全曲アニメ縛りの伝説的ライブ
FLOW、「FLOW超会議2020~アニメ縛りリターンズ~」に6400人が熱狂!(2020年2月24日(火))
FLOW、「FLOW超会議2020~アニメ縛りリターンズ~」に6400人が熱狂!(2020年2月24日(火))
2020/02/26
FLOW
カメラマン:Rie Shibata / Yasuyuki Kimura
カメラマン:Rie Shibata / Yasuyuki Kimura
最初のアニメ縛りではGRANRODEOの谷山紀章、続くツアーのファイナルでは声優・水樹奈々が声で登場した開演前の影ナレ。そして今回、会場の熱気を開演前から盛り上げたのは声優・内田真礼。TAKEが楽曲を提供し、GOT’Sがレコーディングに参加した縁から登場した、という彼女の声に早くもサイリウムが輝き、会場は歓声で大きく揺れた。そして開幕するライブ。SEの音に大きなクラップが湧き、オーディエンスのテンションが一気に駆け上がったその時。スクリーンに映し出されたギアスの紋章、そしてフロアに響いた高らかな笑い声。幕張メッセイベントホールがゼロにジャックされた。
「今夜はわたしが諸君の案内人をさせてもらうとしよう。さて。此処にお集まりの諸君はFLOWのことが相当好きだと見える。無論。わたしも例外ではない。FLOWには感謝している」というゼロが「FLOW超会議2020 〜アニメ縛りリターンズ〜」の開幕を宣言し、世界を彩る最高の一夜が「COLORS」で幕を開ける。会場の天井を吹き飛ばすかと思うほどの大歓声が沸き、最高潮に高まったところでKOHSHIとKEIGOが歌い出す。フロアからは「オイ!オイ!」とリズムと共に楽曲を支えるファンの声が上がり、タイトル通りにカラフルな光で彩られていた。そのままゼロに…ルルーシュに向けられるように「WORLD END」、「PENDULUM」と畳み掛ける『コードギアス 反逆のルルーシュ』との出会いから生まれたFLOWのメロディックな楽曲たちが響く。
「あの不思議で不思議でないような、人生が変わってしまうようでなにひとつ変わっていないような、とても奇妙でどこにでもあるような出来事」と竜ヶ峰帝人の言葉。そんな時間を彩った「Steppin’out」では、『デュラララ!!×2 結』の街の喧騒を吹き飛ばすほどに、タオルが、サイリウムがぶんぶんと回されて、大歓声のグルーヴが巻き起こる。ダンスホールのようになった会場に続く「WORD OF THE VOICE」が響き出すと、楽曲に宿るヒリヒリとした感触に呼応するようにフロアが赤く染まった。続けて轟くロックンロールにオーディエンスも声をあげ、拳を振る「Hey!!!」で『べるぜバブ』の世界に突入させてしまうFLOW。曲が変わるたびに様々なアニメにジャンプしていくような感覚に幕張の熱は上昇を続ける。
「2年前に日本青年館でやって、ツアーも廻らせてもらって、帰って来たら幕張メッセになってました!」(KEIGO)
「みんなのおかげだぜ!」(KOHSHI)
ここで『サムライフラメンコ』の羽佐間正義の声が響く。コール&レスポンスで怪人を倒す準備を整えたところで「愛愛愛に撃たれてバイバイバイ」へ。前回より増員してパワーアップしたGinyuforcE & RAB(リアルアキバボーイズ)が、サイリウムを振り回しオタ芸を踊る中でバンドも気合がさらに高まり、アニメ×バンド×オタ芸という最強のコラボレーションでパフォーマンスは盛りあがる!“最強”パワーでなだれ込むのは『ドラゴンボールZ 神と神』とのコラボ曲ワールド。ボールの色、悟空の胴着の色、そしてフロアの色。全てを繋ぐオレンジ色に染まった会場に「CHA-LA HEAD-CHA-LA」、「HERO ~希望の歌~」がオーディエンスの歌声と重なり、元気玉さながら大きなパワーとなって広がった。“HERO”の歌はまだあるぞ、とばかりにTAKE、GOT’S、IWASAKIが掻き鳴らしたのは『HEROMAN』のサウンドトラックよりインスト曲「INVASION」。マーベルコミックスの生みの親であるスタン・リーが手掛けたヒーローアクションである『HEROMAN』の、劇画的な勢いを轟く音で紡いだバンドの元にKOHSHIとKEIGOが再び加わり、『HEROMAN』のエンディングテーマである「CALLING」。エモーショナルな一曲を伸びやかに歌い上げた。
「ずっと毎回クライマックス。そりゃそうだよ。だいたいアニメのタイアップって、オレらオープニングじゃん。エンディングだったらバラードがあってもおかしくないけど、オープニングでさ、疾走感がないとダメじゃん。だからずっと走ってる」と話すKOHSHI。そんなひたすらクライマックスのライブで音を掻き鳴らし続ける楽器隊メンバーもMCで声を聞かせた。「(この景色は)冥途の土産になる!」というIWASAKI、「歓声が頼もしい!」と話すGOT’S、そして「ここにいる人もネット民のみんなも間違いなく優勝させるので、楽しんでいってください!」と拳をあげるTAKE。その声に湧いた大歓声の元に、レントンとエウレカの声が届いた。緑と青とで染まった会場にドラマティックなエレクトロで色鮮やかなロックチューン「DAYS」が響くと、一気に『交響詩篇エウレカセブン』の世界に染まる会場では揺れるほどのチャントが発生し、その中をKOHSHIとKEIGOの歌声が広がっていった。ニルヴァーシュの戦闘を感じさせるアグレッシヴな「Realize」では一転、幕張が赤く発光する。そのままエウレカの語りが入り、エウレカとレントンの息子アオの世界へと「ブレイブルー」が会場を浚っていく。会場は一面の青。海のようなフロアへとKOHSHIとKEIGOの歌声が放たれていった。
