ワンマンライブ『1st Album Release Tour 「なんだかもう泣けてきて」』

PhatSlimNevaeh、12月24日に新宿BLAZEでアルバムリリースライブを開催!

PhatSlimNevaeh、12月24日に新宿BLAZEでアルバムリリースライブを開催!

2021/12/28

PhatSlimNevaeh

撮影:ホリウチレイ

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12月22日に1stアルバム「なんだかもう泣けてきて」をリリースしたPhatSlimNevaeh(ファットスリムネヴァ)が12月24日、新宿BLAZEでアルバムリリースライブを行った。PhatSlimNevaehはシンガーソングライターである藤川千愛がギターボーカルの“ロク”として本年9月に始動させたロックバンド。メンバーはロクのほかに、金子ノブアキ率いるRED ORCAで活動する同道公祐(g)、葛城京太郎(b)、そして元tricotで現在はSUGIZOのバンド等で活動するkomaki(dr)の四人となる。アルバムリリースに際した東阪ツアーの東京公演となるこのライブでは、アルバム収録曲を収録順に網羅して10曲がパフォーマンスされた。
 
「涙にも嬉しい涙、悲しい涙、悔しい涙、いろいろある。このアルバムではいろんな泣きの要素が含まれていて、このアルバムを聴いて涙を流してすっきりしてほしい」。ロクはアルバムについてそう語ったが、オープニングチューンである「ついてない」で4人はライブ冒頭にして早くもライブハウスを語るカタルシスで包み込む。ロクはメロディと言葉を圧倒的な解像度で表現、スケール感に満ちたkomakiのドラムはそれを包み込むようにラウドに響き渡る。
 
1曲目を終えて4人はそれぞれが名前を名乗って短いMCへ。曲中の緊張感とは裏腹にリラックスしたテンションの4人は、ロクが中盤のために用意していたトークの合図を葛城が先に振ってしまうといったトラブルなども笑いに変えながら再びセットリストへ。続く「おままごと」「Dive」はともにブルースロック。ロクはジャニス・ジョップリンも彷彿とさせる堂々たるヴォーカルワークを聴かせるが、バンドの真髄を感じさせるのは同道と葛城。ヴォーカルの影を縫うようにフレーズをぶつけあう攻撃的なアンサンブルがPhatSlimNevaehとは何者かを明らかにしていく。スティーヴィー・レイ・ヴォーンやジミ・ヘンドリックスに比される同道のプレイがリードしたかと思うと、すぐさまボトムに響くのは葛城の手数の多いテクニカルなプレイ。主旋律を尊重しながら、時にはそこに踏み込むことでさらなるグルーヴを生み出す。冒頭3曲にして4人は肉体的なアンサンブルによってバンドのプロフィールを言葉よりも明らかにプレゼンテーションしてみせた。
 
ライブ中盤は葛城の結婚祝いという和やかなMCでスタートするが、「実はアルバムの曲順でやっているんですが、気づきましたか」とkomakiが種明かしをすると、ライブは4人のプレイヤーとしての持ち札がめくるめく万華鏡のような様相を見せていく。「なまたまご」は気だるいバラードチューン。ロクのヴォーカルは美しいJ-POP的な親しみやすいメロディを紡いでいくが、曲が進むごとに3人がアグレッシブに個々のプレイを絡ませていくことで、ライブ冒頭と同じ高いボルテージでオーディエンスをロックさせていく。そんなバンドのアティチュードはシティポップ的な16ビートチューン「読みかけの漫画」でさらに露わに。曲展開の中でジャズ、ミクスチャーロックと毛色を変えた展開はライブならではの即興性あるグルーヴを叩きつける。その後もバンドは「フィルムカメラ」、葛城京太郎の作曲による「ろくでもない」、「きづかない」とアルバム収録曲をプレイ。全曲シングルカットという形容詞が浮かぶキラーチューンの連続だった。しかし、それらを凌駕するインパクトで、この夜のハイライトとなったのは本編のラスト2曲。アルバムではボーナストラックとして収められ、バンド名義ではなく「ロク from PhatSlimNevaeh」という名義で発表された2曲だった。
 
ライブ終盤を前に同道のアルペジオに乗せて葛城はバンドとしての決意を口にする。「PhatSlimNevaehは、藤川千愛が名前変えてまで本気でバンドやりたいと言ったことにより集まった4人なんです。ロクという覚悟の名前を3人が支え、その姿を皆さんに応援していただくというのがこのバンドです。今回敢えてボーナストラックとし、演奏しているのも僕ら3人でないのは、ファスネの核になっているロクの歌声をロクとして聴いて、これからのファスネを応援してもらいたいと思ったからです。でもライブではファスネのバンドメンバーでやらせていただきます」。そんなMCとともにプレイされたのは「521km」。シンガーソングライターのコレサワが楽曲提供を行った楽曲だった。親しみやすい甘いメロディを歌い上げるロク。そんな彼女の裏、3人が見せたプレイはここまでのライブでのそれとは真逆となるシンプルなバッキングだった。あくまでバンドの核となるのはロクの歌。メンバー同士の強い絆を感じさせる演奏にはこの日一番の緊張感が立ち込めた。
 
そしてライブはいよいよラストへ、最終曲を前にロクは自身の近況を口にした。「私のおじいちゃんは演歌歌手をしていて、私が小さいころからたくさん歌を教えてくれたし、音楽の楽しさを教えてくれました。大好きなおじいちゃん。そんなおじいちゃんが一か月半前に亡くなりました。このアルバムを作っている真っただ中で、これからレコーディングするというときだったんですけど。もう現実を受け入れられなくて、体が鉛のように重くなって、何もしたくないって思った。たくさん泣いたけど、でもこのアルバムを完成させたいと思って、ベストを尽くして歌いました。おじいちゃんもきっと見てくれてると思うから、気持ち込めて歌います」。そう語ってロクが歌ったのは「声」、この夜プレイした中でも最もやかましく、ストレートなメロディで、赤裸々なパンクロックだった。‟憧れてたあの舞台は 私じゃない私が立っていた 憧れてた自分でいなきゃ ごめんみんな 歌えない“。
 
幼い頃から歌手に憧れ、一度は地元である岡山の工場に就職するが、その後も歌への情熱を抑えられずに上京しステージに立つ生き方を選んだ彼女。その人生は度々歌詞となって彼女の歌に曲に乗せられてきた。この夜、ロクとなった彼女は今までのどのとき以上に大きな声で、そして自身の音域の極限に挑むハイトーンで歌い上げた。「もう戻れないところから私は歌うんだ」「壊れたら壊れたまま 汚れたら汚れたまま 何もかもを失っても この声があるよ」。
 
日本の音楽シーンの最もきらびやかなところで活躍するディーヴァ—歌姫—に匹敵する声をもちながら、それを感情のままにしゃがれさせ、ロクはライブハウスに叩きつけてこの夜も舞台を後にした。ステージに残されたマイクとメンバーの愛器を眺めていると、脳裏におとぎ話のようなイメージが浮かんだ。安寧な城の暮らしを飛び出して不器用に生きる姫と、彼女を支える3人の騎士たち。彼らが繰り広げるのは、優しくて、ロマンティックで、何より手に汗握る活劇だ。私たちの前に幕を開けたPhatSlimNevaehという物語、次のページで彼らはどんな冒険の続きを見せてくれるのだろうか。
 
セットリスト
01.  ついてない
02.  おままごと
03.  Dive
04.  なまたまご
05.  読みかけの漫画
06.  フィルムカメラ
07.  ろくでもない
08.  きづかない
09.  521km
10.  声
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