来年春からのホールツアーを発表!

ReoNa、12/8(火)にLINE CUBE SHIBUAで有観客&生配信の“ハイブリッドワンマンライブ”を大団円の中終了!

ReoNa、12/8(火)にLINE CUBE SHIBUAで有観客&生配信の“ハイブリッドワンマンライブ”を大団円の中終了!

2020/12/09

ReoNaPhoto by 平野タカシ

 

ReoNa
ReoNa

 

ReoNa

 

師走とは思えない程に暖かな天候。2020年12月8日(火)、18時。東京・LINE CUBE SHIBUYA。待ち焦がれた「ReoNa Online Live "UNDER-WORLD"」のドアが開いた。

ReoNaにとって、約1年ぶりとなるワンマンライブは、会場でのリアルライブをABEMAにて独占生配信するという初の“ハイブリッド形式”でのワンマンライブ、全世界を巻き込んだ、未曾有の目に見えぬ猛威に見舞われた2020年、その年末を締めくくる久しぶりのReoNaワールドとあって、今か今かと待ちわびていた会場に入るファンの表情も、高揚と共にどこか緊張の色が見える。

普段のReoNaのワンマンライブは、会場内にクラシックや洋楽が流れ、ライブへの期待を盛り上げる。しかし今回の「UNDER-WORLD」はいつもと違い、サイバーなロゴがステージ幕に映し出され、電子音が鳴り響くという、どこか近未来感と無機質感のある会場演出。立方体型の機械的なロゴが、「ソードアート・オンライン」シリーズ関連楽曲で構成されるライブと謳っていたこのライブの一つの意義を物言わず語る。

19時、独特の緊張感の中、ステージ幕に映し出された映像が動き出す。ReoNaが紡いできた、「ソードアート・オンライン」関連楽曲の歌詞朗読から始まる、ReoNaオリジナルのコンテンツ、「こえにっき」風ムービーが流れる。緊張感漂う空間の中、「ReoNa “UNDER-WORLD”」というライブタイトルコールから、ライブ本編が遂にスタートした。まさかのReoNaの第一声目はReoNaのシルエットが映し出されたステージ幕の中で発せられた、「魂の色は何色ですか」というパンチラインだった。

直後のバンドインと共に振り落とされたステージ幕の奥に居たのは、ReoNaとバンドメンバー、そして8人のストリングス奏者。ReoNaの最新シングルでありながら、最大の代表曲となったTVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」最終章OPテーマ「ANIMA」を1曲目に持ってくるライブ構成から、「このライブは何が起こるか分からない」という期待が高まる。1曲目から一気にボルテージの上がるナンバーを投げ込んだReoNaから、「ようこそ、“UNDER-WORLD”へ」と短いMCが放たれ、次の楽曲へ。ReoNaのライブと言えば、独特の静寂と静謐さが特徴だが、今回のライブは、「ソードアート・オンライン」の楽曲で構成されたセットリスト。

一気に上がった会場の熱を引き連れたまま、TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」2ndクールのEDテーマ「forget-me-not」へと続く。シンガロングを起こせない今回のライブではあるが、それでもファンからの視線と熱気はステージ上のReoNaにあつまり、自然と会場は一体感を増していく。間髪入れずに3曲目にドロップされたのは、家庭用ゲーム「ソードアート・オンライン アリシゼーション リコリス」OPテーマ「Scar/let」。有観客ライブで演奏されたのは今回が初となる本楽曲は、ギター・ピアノ・ドラム・ベース、全てがReoNaのボーカルと剣を合わせる様に折り重なり、まさに戦闘シーンの様相を呈する、ロックナンバー。ReoNaが“ReoNa役”としてゲームに登場している事もあり、熱量の高い歌唱を披露する。見ている側が手に汗を握る、ReoNaの新たなアプローチとなったこの楽曲は、今後のライブにおいても大事なポジションになるであろうポテンシャルを感じさせる。

