今年は銀閣ステージも復活!
ROTTENGRAFFTY、「ポルノ超特急2022」初日最速レポート!(2022年12月17日(土) 京都パルスプラザ)
ROTTENGRAFFTY、「ポルノ超特急2022」初日最速レポート!(2022年12月17日(土) 京都パルスプラザ)
2022/12/19
photo:Yukihide"JON..."Takimoto / かわどう / 石井麻木 / 岩渕直人
冬の京都の風物詩・“ポルノ超特急2022”を楽しむために、京都パルスプラザには朝早くからたくさんの観客が集っていた。やべきょうすけ氏による注意事項とオープニングMCの後、ROTTENGRAFFTYのN∀OKI(Vo.)、NOBUYA(Vo.)、侑威地(Ba.)、HIROSHI(Dr.)が登場してひと言ずつ挨拶し、「ポルノ超特急!」「2022!」「出発!」「進行!!」とメンバー4人で力強い号令で、“ポルノ超特急2022”が発車した。
四星球
金閣ステージのトップバッターを飾るのは今年結成20年を迎えた四星球。まさやん(G.)がROTTENGRAFFTYの「金色グラフティー」のリフを鳴らし、KAZUOMIに扮して頭髪も半分金髪にした康雄(シンガー)が登場してオーディエンスは大興奮。ROTTENGRAFFTYのN∀OKIとHIROSHIもステージに呼び込んで1曲目の「UMA WITH A MISSION」から大暴れし、客席のボルテージは沸点まで到達。キワキワの演出で爆笑させ、愛すべき先輩・ROTTENGRAFFTYとライブハウスシーンに対する熱い言葉で感動させるという、まさに八面六臂のステージ。“ポルノ超特急”に出演したときの四星球はいつもキレキレで最高だけど、やはり今年も京都で観る四星球はキレにキレていた。
KUZIRA
久しぶりに復活した銀閣ステージでライブの口火を切ったのはKUZIRA。末武(Vo./G.)が「ロットンのフェスなんでしょ?ってことはみんな踊れるってことだよね?」と煽って「Everywhere You Look」で客席エリアを埋め尽くしたオーディエンスを踊らせ、タイトなメロディックパンクサウンドと末武の透き通る歌声を響かせる。「これからもライブハウスをもっとカオスにしたい。またライブハウスで会いましょう」と熱い言葉と渾身のステージで銀閣の幕開けを大いに盛り上げた。
SHANK
庵原将平(Vo./Ba.)の伸びやかな歌声と胸を焦がすサウンドで、一瞬にして会場の空気を自分のものにしたSHANK。「Set the fire」「Life is...」とステージから放たれる極上のビートに、オーディエンスは縦に横にと身体を揺らして大盛り上がり。出演できなくなったG-FREAK FACTORYの代わりに急遽出演が決まった彼らは、「群馬のヤンキーの代打は長崎の漁業組合がつとめますので任しといてください」という言葉通り、音とビートで観客を心の底から楽しませる貫禄のステージ。ROTTENGRAFFTYとG-FREAK FACTORYという2組の先輩バンドに感謝の気持ちを告げ、キラーチューンを連発してオーディエンスを存分に楽しませ、ラストまで一気に駆け抜けた。
バックドロップシンデレラ
入りきらないほど観客が詰めかけた銀閣ステージに登場したのはバックドロップシンデレラ。今年3月、自身のツアーにROTTENGRAFFTYを呼んでから一気に関係性を深めたという彼らはこれが“ポルノ超特急”初出演。喜びを爆発させたでんでけあゆみ(Vo.)がオーディエンスの先頭に立ち、高くジャンプしてみんなの気持ちを牽引し、豊島”ペリー来航”渉(G./Vo.)、アサヒキャナコ(Ba./Cho.)、鬼ヶ島一徳(Dr./Cho.)による強靭なアンサンブルで魅了する。次から次へと高速で繰り出されるリリックとビートは中毒性が絶大で、大きな一体感に包まれた客席のテンションも凄まじい。オーディエンスを踊り狂わせた圧巻のステージだった。
dustbox
