さを備えたオーディオインターフェイスが登場!

2019/09/15


タスカムより、高品質なオーディオインターフェイス「SERIES 208i」(以下208i)が発表されました。本機はリーズナブルな価格ながら、ワードクロック端子を備えるなど、ハイエンド機器並みの高い拡張性を備えているのが特徴です。作曲家やアレンジャー、プロデューサーとして活躍する鈴木Daichi秀行氏に、本機の実力をチェックしてもらいました。

取材:サウンド・デザイナー編集部 写真:桧川泰治

※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2019年9月号)より抜粋したものです。
詳しくは、サウンド・デザイナー公式サイトをご覧ください。

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鈴木Daichi秀行
作曲やアレンジ、プロデュースなど、多岐に渡って才能を発揮する他、ギターやベースなどのマルチプレイヤーとしても活動。モーニング娘。をはじめ、YUI、絢香、瀬川あやか、家入レオ、SMAPなど、数々の大物アーティストの楽曲の他、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」などのアニメソングも手掛けている。


 

クリアなサウンドで音作りがしやすく、かつ柔軟にルーティングが組める「SERIES 208i」

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【製品概要】
「SERIES 208i」は、超低ノイズの「ultra-HDDAマイクプリを搭載した、4イン/8アウトのモデルだ。スタインバーグCUBASE LE/CUBASIS LE(DAWソフト)や、IKマルチメディアAmpliTube(アンプシミュレーター)、T-RackS(ミキシング/マスタリングプロセッサー)、アイゾトープNeutron Essential(ミキシングプロセッサー)というソフトウェアが付属しており、本格的な音楽制作をすぐに始めることができる。

 

◉本体に搭載された4chに加えて16ch分のインプットを拡張できる


──まず、SERIES 208iのサウンド面での印象はどうでしたか?

Daichi:とてもフラットで、色付けのない音ですね。楽器の空気感までキレイに録音できるので、使いやすかったです。高価格帯のオーディオインターフェイスと出音を比較してみたんですけど、遜色ないのには驚きました。最近登場しているモデルって、サウンドがあらかじめ作り込まれているようなものが多いんですよ。加えて、DAWソフト側のレンジもどんどん広くなって、音の解像度も高くなっている。そういった環境の中では、本機のAD/DAコンバーターのようにクセがなくてクリアな音の方が、各パートの音が作りやすいんですよね。

──機能面についてはいかがでしたか?

Daichi:208iには専用のエディターソフトが付いていて、EQやコンプとか、モニター用のリバーブを自由にかけられるんです。チャンネルごとに個別にオン/オフできるので、とても便利でしたね。AUXも4系統あって、複数のモニター機器のルーティングが自由に組めるマトリクス画面も用意されているので、柔軟に操作できます。ミキサー画面の視認性も抜群で、慣れていない人でも直感的に操作できると思いました。

──音が良くて使いやすいというのは、シンプルにありがたいことですよね。

Daichi:あと、本機はS/MUX(ADAT)経由で16ch分のインプットを拡張できるようになっていて、その追加したチャンネルにもエディター側でエフェクトがかけられるんです。この機能を使えば、例えばリハスタでドラムをマルチマイクで録音することもできちゃいますね。

──なるほど。では、本体側の操作性についてはいかがでしたか?

Daichi:余計な機能を付けずに、マイクプリやモニターの機能に力を注いでいるという印象ですね。あと、インプット端子から入力したダイレクト音と、DAW上のプロジェクトやパソコン側で再生された音の音量バランスは、フロントの「モニターバランス」というツマミで調整できます。
 

◉ワードクロックで機材を拡張すると、より高音質な録音と再生が行なえる


──208iはワードクロック端子が付いていることも特徴のようですが、そもそもワードクロックとはどういったものなのしょうか?

Daichi:平たく言うと、デジタル機材は、音声信号を細かく切り刻むサンプリング処理を施してデータ化しているんです。で、複数のデジタル機器を接続した時に、それらのサンプリングの周期を一定に揃えてくれる機能がワードクロックです。高価格帯のオーディオインターフェイスには必ずワードクロック用の端子が付いていて、ワードクロックだけを行なう専用の機材と接続することで、より緻密でクリアな音にできるんです。

──なるほど。

Daichi:208iくらいの価格帯のモデルだと、通常、ワードクロック端子は付いていないんです。本機をマスタークロックにして、外部のマイクプリやADコンバーターへ接続すれば、デジタル機器同士の動作が安定して、より高音質で録音と再生ができます。

──今回は、どのパートを録音して本機を試されましたか?

Daichi:ドラムとアコギです。アコギは、レンジが広くてクリアに録れました。演奏もしやすかったです。ドラムは、キックとスネアとトップで4chを同時録音したんですけど、空気感がすごくキレイに録れました。アコースティック系のジャンルには特に向いていると思いますね。

──では、208iをどういったユーザーにオススメしたいですか?

Daichi:まず、208iは音質が非常に良くて、これよりいいサウンドが欲しいとなると、途端に価格帯が上がってしまいます。コストパフォーマンスが優れているので、初心者にオススメですね。あとは、iPadとの接続にも対応しているので、モバイル機器をリハスタに持ち込んで生楽器を録音したい場合にも向いていると思います。とはいえ、ワードクロックの精度の高さや音質という、核となる要素にフォーカスした製品なので、拡張性の高さも考えると、2台目を探している中級者にもピッタリかもしれません。

 
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↑今回は、アコギのマイク録りと、本機の4chのインプットをフルに活用した、ドラムのマルチマイク録音を行なってサウンドをチェックした。ダイレクトモニター音とパソコン側の再生音のレベルバランスを調整できる「モニターバランス」ツマミは、ギターやベースの演奏をしながら瞬時にイジれる点が便利だとか。左は付属コントロールソフトの、SERIES 208i用の画面。本体に高品質なDSPを搭載しており、EQやコンプ、リバーブを、パソコンに負荷をかけることなく、レイテンシーゼロでかけ録りできる

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