注目のトラックメイキング手法「タイプビート」を採用

okkaaa『ID20』インタビュー(Z世代の若きDIYアーティストが放つ3rd EP)

okkaaa『ID20』インタビュー(Z世代の若きDIYアーティストが放つ3rd EP)

2020/08/26

Z世代の若きDIYアーティスト、okkaaa(オッカー)が3rd EP『ID20』をリリースし話題を呼んでいる。「今の自分の魂を引き起こしたいと思った」という彼の言葉通り、本作では20歳から21歳におけるokkaaa自身の内面が綴られており、その世界観は「井戸」のようにどこかミステリアスで、新たなシーンへの期待とイマジネーションが掻き立てられる。ここでは、本人を始め、海外のラッパーなども採用している注目のトラックメイキング手法「タイプビート」の話を交えながら、各楽曲にかけた想いやエピソードを聞いてみた。

取材:東 徹夜(編集長)



──『ID20』を制作する際に、何かコンセプトのようなものはあったのですか?

okkaaa:実は今作では自分の内心というか、今の自分の魂を引き起こしたいと思ったんです。こういうことは、それまではやってこなかったんですけど、最近ようやく「自分の話をしてもいいステージ」に立ったかなという感覚もあって。それに単純に音楽家としても、もっと誠実になりたいと思った部分も大きくて。なので、全体を通じて内省的な歌詞の曲が多くできたかなと思っています。

──全部で5曲収録されているわけですが、最初にできた曲というのは?

okkaaa:最初にできたのは2曲目の「imsodigital」で、1年半くらい前に作ったものです。実はその頃ちょうど「アンビエント・ミュージック」と出会って衝撃を受けて、こういった新たなジャンルというか、楽曲にも挑戦したいなと思ったんです。

──okkaaaさんの場合、具体的にはどのように楽曲を制作していくのですか?

okkaaa:僕の場合、「タイプビート」という仕組みを使ってクリエイターさんからビートをライセンス購入しています。それに対してメロディーと歌詞を構築していくんですけど、まずはごちゃごちゃ語というか「あ〜、あっ」みたいにメロディーを考えて。そこに文字を起こすというか、感情を起こしていくという感じになります。

──「imsodigital」ではどんな世界観を描こうと?

okkaaa:歌詞の最後に「もう過ぎさった日々に恋焦がれていて 君がいれば何一つもいらないって」というのがあるのですが、このあたりを膨らませていきました。今までだったら「君」という特定の人を相手にする言葉は使わなかったんですけど、今回は先ほども話したように、よりプライベートなものにしようと思って。

──歌はDAWソフトにレコーディングしていくのですか?

okkaaa:はい。僕はプレソナス「Studio One」を使っているんですけど、そこに「タイプビート」で取得したビートを並べて、声をレコーディングしたりエディットしていきます。

──「タイプビート」には、リズム以外にベースやコード感のあるフレーズもあるのでしょうか?

okkaaa:ライセンスにもよるんですけど、1つのWAVではなくて、リズム以外の素材をパラで使えるものもあるし、僕の場合はFXなどを重ねたりして使うことも多いです。

──そういった作業は、okkaaaさん以外のプログラマーやアレンジャーの方に手伝ってもらうこともなく?

okkaaa:そうですね。僕はマスタリングまで全部一人でやっています。

──すべて「Studio One」で?

okkaaa:はい。エンジニアとして専門知識があるわけではないので、もう感覚的にやっているというか。

──それはすごいですね。ちなみに歌を録る際はどんなマイクを?

okkaaa:ブルーの「Bluebird」です。Bluebirdはそれまでに使っていたダイナミックマイクよりも中域が綺麗に録れるし、後から編集もしやすい印象があります。

──オーディオインターフェイスは何を使っているのですか?

okkaaa:Native Instruments「AUDIO-2」とヤマハ「AG06」です。

──では、そういった制作環境の中で「imsodigital」の次に生まれた楽曲というのは?

