9月には待望の新規ツアーも開幕へ!

DIR EN GREY、6月5日に有明の東京ガーデンシアターにて『疎外』と銘打たれた公演を実施!

DIR EN GREY、6月5日に有明の東京ガーデンシアターにて『疎外』と銘打たれた公演を実施!

2021/06/08

DIR EN GREY

 

DIR EN GREY

 

6月5日、DIR EN GREYが有明の東京ガーデンシアターにて『疎外』と銘打たれた公演を実施した。彼らにとって有観客形式でのライヴは、パンデミック発生以前にあたる昨年1月から2月にかけて実施されたヨーロッパ・ツアーの千秋楽にあたるパリ公演(2020年2月8日)以来、実に1年4ヵ月ぶりとなるもの。その後、同年3月28日には『The World You Live In』と題された全世界に向けての無料生配信ライヴ(同年12月には4都市での上映会も開催)が、また、今年に入ってからも東京の目黒・鹿鳴館にて新たに収録されたライヴ映像を用いながらの爆音上映会が実施されてきたが、オーディエンスを前にしての公演は一切開催されていなかった。加えて、今回のライヴはそもそも5月6日に同会場にて実施予定だった公演が延期されたものであり、『疎外』というタイトル自体は昨年3月から4月にかけて組まれていながら全面的に中止となった全国ツアーに冠されていたもの。つまり、当初の計画から1年2ヵ月以上を経て、『疎外』が一公演に集約される形で実施されたということになる。
 
当日、会場内では感染拡大防止のための徹底した対策がとられ、本来ならば約8,000人を収容可能なガーデンシアターの半数の座席は観客同士のディスタンス確保のために空けられていた。また、マスクの常時着用を求め、声をあげることを禁じる旨が開演前から繰り返しアナウンスされ、立ち上がって観ることは可能だが客席から移動しての観覧は不可であることも念押しされていた。そうした規制だらけの環境設定ではあるものの、今現在はそれが有観客公演を実施するうえでの条件ということになる。だが、ライヴ活動再開の時期やこの状況下での公演のあり方について慎重に熟考を重ねてきたバンド側と、彼らとの再会の機会を待ち焦がれてきたオーディエンスとの意思疎通は、規制ごときに阻まれるものではなかった。無歓声、いわゆるシンガロング的な合唱も皆無でありながら、アンコールも含めて約100分に及んだライヴは、それでも熱気に満ちたものになった。バンドと観衆の発する「気」がぶつかりあい、双方の放出するエネルギーがその場に循環するのが伝わってきたからだろう。
 
開演前にステージを覆い隠していたのは『疎外』という公演タイトルが大きく描かれた黒い幕。それが取り払われると同時に聴こえてきたのは、爆音の炸裂ではなく、透明感のあるアコースティックな音色。1曲目に据えられていたのは、まさに意表を突く“DOZING GREEN(Acoustic Ver.)”だった。緊迫感と穏やかな柔らかさとが不思議に同居するこの楽曲の響きには、乾いた地表に水が染み込んでいくような、エキサイティングな混沌が始まる前に一瞬だけ瞑想の時間を与えてくれるかのような効力が感じられた。
 
2曲目に配置されていたのは“絶縁体”。現時点での最新オリジナル・アルバムにあたる『The Insulated World』(2018年)からの選曲である。以降、プログラムはあくまで同アルバムを軸としながらし進行。結果的には全13曲の同作収録曲のうち7曲が披露された。『疎外』という公演名自体、この『The Insulated World』という作品と無関係であるはずもない。このタイトルを直訳するならば「絶縁された世界」「隔絶された世界」といった意味合いになり、そのことからも“絶縁体”という楽曲が作品中で持つ意味の大きさ、演出等でもたびたび用いられてきたバベルの塔のイメージが示唆するものについて考えさせられる。
 
同作からの楽曲に限らず、フロントマンである京のこの夜の歌唱における言葉の鋭利さには尋常ではないものがあり、各曲の歌詩に込められた真意を伝えんとする圧倒的な気迫、ある種の覚悟めいたものが感じられた。このバンドがデビュー当時から“痛み”というものを表現の主題としてきたことはよく知られているはずだが、瞬間的、一時的なものとして描かれた過去の痛みが、長い経過や物事の移り変わりを経ながらぶり返してくること、違った意味合いを持つようになること、時期によって程度の差はあるものの実は永続的なものだったことに気付かされることというのも、京自身のなかにあるのではないだろうか。具体的に曲名や歌詩の断片を引用することは避けておくが、実際、彼の歌声に聴き入りながら「あの歌詩が示唆していたのはこのことだったのか?」と考えさせられたり、一般論として書かれていたはずのことや歴史に基づいた内容だと思われる内容が、昨今の現実に怖いほど合致することに気付かされたりする場面が筆者にも何度かあった。
 
しかもライヴにおける表現は歌唱と演奏だけにとどまるものではない。各曲に伴う映像にも、「わかる人にだけわかればいい」といった遠回しな形ではなく、むしろ「これでも気付かないのか? この現実にまだ目を背けるのか?」と、観る者の視線を強烈に引き付ける主張が感じられた。ことに、金色(=金まみれ)の醜悪なクリーチャーが群れを成す‟Devote My Life”の映像は痛烈だった。なにしろ映像中に登場する5つの黄金の輪は、最後には溶け落ちていくのだ。この楽曲のタイトルを日本語に置き換えるならば‟我が人生を捧ぐ”といったところだろうか。ある人たちが人生を捧げてまで手に入れようとしているのは何なのか? DIR EN GREYはそこで、特定の正解を提示しようとしているわけではない。が、さまざまな断片に‟気付き”の切っ掛けとなる材料が仕掛けられているのだ。
 
