草野華余子、TAKUYA、本間昭光、清水信之など豪華クリエイター陣を迎えた一夜限りの豪華な共演
MARiA、ソロライブ『MARiA Live 2021「うたものがたり」』を6月5日に東京・チームスマイル豊洲PITにて開催!
MARiA、ソロライブ『MARiA Live 2021「うたものがたり」』を6月5日に東京・チームスマイル豊洲PITにて開催!
2021/06/09
TAKUYA(JUDY AND MARY)
清水信之
草野華余子
本間昭光
定刻を過ぎると場内には美しいハープの音色が流れ始め、そこに詩の朗読のようなモノローグが重なる。すると、暗幕のかかったステージに2人の女性ダンサーが上がり、音楽に合わせてバトントワリングを披露する。そして幕が少しだけ開くと、一筋のスポットライトに照らされステージ中央に座り込むMARiAの姿が。彼女はピアノ演奏を背に、しっとりと「憐哀感情」を歌い始める。曲が進むにつれて幕が完全に開き、ステージの全貌が明らかになる。この日はアルバム『うたものがたり』のサウンドプロデューサーである本間のほか、同作にアレンジャーとして参加した清水信之など、J-POP界の重鎮たちがバンドメンバーとしてライブをサポート。架空の劇場を思わせるステージ上で、MARiAは切なくも力強い歌声を響かせる。バンドの生音をずっしり体に感じながら、MARiAが放つ言葉や歌に胸を打たれ、1曲目から心を鷲掴みにされたというオーディエンスは少なくなかったはずだ。
ライブはその後も「マチルダ」「ガラスの鐘」と、切なくも情熱的な楽曲が続く。特に、アップテンポの「ガラスの鐘」ではダンサーが加わったことで、華やかさが増すことに。それまで着席して『うたものがたり』の世界にじっくり浸っていた観客も、立ち上がってステージへ向けて手拍子などで思いを届け始めた。
アルバムからの楽曲が続いたあと、この日最初のサプライズが訪れる。ジャジーなピアノとMARiAのスキャットが独特な空気を作り上げる、未発表新曲「手探る夢 繋ぐ糸」が初披露されたのだ。初めて耳にする楽曲に最初こそ驚いた様子の観客だったが、スイングするバンドサウンドの気持ちよさと緩急に富んだMARiAの歌声に魅了され、早くもクライマックスと呼ぶにふさわしい盛り上がりに達した。
4曲歌い終えるとステージにはバーカウンターが設置され、MCへと突入。MARiAはライブハウス公演が17ヶ月ぶりであることを告げ、「歌い始めて18年くらい、今まで以上に歌にフォーカスを当てて作ったソロアルバムのライブ、私のいろんな歌を余すことなく、隅々まで味わって帰ってください」とオーディエンスに挨拶した。続いて、この日ならではのコラボゲストとして草野華余子をステージに招き入れる。2人はGARNiDELiAデビュー前にとある打ち上げで初めて出会い、「いつか曲書かせてね?」と話したことを回想し、「義理堅く覚えていてくれて。そうしたら、とんでもないやつ(=難しい曲)が来ちゃって(笑)、愛の挑戦状だと思って受け取りました!」などとアルバム制作エピソードを明かした。
いつまでも続きそうなトークをひとまず区切ると、MARiAはアコギを抱えた草野とともに、草野の楽曲「おわりものがたり」と草野提供曲「おろかものがたり」を歌唱。アッパーで激しいバンドサウンドに乗せて、2人は交互に力強い歌を響かせる。2人の歌声の相性は抜群で、そのハーモニーが生み出すグルーヴは唯一無二のもの。ずっとこの共演をたのしんでいたいと思わずにはいられない、そんな最高のパフォーマンスを堪能することができた。
バンドメンバーによるアップテンポのインストセッションを経て、続いてステージに現れたのはこの日2人目のコラボゲストTAKUYA。ステージ後方から登場したTAKUYAは彼らしい激しいギタープレイを奏でたあと、耳馴染みのあるギターフレーズを弾き始める。これに気付いたオーディエンスからは盛大な拍手が湧き起こり、続いて白基調から黒基調のドレスに着替えたMARiAが加わり、JUDY AND MARYの名曲「そばかす」を披露。この日ならではのサプライズ選曲に、客席の熱気はさらにヒートアップ。さらに、JUDY AND MARYの代表曲のひとつ「Over Drive」もカバーされ、会場はこの日何度目かのクライマックスへと到達する。MARiAの歌うこれらの楽曲からは、ソロアルバムのテイストともGARNiDELiAでの歌唱とも異なる魅力が伝わり、彼女のソロ活動が今後さらに幅広いものへと拡大していくのではと予感させられた。