okkaaa:5曲目の「(twenty)sailing」になります。実は以前「(nineteen)swim」という曲を作ったことがあって、それは19〜20歳で感じたことを形にしたんですが、20歳〜21歳で思っていることもちゃんと書いておこうと思ったんです。自分の内面を描くというテーマ性にもぴったりと合っていたし、本作(5曲)の中ではリードトラックにあたる曲です。

──この曲で特にこだわったポイントというと?

okkaaa:声を重ねることですかね。今までも「タイプビートの中で、楽器としての自分の声をどうやって表現するか」をずっと考えてきたんですが、ちょうどRyan Beattyというアーティストの曲を聴いて刺激を受けて。彼の曲はPCミュージック由来のエレクトロっぽさもあるんですが、ちゃんと自分の声で美しい空間を作っているんですよね。自分の中ではネクストレベルに行っている人だなと感じていて。なので、リバーブ感であったり、声を重ねたりする部分は参考にさせてもらいました。

──声の重なりで言うと、3曲目の「IDO」もコーラスワークがかなり多彩ですよね。

okkaaa:ありがとうございます。1番最初のコーラスはサンプリングで僕の声ではないんですけど、後半のコーラスとかは僕のもので、幻想的な感じを出すために色々なことをやっています。実は、最後のアカペラ部分は最初はなかったんですが、楽曲を構築して行ったら「これは試せるんじゃないかな」って思って入れたんです。あと、この曲はもともと「歪められたものに対して美しいものを描く」という抽象的なテーマがあって、その歪んだものを表現するために自分の声にディストーションをかけたりもしていますね。

──なぜ曲名を「IDO(イド)」にしたのですか?

okkaaa:本作のテーマは、まさに自分の中に潜っていく「井戸の中に潜っていく感覚」に近いなと思ったんです。歌詞の中にもあるのですが、井戸に潜って新たな自分を探しにいく、自分を普遍化させることでもっと大きいところに行けるんじゃないか、地下世界に潜れるんじゃないかというメタファーを込めています。

──先ほどミックスやマスタリングまでされているという話が出ましたが、今作全体を通じてよく使ったプラグインなどがあれば教えてもらえますか。

okkaaa:まず、iZotope「RX 7」はノイズキャンセリングとしてよく使いました。これは友達に勧められて新たに導入したんですけど、使い方もその友達に教えてもらって。あと、WAVES「Doubler」もよく使いましたね。簡単に声に広がりが生まれるので、ミックスしていてすごく楽しかったです。ちなみに「Doubler」は「IDO」の後半の声にもかかっていますね。

──okkaaaさんの歌にはコンプなどもかかっているのですか?

okkaaa:はい。歌に関してはWAVES「CLA Vocal」をかけています。このプラグインだと簡単に歌の土台が作れるので重宝しています。で、ここに「Auto-Tune」をかけたり、Studio Oneのディレイの「Groove Delay」やリバーブをかけたりしています。
 

okkaaa Studio One▲DAWソフト「Studio One」での制作シーン


──1曲目の「CODE」も独特の浮遊感があって、ボーカルも含めて気持ちよく聴かせてもらいましたが、この楽曲はどのようにできたのですか?

okkaaa:この曲は、自分がやりたいことと、みんなが聴きたいであろう曲の中間を狙ったものなんです。自分のアンビエント的な作法とHIP HOPのビート感がちょうどマッチしたと思っています。

──歌詞ではどんなことを表現しようと?

okkaaa:これは現代におけるトライバリズムの加速とか、フィルターバブルによって自分の存在がなくなってきていることへの思いとか、そういったことに対して、自分が今でしか書けないことを組み合わせたらどうなるんだろうと思って。そういったことを書いてみました。歌詞の世界観は本作の中では割と過去にリリースしたものと地続きというか、前の作風に近いんじゃないかなと思います。

──4曲目の「Slow Field」についてはどうですか?

okkaaa:これは自粛期間中にできた曲で、歌詞はダークですけど音楽的にはオルタナティブな感じに挑戦していて。今までの作品の中では、一番チャレンジングなものになったと思っています。

