低価格なのに高音質! コストパフォーマンスに優れたモデルが勢揃い

DTMビギナー向けのオーディオインターフェイスをエンジニアが徹底チェック!

DTMビギナー向けのオーディオインターフェイスをエンジニアが徹底チェック!

2019/10/15


DTMで、録音と再生の音質において要となるのが、「オーディオインターフェイス」です。初心者向けの注目モデル7台を、サウンド・シティのエンジニアである五十嵐 覚氏にチェックしてもらいました。

取材:サウンド・デザイナー編集部 写真:桧川泰治

※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2019年10月号)より抜粋したものです。
詳しくは、サウンド・デザイナー公式サイトをご覧ください。

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五十嵐 覚(イガラシ サトシ) 
サウンド・シティ所属のエンジニア。音楽大学の作曲科卒業という経験を活かし、楽曲や楽器への理解、サウンドへのアプローチを得意とし、劇伴やCMを中心に活動している。また、最近はスタジオワークだけでなく、コンサートホールでのオーケストラ収録など、活動の幅を広げている。

 

●今回の試奏環境

まず、内蔵のマイクプリを含めたインプットの音質は、ノイマンU87(コンデンサーマイク)を使って、男性ボーカルの録音でチェックしました。出音に関しては、自分がミックスした楽曲を流しながら、普段スタジオで使用しているアビッドHD I/Oと比較して、どの程度音質に違いがあるのかを確認しています。また、モニタースピーカーはフォーカル・プロフェッショナルのTwin 6 Beと、ヤマハNS-10Mを使いました。ヘッドホンアウトの音質は、ソニーMDR-CD900STでチェックしています。

初心者の人は、オーディオインターフェイスをどう選べばいいのか、最初はわからないと思います。今はDAWソフトやプラグインエフェクトが豊富に付属するモデルが多いので、その手の製品を買うことをオススメしたいです。

今回、試奏をしてみて驚いたのは、最近は低価格帯のオーディオインターフェイスであっても、とにかく音がいいということです。特に出音のクオリティに関しては、正直に言うと、HD I/Oと比べても音質の違いがほとんどわかりませんでした。「I/Oを変えれば出音が変わる」と当たり前のように思っていたので、それが覆されたことが衝撃でしたね。
 


BEHRINGER
UMC204HD U-PHORIA

¥13,000

問:㈱エレクトリ ベリンガーお問合わせ窓口
TEL:03-3530-6199 https://www.electori-br.co.jp

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【SPEC】
●音質:最高24ビット/192kHz ●同時入出力数:2イン/4アウト ●入出力端子:インプット×2(XLRコンボ)、アウトプット×2、インサート(以上標準フォーン)、プレイバックアウト×2(RCA)、ヘッドホン、MIDIイン/アウト ●ダイナミックレンジ:110dB(Aウェイト) ●電源:USBバスパワー ●外形寸法:185(W)×46.45(H)×130(D)mm ●重量:600g
 

価格帯を大きく超えた、フラットでクセのないサウンドが魅力

今回試した中では最も低価格なこともあって、さすがにHD I/Oとは音が違うだろうと思っていたら、見事に期待を裏切られました。あまりに出音が良かったので、違いをどう表現しようか頭を抱えてしまったくらいで……(笑)。

本機は、高級機材の開発で有名なマイダス社が設計したマイクプリを搭載していて、太くて張りのあるサウンドで録音できました。入力ゲインを低くしても、音がしっかり前に出てくれます。

DAコンバーター(※)についてはクセがない、素直な音でした。フラットなサウンドなので、どんなジャンルの曲にも対応できるでしょう。ヘッドホンアンプはゲインがやや低かったものの、音質はナチュラルで聴きやすかったですね。あと、ヘッドホンアウトにはソースの切り替えができるA/Bスイッチが付いています。DAWソフト上で2つのトラックを同時に流しながら、スイッチひとつで比較ができるのは便利でした。

あと、今回は試せなかったんですけど、ベリンガーのサイトから専用の録音/音声編集ソフトや、150種類以上のVSTプラグインがダウンロードできるみたいなので、これは初心者にとってはうれしい特典だなと思いました。