中盤における激烈さもまさにこのバンドならではのものだったし、美しさや包容力が感じられることのある‟Ranunculus“にこの夜は深い悲しみが感じられたことも印象的だった。映画的ミュージック・ビデオの素材を伴いながらの長尺曲‟The World of Mercy”が伝える残酷さと“慈悲”の意味などについても、改めて考えさせられるところがあった。が、そうした濃密な演奏プログラムの中でもことに注目を集めたのは本編の最終局面となった“朧”から”かすみ”へと続いた流れだろう。去る4月末に発売された最新シングル曲“朧”には、そのタイトル自体からも2003年発表のシングル“かすみ”と重なるニュアンスが感じられるし、歌詩の内容からもそれがうかがえる。過去に表現したことが年月を経て新たな意味や価値を持つことがあるのと同様に、今だからこそ表現したいことを形にするうえでのヒントがかつて書いたものや過去の発言の中から発見できたり、ずっと抱いてきた感情が時間経過とともに熟成されてきたりするケースもあるに違いない。筆者自身、この2曲の関連性についての明確な答えを持っているわけではないが、現在制作が進められているという次なるオリジナル・アルバムにも、もしかしたらそうした一面があるのかもしれない。
 
アンコールでは、その“朧”と映像面でリンク感のある“OBSCURE”から、これまた歌詩が深読みを誘う“落ちた事のある空”へと続く流れ、さらにその先に“不実を引き延ばす”といった意味合いのある“Sustain the untruth”が配置されていたことにも、何やら示唆的なものが感じられた。あくまで一個人としての解釈ではあるが、この日のライヴ全体を通じて筆者が感じたのは「人間が作ってきた世界の生きづらさと、そこに生きてきた証」「疎外感を味わったことのある者同士だからこそ成立する共鳴や連帯」といったものだった。そして最後の最後は、まさに駄目押しのような“激しさと、この胸の中で絡みついた灼熱の闇”。その際、ステージ上のメンバーの姿が5分割されたスクリーンに映し出された光景を目のあたりにしながら「ライヴを観る」という日常が戻ってきたことを改めて実感した観客も多かったのではないだろうか。
 
そしてステージの主たちが静かにその場を去ると、スクリーン上で告知されたのは、2年ぶりとなる全国ツアーの開催決定。待ち焦がれてきた朗報に歓喜の声をあげることすら許されない不自由な場内環境ではあったが、それでも、その場に喜びの空気が満ちていくのを感じずにはいられなかった。しかも9月に開幕するというこの新規ツアーに冠せられたタイトルは『TOUR 2021 DESPERATE』。この英単語について調べてみると‟必死な”‟自暴自棄な”、さらには“絶望的な”といった意味合いが並んでいる。筆者は勝手ながらそれを“絶望という名の希望”なのだと捉えている。そこで何が起きるのか、そして『The Insulated World』に続くアルバムが、いつ、どのような形で登場することになるのかを楽しみにしていたい。
 
文:増田勇一 ライブ写真:尾形隆夫
 
 
DIR EN GREY
疎外 ※振替公演
6月5日(土) 東京ガーデンシアター

 
-セットリスト-
1. DOZING GREEN (Acoustic Ver.)
2. 絶縁体
3. 空谷の跫音
4. 人間を被る
5. Devote My Life
6. CLEVER SLEAZOID
7. DIFFERENT SENSE
8. 赫
9. Ranunculus
10. 谿壑の欲
11. The World of Mercy
12. 朧
13. かすみ
 
NCORE]
14. Followers
15. OBSCURE
16. 落ちた事のある空
17. Sustain the untruth
18. 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
 
 
【LIVE INFO.】
 
2年振りとなる全国ツアー “TOUR21 DESPERATE”開催決定!
DIR EN GREY
TOUR21 DESPERATE
2021年9月3日(金) 【神奈川県】CLUB CITTA’ -「a knot」only-
2021年9月4日(土) 【神奈川県】CLUB CITTA’ -「a knot」only-
2021年9月10日(金) 【宮城県】SENDAI GIGS
2021年9月12日(日) 【静岡県】静岡市民文化会館・中ホール
2021年9月20日(月・祝) 【栃木県】栃木県総合文化センター・メインホール
2021年9月24日(金) 【神奈川県】KT Zepp Yokohama -「a knot」& ONLINE only-
2021年9月25日(土) 【埼玉県】川口総合文化センター・リリアメインホール
2021年10月1日(金) 【長野県】ホクト文化ホール・中ホール
2021年10月10日(日) 【岡山県】倉敷市芸文館
2021年10月11日(月) 【滋賀県】滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール
2021年10月16日(土) 【大阪府】なんばHatch
2021年10月17日(日) 【大阪府】なんばHatch
2021年10月26日(火) 【東京都】Zepp Haneda
2021年10月27日(水) 【東京都】Zepp Haneda
2021年11月1日(月) 【愛知県】Zepp Nagoya
2021年11月2日(火) 【愛知県】Zepp Nagoya
 
※詳細後日発表

 

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