──楽曲が小鳥のさえずりで終わるのも印象的でした。

okkaaa:無機質ではない、有機的なもので終わらせたかったんですよね。タイプビートを使うとどうしても無機質になりがちなんですけど、自分としてはその真逆な自然回帰というか、そういうことも表現したい願望があるんですよね。

──さて、今コロナの問題で音楽業界も変革を迫られていますが、今後、okkaaaさんとしてはどのような活動を?

okkaaa:それこそコロナ以降、リリースパーティーがなくなったりアーティストも大変な現状だと思うんですが、這い上がっていくには作品を作っていくしかないなと思っていて。自分が助けられるのも音楽だし、助けていくのも音楽なのかなと。今後ライブができるかとは、そういったことはもっと風通しがよくならないとわかりませんけど、まずは今自分ができることをやろうと思っています。

──今作『ID20』は、okkaaaさんにとってどんな作品になりましたか?

okkaaa:そうですね。今作は「自分の魂に光をあてる」という内生的な世界観を歌詞にした曲が多いのですが、自分が今どんな音楽をやりたいのか、そういった部分にも誠実に向き合えた作品になったかなと思っています。次はその殻を破って、もっと大きな楽曲を作っていきたいなと思っているんですが、まずはそういった今の世界観とサウンドを皆さんにも楽しんでもらえたらうれしいです。

okkaaa

★各種リンクまとめlinkfire
https://caroline.lnk.to/okkaaa

★『ID20』特設サイト
https://www.okkaaa.com/id20

★HP
https://www.okkaaa.com/

★Podcast公開中
https://anchor.fm/okkaaa

この記事の画像一覧

(全2枚) 大きなサイズで見る。

インタビュー

インタビューの記事一覧はコチラ

okkaaa
3rd EP『ID20』
発売中


okkaaa『ID20』

【INDEX】
1 CODE (読み:コード)
lyrics : okkaaa / music : okkaaa, ILLUID HALLER

2 imsodigital (読み:アイムソーデジタル)
lyrics : okkaaa / music : okkaaa, 8ROKEBOY

3 IDO (読み:イド)
lyrics : okkaaa / music : okkaaa, ILLUID HALLER

4 Slow field (読み:スロウフィールド)
lyrics : okkaaa / music : okkaaa, Young Swisher Beats

5 (twenty)sailing (読み:トゥウェンティーセイリング)
lyrics : okkaaa / music : okkaaa, 8ROKEBOY

okkaaa(オッカー)

◆Profile
1999年⽣まれの20歳。 アーティスト、文筆家。 ミュージシャン/文筆家/フォトグラファーという様々な側⾯を持つ今期待の新世代DIYアーティスト。心地よく響くウィスパー・ボイスと歌詞が特徴で、Daniel Caesarや宇多⽥ヒカル、小説家・村上春樹などからのを影響を受け、ヒップ・ホップ、R&B、ゴスペルなど様々なジャンルの要素を感じることができる。楽曲制作もさることながら、ミュージック・ビデオの制作、楽曲のジャケットやwebサイトなども全てセルフ・プロデュースしている。 2019年2⽉には曲「シティーシティー」がSpotifyのバイラル・チャートにランクインし、2019年7⽉にはSpotifyの新人発掘プロジェクト「Early Noise」のカバーを飾る。Enter Tech Lab主催『CHACCA CHALLEGE』で最優秀賞を獲得。シングル「積乱雲」は2019年のベスト・ミュージックとして数多くのキュレーターからピックアップされ、グラミー賞にノミネートされたプロデューサー/ DJのstarRoなど、⽇本の最もホットなプロデューサーからの支持を得ている。流動的でボーダーレスな芸術性を持つ'okkaaa'は、インディペンデントな姿勢を保ちつつ、現⾏シーンを横断する今期待のマルチ・クリエイターである。


Twitter
Instagram
YouTube
Apple Music
Spotify

『ID20』の世界観を自らが語る特設サイトオープン
https://www.okkaaa.com/id20

関連する記事

インタビュー

インタビューの記事一覧はコチラ
PAGE TOP