業界標準と言っても過言ではない人気スピーカーブランド
ミックスやリミックス作業に最適なアダム・オーディオ「T5V」をレビュー
ミックスやリミックス作業に最適なアダム・オーディオ「T5V」をレビュー
2019/11/18
アダム・オーディオのモニタースピーカーは、世界中のスタジオで広く導入されています。同社が、「優れたモニタースピーカーを、より多くのユーザーに使ってもらいたい」という願いから開発したモデル「T5V」の実力を、エンジニアの堀 豊氏にチェックしてもらいました。
アダム・オーディオ
T5V
オープンプライス(¥21,000前後/1本)
●問:ソニックエージェンシー㈱
●TEL:03-6384-2370 ●https://www.sonic-agency.com
「T5V」は、同社の高級スピーカーの「Sシリーズ」や「AXシリーズ」の高音質な技術を汲みながらも、コストパフォーマンスに優れたモデルです。新設計のクラスDアンプ(ツイーター=20W、ウーファー=50W)と、同社で定評のあるクロスオーバー用のDSPを搭載しています。
早速、サウンドをチェックしてみました。まずは、アコースティックギターやマンドリンなど、スティール弦を使う楽器が多く入ったインスト曲を聴いてみたのですが、ハイエンドの分離感と立体感が非常に素晴らしかったです。複雑に絡み合うユニゾンのフレーズでも、アコギとマンドリンのどちらもハッキリと聴き取れました。同じスティール弦でも、ほんの少しの弦のテンションの違いや、音の立ち上がり方がわかるように再生されるので、それぞれの音色の違いを明確に認識できます。
この、同社のスピーカーに共通する高域の自然さや立体感を生み出しているのが、新開発のU-ARTツイーターです。Sシリーズでおなじみの独特な形状のウェーブガイドが採用されており、高域は25kHzまで再生可能です。情報量が多い生楽器や、レンジが広いシンセのモニタリングにはもちろん、ハイ・サンプリングレートのセッションデータで作業をする時に重宝するでしょう。リバーブの残響の消え際までも繊細に感じることができ、演奏時の手元のニュアンスが把握しやすいので、ミックスだけでなく、録音時のモニターにも最適だと思いました。
低域に関しても、生のドラムやベースの臨場感がある演奏ニュアンスから、うなるようなシンセの超低音まで正確に再現でき、5インチという比較的小さいウーファーでありながら、驚くほど押し出し感と音量感がありました。
また、中音域の質感を男性・女性ボーカルでチェックしてみたところ、共にクリーンな音像で、EQやコンプによる音の変化もきちんと把握できました。
ある程度の音量を出しても、歪み感が少なく、音像のバランスの変化が小さかったのも好印象です。逆に、音量を絞って聴いてみても、本機が持つ再生バランスの良さは変わりませんでした。価格もリーズナブルなので、モニタースピーカーの最初の1台にピッタリでしょう。
製品スペック
●出力:50W+20W
●周波数特性:45Hz〜25kHz
●クロスオーバー周波数:3kHz
●最大音圧レベル:≦106dB
●外形寸法:179(W)×298(H)×297(D)mm
●重量:5.7kg
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