低く呻くようなSEに重ねられるようにベルベットの慟哭が会場を席捲すると、幕張は『テイルズ オブ ベルセリア』のミッドガント聖導王国へと連れていかれてしまう。ステージに炎が上がり、重々しくも疾走するラウドな「BURN」が掻き鳴らされると、ステージ後方のスクリーンには凄まじい熱をはらむバトル映像が。そんな熱気が静まると、会場では『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』のスレイ、ミクリオ、ロゼ、アリーシャがここまでの旅を思い出すように語らいはじめる。そんな彼らの旅を共に刻んできた「風ノ唄」が響く。「Wowow~!」とオーディエンスの声が重なる。神々しいまでに光を放つ一曲で観客も風を起こしていくように歌う。続く「INNOSENSE」でも大地の歌のように広がっていくステージと会場一体の歌声。ドラマティックな音にスレイたちの過酷ながらも絆を深め続けたあの旅が蘇る。
「僕ら、本当にありがたいことに、いろんな国でもライブをやらせてもらっています。その度に“日本のアニメは愛されているな”と実感します。そしてそのアニメと同じくらい僕らの曲も愛してくれているのをすごく感じます。今回、サブスクで気づいたら『NARUTO-ナルト-』のテーマソングとして作らせてもらった「Sign」が2千万回再生を越えました。いろんな国で聴いてもらっていて、そしてFLOW全体の楽曲は1憶回再生を越えた、と。自分たちにとっても感謝しかなくて。その気持ちを伝えられるのはライブしかないです。なのでもう一度、“アニメ縛り”というタイトルをつけて、リターンズとしてパワーアップさせて実現させたいと思いました。みなさんの協力があって今こうして“アニメ縛りリターンズ”が出来ています。ありがとうございます。」とKEIGO。アニメの曲をただのタイアップだとは思っていない。アニメを作る人々が全てを賭けて作品に命を吹き込んでいるのを目の当たりにしているからこそ、自分たちも思いっきり作品とコラボレーションしているのだ、と。だからみんなに伝わっていると信じている。「この場を借りて、僕たちがコラボレーションさせてもらった全ての作品に感謝します」。アニソンやロックの壁をぶっ壊すFLOWにしか出来ないライブを!その想いがそのまま楽曲になったような、「光追いかけて」を会場と一緒に歌いあげると、暗転。轟く和太鼓の音が会場を木ノ葉の里へと誘っていく。幕張へやってきたのはナルト、サスケ、サクラにヒナタとシカマル。
「みんな!楽しんでっか?」と声をあげるナルトに楽し気な木ノ葉の面々。「どんだけあったまってんのか、確認しとかーと、な」というシカマルの声からコール&レスポンス。会場を壊す勢いで歓声をあげるオーディエンス。「まさかこれでOKってわけじゃないよな?」とサスケが口にすれば「前回よりもっと大きな声、出せるわよね!」とサクラが煽り、「もっと声、出せますかー!」とヒナタも声をあげる。彼らの「掻き鳴らせ!FLOW!」の声で「Re:member」が響く。久々に、ナルトたちとFLOW、そして会場とが一つになるような、絆を結んでいく一曲は新たな旅のはじまりを高らかに歌いあげる。FLOWがBORUTOもいる忍界と初めて繋がった「Break it down」では、激しくぶつかり合うバトルのようなバンドの音がせめぎ合い、スクリーンではゲーム『NARUTO×BORUTO 忍者 TRIBES』の映像が熱い戦いで楽曲を魅せる。少年時代のナルトたちの冒険を彩った「SUMMER FREAK」、さらに世界を揺るがした忍界大戦の佳境で物語のエンディングとしてナルトたちに寄り添った「虹の空」と続くと、放映当時の想いが去来するようだ。「GO!!!」では恒例のビッグウェーブにコール&レスポンスで一緒に声をあげ、高らかに「Fighting Dreamer」であることを堪能し、オーディエンスとバンドと、共に大きくジャンプ!最高の一体感を味わった。
いつもなら、この曲がライブのラストナンバー。しかし今日は違う。リターンしてきたアニメ縛りはこれまで以上に特別な時間。KEIGOが叫ぶ。「今日、歌わせてもらった全ての楽曲、全ての作品、そして目の前にいるみんながオレたちの誇りです。これからもオレたちにしか出来ないライブをやっていきます!よろしく!」。そしてKOHSHIが歌いはじめる。これは「Sign」。日本で、世界中で、愛される曲。その痛みがいつも君を守っている。ステージのFLOWが、フロアのFLOWが、画面の向こうのFLOWが一緒に歌う。全ての人をひとつにする歌。最後のサビをオーディエンスに歌わせると、次の瞬間、ステージ後方のスクリーンがニコ生と繋がる。最高潮のニコ生コメント弾幕!愛がいっぱいだ。愛でしかない。FLOWの楽曲がこんなに愛されているのだ、と。世界がナルトで、「Sign」で繋がった瞬間の感動は忘れられない光景となった。
アニメソングだとかロックだとか、そんなボーダーはぶっこわす。彼らの歌は世界を繋ぐ。これからも彼らはその歌でこの日を共に過ごした人たちに感謝と愛を届けていくのだと確信した。それは最後に再び映像で登場したゼロも感じたに違いない。またFLOWがコラボしたアニメを見たくなる。生き生きと駆けるキャラクターたちに会いたくなる。そんな熱が心に火を付ける夜だった。
(text by えびさわなち)
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