次に金閣ステージに登場したのはROTTENGRAFFTYと同世代、dustbox。ぴったりと息の合った3人から放たれる最高のグルーヴで観客を魅了する。ステージの3人は心の底から楽しそうに歌い、演奏し、客席に目を向けて笑みを浮かべていて、その姿を見ているとこっちも更に楽しくなってくる。JOJI(Ba./Vo.)はROTTENGRAFFTYについて「仲悪かったんです、昔(笑)。それが今ではこうして。ありがとう」と感謝の気持ちを告げ、「Dance Until Morning」ではROTTENGRAFFTYのN∀OKIと(NOBUYAに扮した)HIROSHIとコラボし、「Neo Chavez 400」では侑威地、NAOKI(10-FEET)、チヨ(SPARK!!SOUND!!SHOW!!)がステージでベースを取り合い(結果侑威地が同曲のベースを主に担当)、ラストは「Jupiter」の極上メロディを思う存分オーディエンスに堪能させ、SUGA(Vo./G.)が「次はライブハウスで会おう」と言って終演。バンド同士の絆とライブへの愛がギュッと詰まったステージだった。
Hakubi
片桐(Vo./G.)の歌声と強烈な存在感、そしてライブハウスで培ったタフなステージングでオーディエンスを釘付けにしたHakubi。「踊ったり駆けまわったりは私たちの音楽ではできないかもしれないけど、心は動かせる」というその言葉通り、心の奥底まで響いてグッと掴むような歌とサウンドでその場に居た全員を魅了した。ROTTENGRAFFTYのNOBUYAと出会ったことによって180度変わることができたという片桐。強くて儚くてタフで人間味溢れる彼らのライブは、深く心と記憶に刻まれた。
キュウソネコカミ
オーディエンスが掲げるスマホのライトが輝く中、ヤマサキセイヤ(Vo.G.)がメンバーの支える筋斗雲に乗ってド派手に登場したキュウソネコカミ。ROTTENGRAFFTYのNOBUYAが「ビビった」に乱入し、侑威地が「サギグラファー」でステージに登場して沸かせた後、「続けていればいつかまた会える。健康で、元気で、また会いましょう」と言って「The band」へ。ヤマサキは「来年こそは一緒に歌えるようになりますように」と叫んでバンドとライブに対する想いを爆発させる。昨年からカワクボタクロウ(Ba.)が活動休止しているという状況の彼らは、ROTTENGRAFFTYの存在が支えになっていたという。この日のライブ中にヤマサキはROTTENGRAFFTYに対して「いろんな状況でも全力でぶちかまし合えることが嬉しい」と言い、ヨコタシンノスケ(Key./Vo.)も「ROTTENGRAFFTYが前に居るから俺たちも今年前に進むことができました」と感謝の気持ちを告げた。バンドへの想いを溢れさせつつ、キャッチーな楽曲を連射してオーディエンスを存分に楽しませたステージに大満足。音楽はもちろんのこと、人間性やバンドの関係性を感じることができるライブだった。
裸繪札
ヴォーカルとギターという編成で観客を熱狂の渦に落とし込んだ裸繪札。今日の銀閣ステージはまるで個性の塊のような、既成の枠組みにはハマりきらない猛者たちばかり。ヘヴィなトラックにTAKUMI(G.)のギターが絡み、マチコ(Vo.)が放つ鋭い矢のようなリリックが強烈に飛び込んでくる快感に酔いしれる。ヒリヒリとした緊張感とどっぷりとした陶酔感で充満したフロアは極上のダンスホールと化し、オーディエンスが楽しそうに踊り狂っていた。
ヤバイTシャツ屋さん
金閣ステージに登場し、たくさんの拍手で迎えられたヤバイTシャツ屋さん。「無線LANばり便利」でオーディエンスが腕を振りながら心の中で大合唱している景色を見たこやまたくや(Vo./G.)は「声出せへんのにええ感じでライブ観るのん慣れてもうてるやん!」と言ったあと「慣れんなよ!」と叫ぶ。「DANCE ON TANSU」「NO MONEY DANCE」と存分に踊らせた後、“ダンスシリーズ3連発”の最後はROTTENGRAFFTYの「D.A.N.C.E.」。会場のテンションは天井知らずのうなぎのぼりで、そのまま「ちらばれ!サマーピーポー」「ヤバみ」とキラーチューンを惜しげもなく披露して最後まで突っ走った3人。客席エリアは最前から最後方まで全員がクラップし、腕を振り上げ、身体を揺らし、ジャンプして、ヤバイTシャツ屋さんのライブを最後の一音まで楽しみ尽くした。
