12月12日・土曜日

LiSA、初となるオンラインライブ「ONLiNE LEO-NiNE」を開催!

LiSA、初となるオンラインライブ「ONLiNE LEO-NiNE」を開催!

2020/12/13

LiSAphoto by hajime

 

LiSA
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2019年末を初の「第70回紅白歌合戦」出場というアーティスト人生史上における一大イベントで締めくくり、年明けから意気揚々順風満帆、初のアコースティックライブツアーや初のドーム公演、ホールツアーなどの“ライブ”と共に走り始める、はずたった2020年。目に見えぬ敵が世界中を脅かし、世の中のコンサート・ライブ・フェスは悉く延期・中止を余儀なくされ、その悪魔の牙はLiSAにも例外無く襲い掛かった。

“命”とも呼べるライブを封じられながらも、2020年には前年開催したライブツアーを収めた映像商品「LiVE is Smile Always ~364+JOKER~ at YOKOHAMA」をリリースし、そのライブパフォーマンスの魅力とこれからの未来に行われるライブへの期待を煽った春。

そしてさらに、10月には自身の大記録を打ち立てる事となった、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』主題歌シングル「炎」、そして3年半ぶりとなるフルアルバム「LEO-NiNE」を2タイトル同時リリース。数々のチャートを席巻し、オリコン週間アルバム・シングルランキング(10/26付)にて令和初となる“W1位”を獲得、配信でも大ヒットを見せ、“オリコン週間音楽ランキング1位獲得数”で史上最多の7冠という快挙を見せた。

そんな大ヒット・大躍進・大爆走のLiSAが、シングル「炎」・アルバム「LEO-NiNE」を引っ提げて、2020年に新たにスタンダードとなった配信上でのライブを開催。本レポートでは、LiSA初となるオンラインライブ「ONLiNE LEO-NiNE」の模様をお伝えする。


2020年12月12日・土曜日。前述のヒットが示すとおり、いまやテレビやラジオでその姿を声を観ない聴かない日は無い程に“国民的アーティスト”の一人となったLiSAの初のオンラインライブ開催とあって、開演を待ちきれずノートパソコンの前で武者震いをする。時刻は20時、その歴史の瞬間が訪れた。

子供向けの童話番組さながらのペーパークラフト風アニメーションから、「ONLiNE LEO-NiNE」という物語は幕を開ける。炎に似たタテガミを揺らす雄々しいライオン、“レオナイン”が闊歩する、孤独に憑りつかれ、愛と希望と生きる意味を探して走り続ける、悲しくも儚い物語だ。物語は進み、レオナインが吠えた先にある岩が「L」の字に割れ、画面はライブロゴを撮り切る。

画面はアニメーションから実写に移り代わり、ライブハウスの様な骨組みの中に構えるバンドメンバーとLiSAを映し出す。聴く者を鼓舞するギターリフから放たれるファーストナンバーは、アルバム「LEO-NiNE」に収録されている応援歌・「マコトシヤカ」だった。無観客にも関わらずスタジアムの真ん中で歌う様なLiSAの姿が、このライブが“最初から最後まで、ロックヒロインLiSAが楽しませてくれる”という期待を無条件に植え付ける。

初っ端からスピードナンバーを元気に歌い終えた矢先、音を切らずに奏で始めるのはLiSAの代表曲の1曲、「Catch the Moment」。心臓の鼓動と時計の針音をイメージさせるリムショットのとピアノのイントロから始まるポップロックだが、武骨でストレートなロックサウンドの中で「あと何回キミと笑えるの?」と問いかけるLiSAの表情が不思議と涙を誘う。

息つく間もなく、3曲目へと繋げるLiSAは、イントロで「ようこそ“ONLiNE LEO-NiNEへ。今日、この特別、全部、届けるからね!受け取ってー!」と絶唱。続く楽曲は「晴レ舞台」だ。

LiSAの主戦場はやはり“ライブ”なんだと感じさせてくれる楽しそうな笑顔を見ると、オンラインでもオフラインでも、“ライブ”こそが正にLiSAの“晴レ舞台”なのだと納得する。

