現代のマスタリングツールの決定版!

iZotope「Ozone 9」を作曲家・ギタリストの青木征洋がレビュー

iZotope「Ozone 9」を作曲家・ギタリストの青木征洋がレビュー

2019/12/19


今やマスタリングツールの定番となりつつあるアイゾトープの「Ozone」が、先日、バージョン9に進化しました。同社製品のユーザーとして、また、ベータテスターとしても深く携わっている作曲家/ギタリストの青木征洋氏に、Ozone 9の魅力やポイントについて語ってもらいました。

取材:サウンド・デザイナー編集部 写真:小貝和夫

※本コンテンツは音楽雑誌「サウンド・デザイナー」(2019年12月号)より抜粋したものです。
詳しくは、サウンド・デザイナー公式サイトをご覧ください。

 

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青木征洋(アオキ マサヒロ)
ギタリスト、プロデューサー。2014年までゲームメーカーのカプコンに在籍し、現在は音楽制作プロダクション「ViViX」の代表を務めている。これまでに『戦国BASARAシリーズ』や『Street Fighter V』、『FINAL FANTASY XV MULTIPLAYER: COMRADES』、『ASTRAL CHAIN』など、人気ゲームの音楽を手掛けてきた他、『太鼓の達人』や『CHUNITHM』、「GITADORA」など、音楽ゲームへの楽曲提供も精力的に多数行なっている。


 

Ozoneがすごいのは、これだけ便利なツールでありながら、
使っているうちに自分もミックスやマスタリングが上達できる点です

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【製品概要】
「Ozone 9」は、音楽制作の最終段階で行なう「マスタリング」に特化したソフトウェアだ。あらゆるエフェクトモジュールを搭載しており、誰でも簡単に、かつ高品質に楽曲を仕上げることができる。バージョン9では、2ミックスのボーカルやベース、ドラムのバランスを個別に調整できる「マスター・リバランス」や、1つのフェーダーを動かすだけでローエンドをクリアにしてくれる「ロー・エンド・フォーカス」など、さらなる便利な機能が多数追加された。

 

◉「20~30分かかっていた音作りが、20~30秒でポンとできてしまう」


──まず、Ozoneとはどういったソフトなのでしょうか?

青木:ざっくりと言えば、マスタリングを行なうためのソフトウェアです。ただ、たんなるツールではなく、マスタリングにおける“ワークフローの提案”をしてくれる点が革新的ですね。

──ワークフローの提案というのは?

青木:今までであれば、2ミックスの音源に対して、曲の質感を保ったまま気持ち良く聴けるように、レベルやイコライジング、ダイナミクスを、必要に応じて人力で調整していました。Ozoneの場合は、ジョナサン・ワイナーといった一流エンジニアの思考を機械学習したAIが、一連の処理をほぼ自動的に提案してくれるんです。2ミックスの楽曲データを読み込ませて、目的の音圧を指定するだけで、どのエフェクトをどんな順番で、どのくらいの設定でかければいいのかをAIがサジェストしてくれる「マスターアシスタント」という機能ですね。従来では20~30分かかっていた音作りのプロセスを、20~30秒でポンと答えを出してくれるという、革命的なワークフローを提示してくれたんです。

──質の高いエフェクト処理が短時間でできてしまうわけですね。他に、Ozoneの特徴的なポイントはありますか?

青木:アイゾトープは、新しい技術をどんどん取り入れていく会社で。EQやコンプといったトラディショナルなツールだけでなく、例えば新機能の「ロー・エンド・フォーカス」みたいな、今までのツールの組み合わせでは説明できないアルゴリズムで音を変化させられる機能やエフェクトを開発しています。なので、単純にOzoneでしか得られない効果があるというのは大きな利点だと思います。