Age Factory
どこまでも突き抜ける清水エイスケ(Vo./G.)の歌と乾いたギターサウンド、西口直人(Ba./Cho.)と増子央人(Dr./Cho.)が放つ太いビートでオーディエンスの感情を沸騰させたAge Factory。魂がこもった歌と音は力強く鳴り響き、彼らのライブを観ているとグッと胸が熱くなる。客席から無数の拳が突き上げられる中、生命力溢れるステージで走り続け、最後は心のいちばん奥まで届く「See you in my dream」で大団円。
MAN WITH A MISSION
「Take What U Want」で勢いよくライブをスタートさせたMAN WITH A MISSION。1曲目から会場の一体感は凄まじく、ステージで繰り広げられるソリッドでクールなライブに、手を叩いたり飛び跳ねたりして一喜一憂するオーディエンス。更に10-FEETのTAKUMAを迎え入れて「database feat. TAKUMA(10-FEET)」で会場の温度を上げたかと思えば、続く「INTO THE DEEP」の神々しいサウンドスケープで魅了する。Jean-Ken Johnny(G./Vo./Rap.)がライブシーンへの想いを話した後に「来年は目一杯楽しんでやりましょう!」と力強く言い、その想いに応えるように客席からはたくさんの腕が振り上げられる。最後は「FLY AGAIN -Hero's Anthem-」で、オーディエンス全員が踊り狂う最高の景色を作り出して終了。バンドのポテンシャルをまざまざと見せつけた、圧巻のステージだった。
SPARK!!SOUND!!SHOW!!
「ROTTENGRAFFTYの友達」と自らを紹介したSPARK!!SOUND!!SHOW!!は、破天荒かつ最高にイカしたキレキレのライブを展開。そしてROTTENGRAFFTYの侑威地がゲスト参加し、会場の興奮は最高潮に突入。キャリアやジャンルに関係なく、ライブがかっこいいバンドへのリスペクトを大切にするROTTENGRAFFTYならではの、“ポルノ超特急”の才能あふれるラインナップには毎年惚れ惚れする。4人がステージを所狭しと存分に暴れまわり、オーディエンスを魅了し続けた光景はとても痛快だった。
10-FEET
“ポルノ超特急2022”の1日目はそろそろ終盤。金閣ステージにはROTTENGRAFFTYの盟友・10-FEETが登場。巨大な一体感を生み出した1曲目の「RIVER」を終えて早々に、TAKUMA(Vo./G.)が同曲の歌詞のワンフレーズは20数年前にROTTENGRAFFTY N∀OKIからかけられた言葉が由来だと打ち明ける。「僕にはそんないい友達が居てほんまラッキーやった」と誇らしげに言い、「蜃気楼」「ハローフィクサー」と気迫溢れるステージで魅せ、新曲「第ゼロ感」ではクールなサウンドスケープを描き出す。まだ観客が声を出せないことについて「じゃあみんなの代わりにおっさんらがぶっ壊れるくらいいくわ」と全力のステージで走り抜き、「ヒトリセカイ」でライブを終えるかと思えば、持ち時間が残り1分半あると知って「Do You Like...?」「時間がないときのRIVER」(四星球が10-FEET「RIVER」をカヴァーアレンジした曲)で時間いっぱいまで全力疾走。トリを飾るROTTENGRAFFTYへの熱い想いを込めた、素晴らしいステージだった。
Dizzy Sunfist
昨年に続けてROTTENGRAFFTYへの感謝の気持ちを爆発させたDizzy Sunfist。1曲目「SHOOTING STAR」から気合い溢れるステージで圧倒し、クリスマス目前ということで「All I Want for Christmas Is You」のカヴァーも組み込んで心から楽しませる。最後にあやぺた(Vo./G.)が大きな声で「ロットン、いけー!」と金閣ステージのROTTENGRAFFTYに熱いエールを送って終演。ライブハウス叩き上げの素晴らしいメンツが揃った“ポルノ超特急2022”の1日目、残るライブはROTTENGRAFFTYの1組だけとなった。