そして、アルバム『うたものがたり』に収録されたTAKUYA提供楽曲「キスをしてみようか」も飛び出す。前2曲の勢いを引き継ぐこのハードなロックチューンでは、曲中ではアルバムには含まれていないTAKUYAのコーラスも加わり、まるで新たなロックバンドのライブを目撃しているかのような錯覚に陥った。それほど、この日の彼らのパフォーマンスは息がぴったりだったのだ。
2組の熱いコラボパートを終えると、ダンサブルなSEに乗せてダンサーたちが思い思いのパフォーマンスを披露していく。さらに、街の喧騒と日々の会話が場内に鳴り響き、その流れを汲むように「あー、今日もまた」でライブ再開。アルバムアートワークの衣装に着替えたMARiAは、会社員風衣装を着用したダンサーたちとともに、ゆったりしたテンポ感と柔らかな歌声で会場を温かく包み込む。「光」でもその傾向は続き、マイナーキーの楽曲が続いた序盤とは異なるメジャーキーのポップチューンで多幸感を強めていった。
「この曲も今日のために持ってきた新曲です」の言葉に続いて披露されたのは、この日2曲目となる未発表新曲「Heart Breaker」。静と動の対比が印象的な、このダンサブルなミディアムチューンが加わったことで、『うたものがたり』の世界観はさらに広がりを見せ、多彩さに満ちた歌とパフォーマンスを堪能することができた。また、サビに向けて盛り上がるパートでは、リズムに合わせたハンドクラップも飛び出し、今後のソロライブでの盛り上がりに欠かせない1曲になるであろうと確信。早くも次のソロライブが楽しみにさせる、うれしいサプライズだった。さらに、軽やかなリズムとキャッチーなメロディが印象的な「Brand new me」では、ハンドクラップや手を左右に振るアクションに加え、全員一斉にジャンプする場面も。ステージで繰り広げられる『うたものがたり』を会場全員で共有した瞬間だったのではないだろうか。
ここまでソロライブを思う存分堪能したMARiAは「やっぱり私の生きる場所はここだなって、みんなに歌を届けることがめちゃくちゃ好きだなって、噛み締めながら歌っていました」と、感慨深げに語る。そして、「どんなに苦しいことも悲しいことにも、必ず終わりがやってきます。そして、新しい季節も必ずやってきます。そんな新しい季節に向かって、これからもみんなで一緒に歩んでいきましょう!」と前向きなメッセージとともに、アルバムのラストを飾る「ハルガレ」でMARiAらしくポジティブにライブ本編を締めくくった。
アンコールでは、アルバムのサウンドプロデューサーでもある本間とレコーディングやライブの感想を語り合う一幕も。MARiAは「せっかくソロで走り出したので、ここで止まらせることなく、どんどんMARiAとしての作品もリリースしていけたらと思います!」と宣言。この日披露した新曲2曲も、いずれ何らかの形でリリースされる可能性を示唆した。そして、8月に写真集を発表することを告げると、「ここに立つまでに1年以上経っているけど、また帰ってくることができて本当に幸せです」と挨拶し、アルバムのリード曲にしてオープニングトラック「コンコース」でしっとりとライブに幕を下ろした。
各楽曲のストーリーテラーとして“うたものがたり”を展開させたこの日のMARiA。今後どんなソロ活動で我々を魅了させるのか、そしてGARNiDELiAとしてもどこまで進化し続けるのか。今回のライブはそんな未来がひたすら楽しみになる一夜だった。
文:西廣智一
セットリスト
1. 憐哀感情
2. マチルダ
3. ガラスの鐘
4. 手探る夢 繋ぐ糸(未発表曲)
<草野華余子コラボコーナー>
5. おわりものがたり(草野華余子カバー)
6. おろかものがたり
<TAKUYA コラボコーナー>
7. そばかす(JUDY AND MARY カバー)
8. over drive(JUDY AND MARY カバー)
9. キスをしてみようか
10. あー、今日もまた
11. 光
12. Heart Breaker(未発表曲)
13. Brand new me
14. ハルガレ
En. コンコース
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