これからDTMを始める人や、最初の1台を求めている人にはピッタリだと思います。とてもこの価格帯の音とは思えないので、ぜひ試してみてほしいです。



※DAコンバーター=パソコンからのデジタル信号を、スピーカーやヘッドホンから出力できるアナログ信号に変換する装置のこと
 


Steinberg
UR-RT2

オープンプライス(¥40,000前後)

問:㈱ヤマハミュージックジャパン スタインバーグ・コンピューターミュージック・インフォメーションセンター
https://jp.yamaha.com/support/contacts/av_pa/steinberg_notes/

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【SPEC】
●音質:最高24ビット/192kHz ●同時入出力数:4イン/2アウト ●コントロール:ファンタム電源、Hi-Zスイッチ、ゲイン×2、ヘッドホン、マスターアウト ●入出力端子:マイク/ラインイン×2(XLRコンボ)、ラインイン×2、アウトプット×2(以上標準フォーン)、ヘッドホン、MIDIイン/アウト、USB ●電源:付属電源アダプター ●外形寸法:198(W)×47(H)×208(D)mm ●重量:1.7kg
 

ナチュラルなサウンドと太くて存在感のある音を、使い分けて録音できる

ズッシリと重量感があって、堅牢でしっかりした造りをしていますね。

UR-RT2の最大の特徴は、マイクプリの回路に、ルパート・ニーヴ・デザインズと共同開発したトランスを搭載している点ですよね。トランスがオフの時は、クセがなくて自然なサウンドで、オンにすると音が太くなって、存在感が増す印象を受けました。音のランクが一段階、引き上げられたような感じです。

出音については、素直でクセがなくて、聴きやすかったです。ヘッドホンアンプの方は少し印象が違って、高域がやや上がり気味に聴こえるというか、いい意味でガッツがあるサウンドでしたね。

また、本機にはdspMixFxという専用のコントローラーソフトが付属しています。画面構成がすごくコンパクトにまとまっていて、初めて触る人でも、すぐに操作方法がわかると思いました。機能的には、レイテンシーゼロでEQやコンプがかけられる「DSPエフェクト」が搭載されていて、チャンネルストリップのEQやコンプが使いやすかったです。いい意味でデジタルな質感というか、素直なかかり方をしてくれるので、オールジャンルに使えると思います。

全体的に、初心者に対して非常に優しい設計になっているのが伝わりました。Cubase AI(DAWソフト)も付属するので、これから打ち込みや録音をやってみたい人にはドンピシャだと思います。
 


Roland
Rubix24

オープンプライス(¥24,000前後)

問:ローランド㈱お客様相談センター
TEL:050-3101-2555 https://www.roland.com/jp/

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【SPEC】
●音質:最高24ビット/192kHz ●同時入出力数:2イン/4アウト ●入出力端子:インプット×2(XLRコンボ)、ヘッドホン、アウトプット×2、MIDIイン/アウト、USB ●コントロール:SENS(1L、2R)ファンタム電源、Hi-Z、スレッショルド、コンプ/リミッター、ダイレクトモニター、モノラル、アウトプット、ヘッドホン、パワーソース、ループバック、グラウンドリフト、ヘッドホンソース ●電源:USBバスパワー ●外形寸法:183(W)×46(H)×165(D)mm ●重量:1.2kg
 

高域に伸びがある優秀なマイクプリと、明るいサウンドが特徴

僕は、自宅ではローランドのSuper UAというオーディオインターフェイスを使っているんですけど、本機は音のキャラクター性もいい具合に似ていて、全体的にとっつきやすかったです。

特にマイクプリが優秀で、非常にキレイな音で録れました。生楽器の録音に向いている感じで、高域がスッと伸びてくれるんです。あと、最近では珍しく、本体にアナログのコンプ/リミッターが付いているんですよ。かかり方は可変レシオ式で、ザックリと設定できるようになっていて、初心者の人が何となくツマミを回すだけでも、いい感じにかかってくれると思います。実際、音に暖かみが加わって、楽器やボーカルの音量間や質感をうまく整えてくれました。他にも、生配信の時とかに、急な大音量を抑える用途にも使えてとても便利ですよね。

出音については、全体的に音が明るく聴こえるキレイ系な印象で、今回試した他のモデルとは、いい意味で毛色が違うと思いました。生楽器の繊細な音が、すごくよく聴こえるんですよ。あと、スピーカーアウトとヘッドホンアウトからの音が変わらないのもポイントで、正確にモニタリングができました。