SEに合わせてクラップの音が鳴り響く。“ポルノ超特急2022” 1日目トリ、ROTTENGRAFFTYの登場に金閣ステージにはたくさんのお客さんが詰めかけ、オーディエンスが手を叩くたびに期待感がどんどん膨らんでいく。HIROSHI(Dr.)、侑威地(Ba.)、MASAHIKO(サポートG.)がステージに登場して楽器を手にし、マイクを手に登場したN∀OKI(Vo.)が口上を述べる。ほどなくNOBUYA(Vo.)も姿を見せ、N∀OKIが「23年目、俺らが京都、ROTTENGRAFFTY!!」と叫んでライブがスタート。
オーバーグラウンドとアンダーグラウンドを行き来するような「ハレルヤ」の重厚な音とキャッチーなメロディにオーディエンスは大歓喜。既に客席エリアは狂騒と言えるほどの盛り上がりで、みんながどれだけこの瞬間を楽しみにしていたがよくわかる。NOBUYAはステージ端まで行って客席を何度も煽り、N∀OKIはまるで喧嘩をふっかけるような鋭い目つきで叫ぶ。
「百花繚乱、狂い咲け!」と「秋桜」を放ち、「巻き戻しの効かない人生。今や!」と鼓舞して「PLAYBACK」へ。ROTTENGRAFFTYが放つ凶暴な音が大好物なオーディエンスは、残る体力をすべて燃やし尽くさんばかりにクラップやジャンプを繰り返し、全身全霊で音に身を投じていく。SPARK!!SOUND!!SHOW!!のイチロー(Dr./Cho./169)がダンサーとしてゲスト参加した「D.A.N.C.E.」でボルテージは最高潮に到達。全員が踊り狂う光景はとても美しい。
「コロナになって、KAZUOMIが現場から離れることになった」「それでも諦めずに続けてきたのに、声を出すなとか、モッシュやダイブするなとか、めっちゃ怒られてきて頭が狂いそうになった」とNOBUYA。「俺は音楽で頭が狂いたい。お前らの最高のヘッドバンキング見せてくれ!」と吠え、「THIS WORLD」へ突入。観客がどんなに盛り上がっていても一切手を緩めず、アグレッシブに攻め立てるROTTENGRAFFTYの真骨頂を目の当たりにして、心がブルブルと震え出す。そうだ、“ポルノ超特急”のROTTENGRAFFTYはめちゃくちゃヤバいバンドだった。予定調和などまったくない、何が起こるかわからない雰囲気にゾクゾクする。
MCでは6/10からサポートとして加わったMASAHIKOを紹介し、「MASAHIKOが居なかったらROTTENGRAFFTYは止まっていたかもしれない」と告白。その言葉の通り、MASAHIKOは堂々としたプレイでメンバーとの息もぴったり。この日何度かN∀OKIとNOBUYAから放たれた「6人組ロックバンド」という言葉に納得する。
そしてライブ初披露の「ハロー、ハロー」へ。繊細に紡がれたN∀OKIとNOBUYAの歌、まっすぐに刺さる歌詞。心の奥底まで染み渡るような浸透力と儚さを帯びた世界にグッと惹き込まれる。
いよいよライブは佳境へと突入し、「銀色スターリー」「金色グラフティー」でオーディエンスを狂喜乱舞させ、NOBUYAが何度も感謝の気持ちを告げた後に「俺たちがここ京都で生まれ育った6人組ロックバンド、ROTTENGRAFFTYだ!」と咆哮して本編を締め括る。
更にアンコールの「響く都」では全員でお祭り騒ぎでのごとく踊り狂い、最後は10-FEETのTAKUMAを迎え入れて「切り札」。N∀OKIのブルースハープに胸を焦がし、楽しそうにライブをする彼らの笑顔に胸を打たれ、オーディエンスたちの輝くような表情に涙して大団円。音楽で魅了し、どこまでも熱くて人間味に溢れ、「ありがとう」と何度も頭を下げるくせに眼光鋭く何度も攻め立てる、ROTTENGRAFFTYらしい濃厚なライブに大満足。
全出演者が渾身のライブで走り抜けた“ポルノ超特急2022” 1日目。とても楽しかったし、バンド同士の強い繋がりはうらやましいと思うほどだった。明日はいったいどのようなライブが繰り広げられるのか。今から楽しみで仕方がない。
text:山中 毅
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