──今回発表されたOzone 9でも新機能が追加されましたが、青木さんはロー・エンド・フォーカスが特に気に入られているそうですね。

青木:マスタリングでは低域、特にキックやベースに対して、例えば「パンチを持たせたい」とか、「スムーズにしたい」というアプローチをすることが多いと思います。その結果を得るためには、従来は「コンプでこう処理して、こんな効果になったから次はEQでこうイジって……」というように、複数のエフェクトを組み合わせていたわけです。つまり、目的とする音や質感に向けて、各エフェクトの効果を、翻訳しながら辿り着かなければいけなかったんですよね。それがロー・エンド・フォーカスを使えば、パラメーターを1つか2つ動かすだけで、ダイレクトに結果にたどり着けるんです。本当にビックリしました。

 
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↑マスターアシスタント機能は、かかり方の強さや音のタイプを選択するだけで、2ミックスの音源を20〜30秒ほどで最適な状態に仕上げてくれる。暖かみのあるサウンドにしたい時は、MODULESから「Vintage」を選ぼう

 

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↑青木氏がオススメする新エフェクト「ロー・エンド・フォーカス」。求める低域の質感を「Punchy」か「Smooth」で選びつつ、2つのフェーダーを動かすだけで、低域のパートごとのコントラストを明瞭にすることができる。エフェクトをかける帯域も自由に調整できるが、青木氏はデフォルトの「250Hz」に設定する場合が多いそうだ


 

◉Ozone 9のステレオイメージャーは、イヤ味がなくサッと音を広げてくれる


──新機能と比べると見落とされがちですが、ステレオイメージャーのクオリティも大きく進化したようですね?。

青木:「位相をイジって変えました」という露骨な感じではなくて、かなり自然な広がり方をしてくれるようになりました。一般的なイメージャーだと、フェイザー感というか、音の焦点がボヤけてしまうものが多いんですけど、Ozone 9のイメージャーはそういったことが感じられなかったです。僕の場合、イメージャーはパッドやストリングスとか、音像が奥にあるパートをフワーッと広げたい時に使うんですけど、これならイヤ味がなく、サッと広がってくれそうです。

──他に、好印象だったOzone 9の新機能はありますか?

青木:Tonal Balance Control 2(以下TBC2/※)ですね。NeutronやNectarとか、同社の他のプラグインと連携して使うことができて、TBC2の画面上から、同社のプラグインを挿した各トラックのソロ/ミュートやEQ、音量バランスとかを、アナライザーを確認しながら操作できるんです。DAWソフトのミキサー画面からトラックにアクセスすることなく、1つの画面上でミックスやマスタリングの調整ができるのは便利ですね。

──Ozone 9の最上位版は、各エフェクトを単体のプラグインとして使用できますが、青木さんはミックスでもOzone 9を使用しているのですか?

青木:はい。Vintage Tape(テープシミュレーター)をドラムのバスに挿して、音のトランジェントを調整するために使う時があります。あと、Spectral Shaperはめちゃくちゃ使いますね。“削らなきゃいけないけど、その帯域に魅力が詰まっている楽器”ってあるじゃないですか。例えば、ロックとかメタルでの、リズムギターのブリッジミュートがそれですね。100〜200Hzの間に、ブリッジミュートをして弾いた時だけ「ズン」という膨らみが出るんですけど、そこを通常のマルチバンドコンプとかで抑えると、アンサンブル全体が平面的になってしまうんですよ。それがSpectral Shaperだと、音の濁った部分はしっかり抑えつつ、ズンズンした感じは残せるんです。ダイナミックEQでもできないことはないんですけど、こちらの方がより直感的に処理できますね。

──Ozone 9の購入を考えている読者に向けて、メッセージをお願いします。

青木:Ozoneがすごいのは、これだけ便利なツールでありながら、使っているうちに自分自身もミックスやマスタリングが上達することなんです。「どんな処理をしているかはわからないけど、とりあえずいい感じの音になる」というプラグインが多い中で、Ozoneは「どういった処理をした結果今の音になっているのか」が、画面を見ればある程度わかるようになっているんです。ツールの方から自分のミックスやマスタリングの上達をサポートしてくれるので、初心者にも上級者にも強くオススメしたいです!


 

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