ここまで3曲を一気に歌い上げたLiSAは、羽織っていたチェックシャツとデニムジャケットを脱ぎ、衣装チェンジ。マルチカラーのファージャケットを羽織ると、LiSAはまた、満面の笑顔で「”ONLiNE LEO-NiNE“へようこそ、こんばんは、LiSAです!」と高らかに吠える。1年ぶりのライブが叶った事に対する喜びと想いを吐露するLiSAは、画面越しにファンを煽る。画面越しのファンの声が「聴こえる聴こえる」と満足そうな笑みを見せながらライブへの想いを語り、めいっぱい楽しんでいる様子を見せる。LiSAのライブでのお決まり、「最高に楽しんでいきましょう、ピース!」の発声から次の楽曲へ。

4曲目は、8ビットのチップチューンが特徴的な「エレクトリリカル」。ダンサー2名を従え、ダンスレクチャーをLiSA自らが披露し、演奏へ。オンラインライブならでは、ドットキャラクターたちが画面に重なるAR演出も飛び出す。マイクスタンドを前に軽快に踊りながら、「バーチャルの彼方、おいでよ」というリリックが、今回のライブのコンセプトに心地良く重なる。

一気に雰囲気を変えた5曲目は、LiSA初のドラマ主題歌となった「愛錠」。絡み付く女の情念をテーマに歌うLiSAは、数分前までコミカルに踊っていたとは思えない程に、少女からオトナの女性に、存在を変える。

その妖艶な空気を纏ったまま、6曲目の「わがままケット・シー」へと、物語は繋がる。厚手のカラフルなファージャケットを脱ぎ、白いワンピースを織ったLiSAは、LEDで作られたステージへと移動する。“地面を映像背景にする”という演出は、なるほど縦横無尽に動くカメラがあり、俯瞰で演者を捉える事が出来る前提の配信ライブでしか実現不可能。LiSAは、オンラインライブを通じて、リアルライブでは成立し得ない世界を表現していく。

オトナの魅力、エロスとも呼べるその世界観を披露しながらも、驚かされたのは、楽曲の最後。先程までステージで歌っていたはずのLiSAは、いつの間にかLEDの“部屋”の中に寝そべっているのだ。

その“光の部屋”の中で立ち上がり歌い出したのは、7曲目「unlasting」。TVアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」のEDテーマでもある別れのバラードを、幾何学的なスーツを身に纏ったダンサーたちを横目に歌い上げる。部屋の全面が光を放つ異様な世界観は、今まで固定概念的に持っていた“ライブ”という前提を容易に覆してくる。

情念を3曲歌い終え、またLiSAは前へと歩き出す。LEDの壁がせり上がり、またもやバンドメンバーが登場。等間隔に並べられた目くらましのライトを背景に、エナメルのワンピースに身を包んだLiSAのシルエットが浮かび上がる。アルバム「LEO-NiNE」に収録されている中でも一際ハードなナンバー、「cancellation」を8曲目にドロップ。1曲通して終始シルエットのまま歌い続けるLiSAは、その影ですらロックシンガーである存在感を滲み出させる。

ハードナンバーを演奏し終え、LiSAとバンドメンバーはまたステージを移動。真っ赤な背景を前にドラム、ベース、キーボード、ギターの順に演奏が重なっていく。バンドメンバーのセンターに現れたLiSAが次に歌い始めたのは、9曲目「赤い罠(who loves it?)」。ジャジーでハネたマイナーロックが、また再び今日が“ライブなんだ”という現実へと引き戻す。

激しく艶っぽく歌い上げた後、一時の無音が訪れる。灯篭からはゆらゆらと炎が上がり、既にLiSAの2020年を決定づけた1曲の旋律が流れ始める。真っ赤な羽織りに着替えたLiSAが10曲目に用意したのは、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』主題歌、「炎」。数々のチャートを席巻し、有名音楽番組でも数多く披露されてきたLiSAの名バラードだが、毎回歌う度にその楽曲から受ける印象が違うのは、歌っているLiSAの目に映っているものが変化するたびに楽曲も揺れる“炎”の様に姿を変えていくからだろう。今日のLiSAの目には、無観客の会場にいるはずのない、多くの観客たちの姿が見えていたのではないだろうか。

