PELICAN FANCLUBのエンドウアンリ(vo, g)がレビュー!
多彩なギターシンセサウンドをレイテンシーフリーで鳴らせる「SY-1」に注目
多彩なギターシンセサウンドをレイテンシーフリーで鳴らせる「SY-1」に注目
2019/11/18
ボスより、同社のギターシンセサイザー・テクノロジーを凝縮したコンパクトエフェクター型のギター/ベース用シンセ「SY-1」がリリースされました。合計121種類ものシンセサウンドをレイテンシーフリーで鳴らせる本機の実力を、普段からシンセを使って曲作りをしている、PELICAN FANCLUBのエンドウアンリ(vo, g)さんにチェックしてもらいました。ボスより、同社のギターシンセサイザー・テクノロジーを凝縮したコンパクトエフェクター型のギター/ベース用シンセ「SY-1」がリリースされました。合計121種類ものシンセサウンドをレイテンシーフリーで鳴らせる本機の実力を、普段からシンセを使って曲作りをしている、PELICAN FANCLUBのエンドウアンリ(vo, g)さんにチェックしてもらいました。
取材:サウンド・デザイナー編集部 写真:生井秀樹
※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2019年11月号)より抜粋したものです。
詳しくは、サウンド・デザイナー公式サイトをご覧ください。
エンドウアンリ:ロックバンド、PELICAN FANCLUBのボーカリスト/ギタリスト。シューゲイザー、ドリームポップ、ポストパンクといった海外音楽シーンとリンクしながら、確実に日本語ロックの系譜にも連なる洋邦ハイブリッドな感性で、多彩な曲を生み出している。エンドウのカリスマ性を柱に、光と闇の両極を鮮やかに描き出す、広い楽曲の振り幅を持ち味としている。
「シンセを弾いたことがないギタリストでも直感的に扱えると感じました」
【製品概要】「SY-1」は、ペダルボードへの組み込みが容易な、コンパクトサイズのギターシンセサイザーだ。同社が培ってきたギターシンセのテクノロジーが凝縮されており、121種類もの多彩なシンセ音色を収録。同社の先進テクノロジーとカスタムDSPチップにより、超高品位なシンセサウンドを、レイテンシーフリーで奏でることができる。また、収録されたサウンドはすべてポリフォニックに対応しており、和音での演奏表現が行なえるのもうれしい。
◉「サウンドはシンセそのもの。 耳だけではギターだとわからない」
──エンドウさんは、発表された当初からSY-1の存在をチェックしていたそうですね?
エンドウ:はい。僕のギターは、いわゆるギターらしいジャキっとした音と、空間系やモジュレーションエフェクトを複数組み合わせて作る、それこそシンセのような音という2つのサウンドが基本にあって、両方を混ぜながら曲をドラマティックに展開していくので、SY-1のようなシンセ音色が出せる機材は、僕にとって非常に重要なんです。あとは、ギターシンセがコンパクトエフェクターのサイズで使えるというのも驚きで、進歩したんだなと(笑)。
──SY-1は、11タイプの多彩なシンセサウンドを搭載しているようですが、実際に使われてみていかがでしたか?
エンドウ:個人的には、シーケンスが鳴らせる「SEQ」が特に気に入りました。パーカッシブで金属的なシンセサウンドが出せる「BELL」も良かったですね。11タイプのサウンドが選べるツマミに加えて、それぞれの音色タイプをさらに変化させられる「バリエーション」というツマミが付いていて、幅広い音が作れます。あと、アーミングした音に細かくエフェクトが効いてくれるんですけど、そこまで反応してくれるエフェクターは今まで使ったことがないので、驚きました。
──では、SY-1の音色自体のクオリティについてはいかがでしたか?