エイブルトンLive Lite(DAWソフト)が付属するので、これからDTMを始める人にはありがたいでしょうね。iPadにも対応しているので、パソコンを持っていない人にもオススメしたいです。
 


Fluid Audio
SRI-2

オープンプライス(¥32,000前後)

問:ローランド㈱お客様相談センター
TEL:050-3101-2555 https://www.roland.com/jp/

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【SPEC】
●音質:最高24ビット/192kHz ●同時入出力数:2イン/2アウト ●入出力端子:インプット×2(XLRコンボ)、アウトプット×2(標準フォーン)、ヘッドホン、USB ●コントロール:ゲイン×2、ライン/インスト切り替え×2、DAW/インプットMIX、ヘッドホン、スピーカー切り替え ●電源:USBバスパワー ●外形寸法:203(W)×70(H)×152(D)mm ●重量:1.0kg
 

天面に操作系統を配し、モニターコントローラーとしても使える1台

まず大きいボリュームノブが目を引きますね。本機はすべてのコントロール系がフロントではなく、天面に配置されているんですけど、これが個人的には大ヒットでした。フロントにツマミがあるよりも、圧倒的に使いやすいんですよ。

マイクプリについては、ややゲインが低めな印象を受けましたが、キャラクター的には中低域にガッツがある感じですね。ロック系のボーカルには特に向いていると思いました。出音に関しては、ラインアウトとヘッドホンアウト共に、高域が結構持ち上がって、派手に聴こえる印象でしたね。その分、低域がスッキリしていて聴きやすかったです。

本機は、モニタースピーカーを2つ接続できるんですけど、両者の切り替えをワンタッチでできるのがとても便利ですね。サイズの大きいボリュームノブのおかげで音量が細かく調整できる点も含めて、オーディオインターフェイスとしてだけでなく、モニターコントローラーとしても優秀だと思いました。

ちなみに、本機のコンセプトとして、同社のスピーカーと組み合わせた時に真価を発揮するように設計されているみたいなので、可能であればモニタースピーカーとセットで導入するのがオススメです。
 

 


IK Multimedia
AXE I/O

オープンプライス(¥45,000前後)

問:IKマルチメディア
https://www.ikmultimedia.com

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【SPEC】
●音質:最高24ビット/192kHz ●同時入出力数:2イン/5アウト ●コントロール:ゲイン×2、Z-TONE、プリセット、ダイレクト/DAW、ヘッドホン、マスター ●入出力端子:マイク/ラインイン(XLRコンボ)、ラインイン×2、ヘッドホン、リアンプ、ラインアウト×4、スイッチ/ペダル×2、MIDIイン/アウト ●電源:電源アダプター(付属) ●外形寸法:238(W)×53(H)×211(D)mm
●重量:1.3kg
 

ギターの質感を自在に調整できる、独自の機能を搭載

本機は、ギターを接続した時にインピーダンスの数値が変えられたり、暖かみのある音とクリーンな音が切り替えられるモードスイッチがあったりと、音色の質感を自由に調整できるのが面白いですよね。マイクプリ自体のキャラクターはガッツがあって、音が前にくるような、押し出し感の強いサウンドでした。

出音も派手な感じで、聴いていてテンションが上がります。ヘッドホンアンプもイメージは似ていて、耳元の近くで鳴ってくれる印象を受けました。

専用のコントロールソフトが付いているんですけど、本機に接続しているエクスプレッションペダルからのMIDI信号を設定できたり、パソコン上に起動した同社のAmpliTube(アンプシミュレーター)の設定を直接操作できたりと、非常に便利でした。ちなみに、本体にも「プリセット」というツマミが付いていて、AmpliTubeのパラメーターを直感的にイジれるようになっています。

AmpliTube 4 DeluxeやT-RackS(※)が10モデル付属するというのが、とにかくアドバンテージですよね。本格的なギターサウンドがすぐに録れるだけでなくて、質の高いミキシングまでできるようになっているわけですから。Live Liteが付属するのもうれしいですね。