「炎」を高らかに熱唱した直後、また訪れる静寂。そしてLiSAが続けたのは、まさかここで持ってくるとは想像だにしなかった、街に耳に沁み込んだあのフレーズ。11曲目、「強くなれる理由を知った 僕を連れて進め」から始まったのは、LiSAを大きく日本中へ、国境を越えて羽ばたかせた代表曲「紅蓮華」だ。TVアニメ「鬼滅の刃」のOPテーマとして、世代を問わず日本中に浸透した和を感じさせるロックナンバーは、2体の“鬼ダンサー”を引き連れて激しく奏でられていく。アウトロをかき回すバンドメンバーの間をすり抜け、LiSAは背景の赤い壁へ。

赤い壁をおもむろに殴り壊し、またLiSAは次のステージへと。

洋楽的なワールドへと、急激に世界観は変化する。先程までギタリストとしてバックで演奏していたPABLOをVoに引き抜き、迷彩に身を包んだLiSAは、終盤12曲目「play the world! feat.PABLO」をパフォーマンス。火の玉が上がり、煙が充満する荒廃的な舞台セットの中、ダンサーを交えて2人で激しくデュエットする。

パワフルにワイルドに歌い終えた刹那、LiSAが次にセレクトしたのは、LiSAのワンマンでもロックフェスでもその楽曲のイントロが流れるとフロアが沸き立つロックナンバー「Rising Hope」だ。力強くシャウトするLiSAの姿を観ると、既にここが画面を通したオンラインライブである事を忘れてしまっている自分がいた。

今日のLiSAは、疲れを知らない。ここぞとばかりに間髪入れずに刻まれるギターリフから始まったのは、LiSA屈指のパワフルナンバー「ADAMAS」。“固い意志”をダイヤモンド=ADAMASに擬えて叫ぶ様に言葉を絞り出すLiSAは、これから来る未来に向けて革命の確証を輝かせる。

力いっぱい、全身全霊を込めてここまで14曲を一気に走ってきたLiSAがラストナンバーに選んだのは、“駆け抜けろ時代を”“吠えてやれ”と元気付ける「ハウル」。

幾つものステージを移動してきた本ライブのタネ明かしとばかりに、LiSAは広大なフロアを練り歩きながら笑顔で放たれるポジティブなメッセージは、観る者聴く者全てを笑顔に変える。

銀色の紙吹雪が大団円を彩る中、LiSAは歌い続ける。

そしてLiSAは、演奏に乗せて最後のメッセージを叫ぶ。

いつも当たり前の様にあった幸せが、特別なんだって気づいた2020年。キミのコトを沢山想って、どうしてもキミに会いたくなった2020年。不安があったり、不安になったり、立ち止まったりしそうになっても、今日私たちは、ここに辿り着いた。いつも、ホントにありがとう。もっともっと最高な未来が、私たちに待ってますように。今日を越えていけ、もっともっと越えていけ。


晴れやかな顔で、嘘偽りない、真っすぐな想いを画面越しに放ち、お決まりのLiSA流の「See You」、“ばいちっ。”で幕は閉じた。誰もが平等に過ごしていた日常が大きく変化し、ライブというコンテンツが生活から一気に遠くなってしまった2020年。

それでも、LiSAの“命”でもあるライブは、新たな形で2020年12月12日に届けられた。これから来る2021年、そして未来には、また明るい“ライブ”の世界が待っている。

そしてきっとそのステージの真ん中には、ポジティブで、明るくて、妖艶で、激しくて、八重歯がトレードマークのLiSAが立っている。笑いながらまたそこで、彼女は高らかに声を上げる。

“最高に楽しんでいきましょう、ピース!”

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