エンドウ:これはもう、シンセそのものと言っても過言ではないですね。今までのギターシンセって、どれを使っても、あくまで“エフェクター”という印象があったんですよ。元となるギターの音があって、その上にエフェクトが乗っているというか。でも、SY-1はハードのシンセを鍵盤で弾いているような感覚になれるんですよね。チョーキングやアーミングをしても、まるでシンセのピッチベンドを使っているみたいなんです。音だけを聴かされたら、ギターを弾いているとは思わないんじゃないかな。すべての音色がポリフォニックに対応しているのもすごく便利でした。
──なるほど。
エンドウ:あと、今までのギターシンセは、製品ごとに音色のタイプがある程度決まっているというか、一辺倒なものが多いと感じていました。1つの基盤となる音色があって、それに表情を付けていくというか。それはそれでいいことだとは思うんですけど、逆を言えば、サウンドに幅がないんですよね。SY-1は、TYPEツマミをイジるたびに音色がガラリと変わるのがすごいと思いました。
──複数のエフェクターを組み合わせているような感覚で使えるわけですね。
エンドウ:はい。最初に言ったように、僕はいつも、オクターバーとリバーブを組み合わせたり、いろんなエフェクターを組み合わせてシンセっぽい音色を作っているんですけど、それがSY-1だけでできてしまうのは本当に便利です。
↑本機にエクスプレッションペダルを接続すると、エフェクト音のフィルターとレイトスピードを調整するTONE/RATEツマミを、足元でリアルタイムにコントロールすることができる
◉エフェクトの反応と効きが すごくいいので想像力が膨らむ
──SY-1は、ボスの先進テクノロジーとカスタムDSPチップによる、レイテンシーの低さも魅力だそうですね。
エンドウ:弾いていて感じたのが、ピッキングに対する反応がものすごく早いんですよ。一般的な空間系エフェクターでSY-1のような音を出すと、音が埋もれがちになるんです。アタック感が前に出てこなくて、そのせいで曲のリズムと合わせづらかったりした経験があるんですけど、本機を使えばそういった心配はないかもしれません。センド/リターン端子を使えば、SY-1を通した音と別のエフェクト音を別々に出力できますし、音がパーンと前に出てくれそうですね。
──操作性や使い勝手はどうでしたか?
エンドウ:ドライ音とエフェクト音の割合を決めるツマミが、それぞれ個別に用意されているのはいいですね。パラメーターがシンプルなのも好印象でした。この手のギターシンセやモジュレーション系のエフェクターは、パラメーターが多くて操作が複雑なものが多いんです。本機はオシレーターとかのパラメーターもないので、シンセを弾いた経験がないギタリストでも直感的に扱えることが念頭に置かれているのかなと感じました。
──他に、エンドウさんが感じたSY-1の魅力はどこにありますか?
エンドウ:今回、一番すごいと思ったのが、ハウリングにもエフェクトが効くんですよ。ギターシンセに限らず、ハウリングに反応してくれるエフェクターってほとんどないんじゃないかな。例えば、ある帯域より下の音には効かなかったりするんですよね。SY-1は、低音もしっかりシンセの音に変換してくれました。今までは不可能だった使い方ができるので、想像力も膨らみますね。
──では、このSY-1をどのような人にオススメしたいですか?
エンドウ:既存の空間系やモジュレーションエフェクトに物足りなさを感じていて、新しい音色のバリエーションが欲しいという人には特にオススメですね。あと、音質がとにかく良くて、音作りの幅も広いので、バンドサウンドで先進的なことがやってみたいというギタリストにも、ぜひ試してみてほしいです。
11タイプの豊富なシンセカテゴリーを収録
•LEAD 1/2:ソロやリードに適したワイドレンジなサウンド
• PAD:コードに適した、音の隙間を埋める柔らかいパッドサウンド
• BASS:ズ太いベースシンセ・サウンド
• STR:クラシックなシンセストリングスのサウンド
• ORGAN:多彩なオルガンサウンド
• BELL:パーカッシブな金属系のサウンド
• SFX 1&2:効果音や個性的なサウンド
• SEQ 1&2:ピッチや音質がリズミカルに変化するサウンド
お問い合わせ
問:ローランド㈱お客様相談センター
TEL:050-3101-2555
https://www.boss.info/jp/
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