3曲のナンバーを、派手にかましたReoNaは、ここで改めて来場者、そして配信で観覧しているユーザーに対して挨拶のMC。「それぞれの場所で、それぞれの空間で、わたしと、あなたと、一対一。」そう言って続けたナンバーは、神崎エルザ starring ReoNaとして、TVアニメ「ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン」の戦闘シーンを彩った「Disorder」だった。クラシック曲「魔王」をモチーフにした楽曲としては、恐らく日本アニメ史史上最も攻撃力を秘めたこの楽曲で、会場の興奮度はMAXに。まさかのハードセットリストの連続に熱を落とせない観客がさらに吃驚を上げたのは、「Disorder」のアウトロからシームレスに繋げられた「Independence」だった。同じくアニメ「ガンゲイル・オンライン」の戦闘シーンを彩った超攻撃的な1曲。これまでのReoNaのライブにおいて、この「Disorder」と「Independence」が同時にセットリストに入ることは殆ど無く、何度も述べている通り、このライブが「ソードアート・オンライン」シリーズ楽曲づくしのライブである事に気づき、作品ファンとしては垂涎を隠せない。

そして、さらに“戦闘”は終わらない。「Independence」のアウトロからノータイムで、神崎エルザ starring ReoNa名義での最大の狂気性、「Dancer in the Discord」へと繋がる。ドヴォルザークの「新世界より」のキーフレーズをリフに散りばめたこの楽曲は、たくさんの不協和音に包まれた今の世界の状況から、新たな世界への幕明けを目指してひたすらに叫んでいる、世界中のメッセージの代弁なのかもしれない。ここまで積極的に、攻撃的に攻めたセットリストは、ReoNa史上初とも言える。6曲のアップテンポ、ロックナンバーを叩き込んだ後は、「ここからはちょっと一息」、とReoNaが語る。続く楽曲は、「サイズの合わない靴なんていっそ脱ぎ捨てて、降り注ぐ雨の中でも、歌い続けられたら」という未来への明るい希望を描いた「step, step」。ムソルグスキーの「展覧会の絵『プロムナード』」をモチーフにした明るい世界が会場に響き渡り、先程までの攻撃的な空気から一変、温かく笑顔の拡がる世界に会場が包まれる。

そのバトンを繋げたのは、ショパン「別れの曲」をモチーフにした、浸透圧の高いキラキラとした音色に彩られた「ヒカリ」。神崎エルザ starring ReoNa名義の楽曲が続きながらも、ReoNaの世界観として違和感なく自然に受け入れられるのは、ReoNaという“依り代”としての存在のなし得る技であろう。LINE CUBE SHIBUYAを包む温かく柔らかな空気をまとったまま、ReoNaの原点である神崎エルザ、そして神崎エルザの原点である“別れ”を、ReoNaは訥々とした言葉で語る。その“さよなら”を“始まり”にした神崎エルザ starring ReoNa名義の楽曲、「葬送の儀(うた)」を、このライブの特別として、アコースティックバージョンにて披露。優しい拍手のなか、ReoNaはまた、語り始める。雨が降り終わったら、雲は晴れる。そこに必ず虹がかかるという保証はないし、かといって雨宿りしたままいつまでも同じ場所に居られるわけでもない。向かう先が「虹の彼方じゃなくたって」、またここから歩き出して、語った刹那、アコースティックギターからスタートしたのは、ReoNaがTVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」挿入歌「虹の彼方に」のアンサーソングとして発表した「雨に唄えば」。本来アコースティックギターとReoNaの声だけ、という極限までシンプルな演奏形態の楽曲だが、アウトロに重なってきたのは、ピアノの音色。

アンサーソングからの「虹の彼方に」の演奏への連なりは、「ソードアート・オンライン」ファンの涙腺を崩壊させる。“でもね 行くよ 辿り着く場所が 虹の彼方じゃなくたって いいんだ きっと また逢えるから”そう歌い終えるこの歌詞は、きっと、ReoNaなりの、このライブで伝えたかったメッセージの一つだと感じる。会場に響き渡るのは、ピアノ1本による「レプリカ」のインストゥルメンタルバージョン。その演奏を、長いイントロダクションの様にたっぷり感じさせながら、一つ息を吸ったReoNaから発せられた「Goodbye 旅に出ようか」というセンテンス。ReoNaの声が、初めてテレビを通して発信された始まりの1曲「ピルグリム」だ。神崎エルザ starring ReoNaの原曲バージョンではなく、ファーストアルバムのボーナストラックに収録されたReoNaバージョンとして、ストリングスを交えて華やかにパフォーマンスされた。ReoNaはまた、静かに語り掛ける。いままでの自分を振り返って、これまで生きて得られたものは何だっただろうかと。神崎エルザと同じく、せめて、好きで居続けられたものだけは大切にして、何にも縛られず、逃げたいところに逃げて。そんな一人だけの旅路を、終わりのないエスケープを求めた楽曲「ALONE」へと繋ぐ。ここまで13曲、様々な楽曲を休み無く演奏してきたことを忘れさせるReoNaの晴れやかな表情を見ると、ライブが終盤に近くなればなるほど、寂しさも込み上げてくる。

