最新作『夜行秘密』楽曲も携え充実のツアーに
indigo la End、3月26日にLINE CUBE SHIBUYAで「indigo la End ONEMAN TOUR 2020-2021『夜警』」のツアーファイナルを開催!
indigo la End、3月26日にLINE CUBE SHIBUYAで「indigo la End ONEMAN TOUR 2020-2021『夜警』」のツアーファイナルを開催!
2021/03/27
撮影:鳥居洋介
SEとともにメンバーがステージ上に姿を現し、一曲目に披露されたのはフュージョン色の強いイントロのシンセに導かれる“夜風とハヤブサ”。後鳥亮介のスラップベースを軸に、長田カーティスのカッティング、佐藤栄太郎のドラムがグルーヴを生み出し、川谷絵音がハンドマイクで複雑でありながらもキャッチーなメロディーを歌い上げる。
序盤は“夜行”や“夜漁り”など、『夜行秘密』からの「夜」をテーマにした楽曲と、“想いきり”や“瞳に映らない”といったライブの定番曲を織り交ぜながら進行。声を出せないオーディエンスも、手を上げたり、手拍子をしたりして、バンドの熱演に応えている。MCでは川谷がツアーを振り返り、収容人数が制限されたフロアを前に、「またここがいっぱいにできるまで頑張ります」と話すと、今回のツアーでひさびさに演奏されるようになった“藍色好きさ”が届けられた。
ライブ中盤では再び『夜行秘密』からの楽曲が続き、自在に動いて様々なデザインを作り出していくLED照明とスモークによる幻想的な雰囲気の中、“たまゆら”や“左恋”を披露。人気曲“チューリップ”では、花言葉をモチーフにした歌詞に合わせて照明が赤から白へと変化し、物語性のあるステージが作り出されていった。
続くMCでは川谷が「音楽を本気でやめようと思ったことは一度もないけど、日によって気持ちは変わって、グラグラしてる」と話し、「インタビューとかだと『僕らは地味なバンドだから、淡々とやってきた』とか言っちゃうけど、本当はわかってほしいし、もっと多くの人に聴いてほしいし、届かないのは悔しい」と胸の内を明かす。
それでも「新曲をちゃんと聴いてくれてることがマスクをしていても伝わるから、それだけでライブをやってよかったと思います。ファイナルを迎えられてうれしいです。ありがとうございます」とオーディエンスに感謝を伝えると、バラードの“通り恋”が演奏され、川谷の歌声もさらにエモーショナルに、熱を帯びて行く。
川谷と長田が珍しくどちらもアコースティックギターを演奏する“フラれてみたんだよ”では、薄暗い照明の効果も手伝って親密な雰囲気が生まれ、再びステージがスモークに包まれた“夜光虫”では〈誰の幸せも願えぬ心 日の光で赤くなった〉という歌詞に合わせて照明も赤く染まり、楽曲の世界観を引き立てる。新たなファン層拡大のきっかけとなった“夏夜のマジック”では、アウトロで川谷が後鳥からベースを受け取り、後鳥が川谷の代わりにフロアを盛り上げ、演奏を止める役目をするという珍しい一幕も見ることができた。
序盤から基本的にシリアスなトーンが続いていたが、ここで肩の力を抜くかのように、メンバー全員でユルめのMCを展開。こうしたオンオフの切り替えもまた、バンドの大きな魅力だったりする。そこからもう一度ギアを入れ替えて、シアトリカルな赤い照明の中で川谷がギターをかき鳴らすイントロから、『夜行秘密』の中でも最もヘヴィでオルタナティヴな“晩生”を披露。間奏では佐藤が立ち上がってスネアを叩き、アウトロではストロボがたかれる中でギターもベースも思いっ切り歪ませて、シューゲイザーばりのサイケ空間が構築されると、ラストは2ビートで疾走し、混沌の中で本編が締め括られた。
アンコールでは川谷がハンドマイクで歌い上げる“さざなみ様”に続いて、再びシリアスなトーンのMCへ。「完遂はできなかったけど、この時期にこれだけの本数が回れて、これからの人生で何度も思い出すツアーになったと思います」と、今回のツアーに対する想いを語り、さらに「バンドは不思議な関係性で、人生のすごく深い時間を共有してるけど、普段の生活のことはあんまり知らなかったりもして。ただ、バンドは長くやっていきたい」とメンバーへの想いを語る。
そして、「これからもindigo la Endを愛してもらえたら嬉しいです」とオーディエンスに語りかけ、この日最後に披露されたのは『夜行秘密』でもラストに収録されている“夜の恋は”。AOR風の淡々とした曲調が歌詞の悲しみを引き立て、女性コーラスで歌われる〈好きにならずにいたかった あなたを知らずにいたかった〉のリフレインに胸がギュッと締め付けられる。その場にいた誰もがその空気の余韻に浸る中、一夜の物語が幕を閉じた。
なお、この日のMCで7月にビルボード公演を行うことを発表。今ツアーとはまた一味違ったパフォーマンスを楽しめそうだ。
(金子厚武)
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