本体にチューナーが付いていたりと、まさに“ギタリストのためのオーディオインターフェイス”という印象でした。
 


Apogee
Element 24

¥78,000

問:㈱メディアインテグレーションMI事業部
TEL:03-3477-1493 https://www.minet.jp

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【SPEC】
●音質:最高24ビット/192kHz ●同時入出力数:最大10イン/12アウト ●入出力端子:インプット×2(XLRコンボ)、アウトプット(XLR)、オプティカル(ADAT/SMUX/S/P DIF)、ワードクロック、Thunderbolt ●電源:専用電源アダプター(付属) ●外形寸法:245(W)×45(H)×140(D)mm ●重量:1.14kg ●対応OS:Mac OS 10.10以降
 

上位機種と同じ音質で再生と録音が可能な、ツヤのあるサウンド

本体には入出力端子のみを搭載していて、ゲイン調整などの操作は、MacかiOSのコントロールソフトから行なうという、非常にユニークなモデルです。

マイクプリの音質はナチュラル系で、クセがないですね。艶もあって、今回試した中では一番高級感のあるサウンドでした。ハイエンドモデルの「Ensemble」と同じAD/DAコンバーターが入っているらしく、このサイズ感からは想像できない音で録れたので驚きました。

個人的には、ヘッドホンアンプの音が特に良かったです。自分はクラシックや生楽器系の作品に携わることが多いんですけど、そういった曲を流すと、各パートの息遣いがハッキリ聴こえてきました。

あと、Elementを同じパソコンに複数台つなぐと、同期して入力数を増設できるのがすごく便利だと思いました。例えば、リハスタに本機を何台か持ち込めば、ドラムのマルチマイク録音も簡単にできるでしょうね。拡張性に優れているという点では、初心者だけでなく、中級者以上にもオススメしたいです。

コントロールソフトは、多機能な反面、初見ではやや操作が難しかったです。ただ、iOS機器からもリモートで操作できるのは便利ですよね。別売りのフィジカルコントローラーも使ってみたいです。

ものすごくキレイな音で録れるので、自分の曲で生楽器をたくさん取り入れたい人にオススメしたいです。
 


Universal Audio
Apollo Twin MKⅡ

SOLO=¥66,000 DUO=¥88,000 QUAD=¥133,000
※プロモーション価格

問:㈱フックアップ
TEL:03-6240-1213 https://www.hookup.co.jp

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【SPEC】
●音質:最高24ビット/192kHz ●同時入出力数:アナログ=2イン/6アウト、デジタル=8イン/0アウト ●入出力端子:インストイン(標準フォーン)、マイク/ラインイン×2(XLRコンボ)、モニターアウト、ラインアウト×2(以上標準フォーン)、オプティカル、Thunderbolt ●電源:電源アダプター(付属) ●外形寸法:158.4(W)×65.3(H)×147(D)mm(突起部含まず) ●重量:1.05kg
 

名器の質感を再現する独自のエミュレート機能「Unison」を搭載

本機の特徴は、何と言っても「Unison(※)」機能ですよね。対応したUADプラグインをインサートすると、例えばニーヴやSSLとか、名器と呼ばれるアナログ機材の質感を録り音に加えられて、しかもレイテンシーゼロで使えるんです。その分、本体のマイクプリのサウンドは無味無臭というか、ナチュラルな感じでした。録音の時に、音の質感を決める選択肢が豊富にあるというのは、エンジニア的にもテンションが上がります。

自分が日頃使っているニーヴ1073(マイクプリ)やapiのコンソールを再現したプラグインも購入して使ってみたんですけど、実機の特性を非常によく捉えているなと思いました。特にapiのチャンネルストリップは、ゲインを上げていった時の質感の変化具合や、カラッとしたサウンドがすごく似ていましたね。あと、使ったことがないレアなビンテージ機材のプラグインも用意されているので、単純に質感や使い方の勉強になりました。

出音については、ラインアウトとヘッドホンアンプ共に、意外にもナチュラルでした。定位感がハッキリしていて、音の解像度も高かったです。

Unison機能が使えることを考えると、本機で向いていないジャンルはないと言っても過言ではないかもしれませんね。



※Unison=インピーダンスやゲインなど、アナログ回路のふるまいを忠実にエミュレートして、マイク/Hi-Zインプット回路を制御する技術のこと。
※2019年10月31日までにApollo Twinを購入すると、通常時より上位のプラグインバンドル「Analog Classic Pro」がプレゼントされます。
 

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