牧野由依の歌う「レット・イット・ゴー」を含む、ファンタジー感満載のディズニーアルバム
Serph『Dieney Glitter Melodies』インタビュー(電子音による楽曲の制作エピソードを公開)
Serph『Dieney Glitter Melodies』インタビュー(電子音による楽曲の制作エピソードを公開)
2020/10/20
取材:東 哲哉(編集長)
──そもそも、今回のアルバムを制作することになった経緯から教えて頂けますか。
Serph:ユニバーサルの方からお話を頂いて制作することになりました。
──Serphさんご自身は、ディズニーに対してはどのような印象をお持ちですか?
Serph:やっぱりファンタジーの総本山という感じですかね。意識してなくても小さい頃から影響を受けていると思います。
──ちなみに好きなアトラクションや映画などを挙げるとすると?
Serph:最近の作品ですけど、『ズートピア』や『トゥモローランド』はキャラクター、ストーリーともに好きです。
──さて、今作にはディズニーを代表する12曲(デラックス盤を含めると13曲)が入っているわけですが、選曲された基準というのは?
Serph:一通りディズニーの曲を聴いてみて、メロディーがしっかりしていて自分の作風に合いそうなものを選びました。
──では、最初に着手された曲は?
Serph:11曲目の「星に願いを」です。で、その後が10曲目の「いつでも一緒」。どちらもメロディーがシンプルで始めやすかったので。
──「星に願いを」は冒頭のオルゴールの音色が印象的でしたが、これはどのような音源で鳴らしているのですか?
Serph:たしかイギリスかどこかのサンプルですね。教会、鐘、ミュージックボックスなどの音を録音した素材集が元だったと思います。それをエイブルトン「Live」のサンプラーで鳴らしています。
──ウッドベースのようなフレーズも入っていますよね?
Serph:あれはオーディオサンプルを切り貼りして作りました。
──「Live」のサンプラーに取り込んで打ち込みしたということですか?
Serph:いえ、オリジナルのウッドベースのフレーズを細かくピッチ調整して使っているんですよ。
──ちょうどよく楽曲にマッチするフレーズがあったんですね。
Serph:はい。素材はかなり揃えているので。
Serph:そうですね。アルペジオっぽいのはサンプルで、ピアノとシンセのスイープっぽい音は「Live」の中の音源です。
Serph:はい。「いつでも一緒」の後に作ったのがこの楽曲なんですけど、チップチューンっぽい音が入っていますね。これは「Sonix LFO Chabela」です。この曲はもともとスウィングしているドラムにメロディーを加えていったのですが、それはカエルカフェのジャズドラムのサンプルです。
Serph:いえ、全部耳コピなんです。
──他の曲もすべて?
Serph:はい。
──Serphさんは、もともとピアノを勉強されていたのですか?
Serph:半年間くらい習っていたんですけど、全然ダメで。あと、クラシックギターも1年半くらいやったんですけど、それもダメで(笑)
──でも、ディズニーの曲の耳コピができるなんて、すごい才能の持ち主だと思います。
Serph:まぁ、いい経験になったんでしょうね。
──耳コピするのも大変ですよね?
Serph:でも、集中すれば結構やれるもんですよ。
──1曲を作るのに、どのくらいの時間をかけるものなのですか?
Serph:数日程度です。アルバム全体で3ヶ月間くらいですから。
──そうなんですね。では、「メインストリート・エレクトリカル・パレード」の次にできた曲というのは?
Serph:「真実のキス」、「ぼくの旅」辺りです。でも、その後「レット・イット・ゴー」以外は間髪入れずに作っていった感じです。
Serph:はい。これはギターの単音のサウンドをサンプラーに入れて、弾いています。
──ギターには歪み系のエフェクトも加えているのですか?
Serph:いえ、もとの音のままです。低域がちょっと出ていたのでEQでカットしたくらいです。
Serph:サブスク系のものにも入ってますし、そういうので日頃から探していますね。
──続いて3曲目「レット・イット・ゴー」についてですが、こちらの曲では牧野さんをフィーチャーされていますよね。Serphさんの方からオファーを?
Serph:はい。もともと僕がファンで、ユニバーサルさん経由で打診させてもらいました。
──牧野さんのどんなところに魅力を?
Serph:何というか、エモーショナルで高音が通りますよね。声域も広いし。
──楽曲自体は牧野さんの歌声に合うようなアレンジを考えて?
Serph:そうですね。「レット・イット・ゴー」の原曲は声を張って突き抜けて勝利するみたいなイメージだったんですけど、僕はサビのところをよりリリカルにさせて落ちサビにしました。そうすることで、牧野さんの声がより際立つと思って。
──牧野さんの歌のキーに合わせて楽曲を用意されたのですか?
Serph:いえ、そこは原曲のキーのままですね。
──音色などでこだわった点を挙げるとすると?
Serph:周波数の高い電子音を細かく刻んで、一番上にスパイスっぽく重ねているんですけど、それで雪の感じを演出しています。そこはこだわったところだと思います。
──牧野さんとは実際にレコーディングではお会いされたのですか?
Serph:はい。
──何かサジェスチョンされたりとかは?
Serph:牧野さんらしさが出ればいいと思ったので、特にはしなかったです。
──レコーディングが終わって、どのような感想でしたか?
Serph:想像通りの出来栄えで満足でした。
──その後のミックス作業というのは、エンジニアさんがされたのですか?
Serph:いえ、エンジニアさんにドライなボーカル素材をもらって、ミックスは僕自身でやりました。
──どのようなボーカル処理をされたのですか?
Serph:「Max/MSP」のディレイがすごくマッチしていると思って、それをかけています。あと、「Speech Enhancer」のコンプとEQで少し中音域を下げて。わりとドンシャリ系の感じが好きなので。
Serph:いえ、基本は「Live」のみですね。
──Serphさんは「Live」の使用歴はどれくらいなのですか?
Serph:「Live 4」くらいから使っているので、もうかれこれ10年以上になりますね。
──なぜ「Live」をチョイスされたのですか?
Serph:なんとなくですよ。デザインとか自分に合いそうだなと思って。
──ミックスで使用したヘッドホンやスピーカーについても教えて頂けますか。
Serph:ヘッドホンはゼンハイザーで、スピーカーはJBLの20〜30年前の結構デカいものを使ってます。ゼンハイザーのはスピーカーで鳴らしたときの感じに近いので気に入ってます。で、イヤホンはバング&オルフセンですね。バング&オルフセンも余計なイコライジングされてなくて、わりと素直な印象だったので使っています。
──ミックスする上で苦労した曲はありましたか?
Serph:やっぱり「レット・イット・ゴー」ですかね。僕は普段あまりボーカルものはミックスした経験がなかったもので。
──わかりました。では、そろそろ時間がきてしまったので、あらためて今作の聴きどころを一言お願いできますか。
Serph:そうですね。聴きどころではないですけど、まずは現実を忘れるような体験をしてもらいたいですね。例えば「美女と野獣」の後半は、ピッチが徐々に上がってより盛り上がるような展開にしているんですけど、そういった部分も含めてファンタジーの世界に心を飛ばしてもらえたらうれしいです。
──今作はジャケ写もディズニーとSerphさんのコラボとなっていますよね。
Serph:はい。これまでも僕の作品を手掛けている河野愛さんがデザインをしてくれています。特にミッキーの周りの装飾がSerphの世界観になっていると思います。細かいタッチの絵なんですけど、まさに今作の「電子音で彩られたディズニーの世界観」が表わされていると思います。楽曲と共にジャケ写の世界も楽しんでもらえたらと思います。
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