ReoNaは、神崎エルザという存在に、“お歌を届けられる理由”をもらったと語る。現在の“アニソンシンガー”としての夢のような居場所をくれた存在、神崎エルザ。その神崎エルザの“依り代”としてReoNaに“お歌”を紡ぐ理由をくれた楽曲、と語り、神崎エルザのメジャーバラード、「Rea(s)oN」をReoNa自身のギターと声で奏で始める。神崎エルザ starring ReoNaとして、“ただそれだけで、命は輝くから”、歌詞の最後のセンテンスが涙と笑顔を誘う。会場いっぱいの喝采を受け、ReoNaは最後のMCを語り始める。「ソードアート・オンライン」への想い、感謝、想い出を語るReoNaを、会場中が、そして画面を通して観ているファンが、息を飲みながら見守る。そんな想いを語るReoNaから、来年の4月から開催となるツアー、「ReoNa ONE-MAN Concert Tour “unknown”」の情報が初めて発表され、“今日が終わりではない”“また、ReoNaの世界に浸れる”そんな思いが会場に広がり、期待と祝福と歓喜を込めた大きな拍手に包まれた。“また、お歌受け取りに来てくれますか?”そんな問いかけが、これから来るはずの明るい未来への期待を抱かせる。栄光はなくても、正常じゃなくても、成功は無なくても、正解じゃなくても、きっと命は続いていく、そう言い放って届けられたのは、24人のクワイアーチームを加えてのラストナンバー、「ソードアート・オンライン」原作小説10周年記念テーマソング「Till the End」。

今回のライブの全てを締めくくる大団円に向け、本日一番の音圧で届けられる、6分間の「ソードアート・オンライン」の世界を詰め込んだ渾身の一曲だ。「ソードアート・オンライン」の歴史そのものを歌詞に、メロディに、演奏に込めて、ReoNaが、バンドメンバーが、ストリングスチームが、クワイアーチームが全員一つになって魂を紡ぐ。その曲名が表すとおり、“終わりまで、果てまで、お歌で寄り添い続けられますように”という願いが、ReoNaの歌を通して、会場に、画面の向こうに届けられる。

全15曲、1時間半を超える「ソードアート・オンライン」関連楽曲づくしのReoNaのライブ。大きな拍手と涙、喝采のなか、演奏したバンドメンバーと共にカーテンコールへ。ギタリスト堀崎 翔、ドラム比田井 修、キーボード荒幡亮平、ベース二村 学の4名を高らかに紹介し、バンドメンバーと共に大きく一礼。メンバーは先にステージを降りるが、ReoNaは一人、会場に向けて、大きく三か所、心からの感謝をすべての人へ、そして「ソードアート・オンライン」へ捧げるお辞儀をする。そしてReoNaのお決まりの挨拶「じゃあな!」と放ち、最後の一礼をし、幕を閉じた。“絶望系アニソンシンガー”は、絶望を歌う存在ではなく、聴く者を絶望させる歌を歌う存在でもない。世にある名も無き絶望に寄り添い、絶望を抱える人に共感し、共に絶望する気持ちを抱えてくれる存在。そんな危なっかしい、硝子細工みたいな存在のReoNaにしか伝えられないメッセージ、歌えない“お歌”がある、と心から感じさせてくれる一夜だった。

【「ReoNa Online Live "UNDER-WORLD"」セットリスト】
1.ANIMA
2.forget-me-not
3.Scar/let
4.Disorder
5.Independence
6.Dancer in the Discord
7.step, step
8.ヒカリ
9.葬送の儀 -Acoustic ver.-
10.雨に唄えば
11.虹の彼方に
12.ピルグリム -ReoNa ver.-
13.ALONE
14.Rea(s)oN
15.Till the End

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