とんでもないことになっていた……。

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

2023/02/03

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

 

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

 

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

 

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

 

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

 

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

 

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

 

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

 

Petit Brabancon、1月28日(土)に豊洲PITにてワンマンライヴ『Petit Brabancon EXPLODE -01-』を開催!

 

ライター:冬将軍
カメラマン:尾形隆夫 (尾形隆夫写真事務所)/鳥居洋介/ Taka“nekoze photo”

とんでもないことになっていた……。
昨年9月のZepp Haneda(TOKYO)から4ヶ月、Petit Brabanconは狂犬を超えたモンスターと化していたのである。
2023年1月28日、豊洲PITで『EXPLODE -01-』は凄まじい轟音と熱気が蠢く狂気の夜になった。
 
無機質なオープニングSEが鳴り響き、大きな拍手に迎えられながらメンバーがそれぞれの持ち場につく。
最後に京がゆっくり闊歩しながらステージのセンターへ。背中を丸めるようにマイクを構えると、
カウントもアイコンタクトもなしに、声とバンドの音が襲いかかる。
その殺気を帯びた歌声と地鳴りのごとく響く音が、会場にいる全員をPetit Brabanconの狂気の世界へと引き摺り込んでいく。
 
「かかってこぉぉーい!!」
 
オリエンタルなギターのフレーズが、京の叫びによって、津波のような轟音に変わる。
ひたすらに重く、異様なほどに分厚いバンドアンサンブルが猛り狂う。
グッと重心を低くしたグルーヴがひた走る「Ruin of Existence」。淡々としたリズムに、京は狂ったように様々な叫びを乗せる。
yukihiroがクールなビートを刻み、ミヤ(Gt/MUCC)がスケールアウトしていくようなリフを重ねていく「渇き」。
野太い咆哮と突き抜けるようなハイトーンを使い分けていく京。
高松浩史(Ba/ The Novembers)は堅実的にプレイしながらも刺々しい低音を鳴らし、ミヤとantz(Gt/Tokyo Shoegazer, ex-acid android)のギターは、
ローチューニングという物理的なところだけではないヘヴィネスなプロダクトでバンドサウンドの壁を構築する。
そんな混沌とした重低音の嘶きのなかで、異様なほど抜けが良く乾いたスネアを打ちつけていくyukihiro。
俯きながら軽やかにストロークする。手数が多いわけでも、パワードラムでもないが、その一打一打は芯があり確実に重い。
大蛇が地を這うヘヴィサウンドながらも、的確で精確にビートを刻み込むyukihiroのドラムが、
Petit Brabanconをラウドロックやメタルといったジャンルで安易に括ることのできない稀有な存在にしている。
 
「OBEY」では初めてのスタンディング形式のライヴということも相俟って、早くもフロアとの一体感を見せる。
次々と曲を繰り出していく5人の演奏はこれまでと違った楽曲の表情で魅了する。
アルバムの音源と大きく変化していることはもちろん、前回のツアーファイナル時より、ロックバンドとしての更なる進化を感じたのである。
バンドがライヴを重ねるごと、楽曲と共に変化していくことは当たり前のことでもあるのだが、
こうして猛者が集ったプロジェクト的な印象の強いPetit Brabanconから、
そうしたバンドとしての急激な進化を感じることができたのは大きな驚きでもあり、嬉しくもあった。
 
Petit Brabanconで初めて5弦ベースを手にしたという高松も、感情の赴くまま身体全体でギターを鳴らすantzも、
前回よりもリラックスしてライヴに臨んでいることはそのステージングからわかった。
そしてミヤだ。MUCCではギタリストであると同時に自らが先導する、
楽曲とサウンドのイニシアチブを握ったプロデューサー的な立場でもあるわけだが、
Petit Brabanconでは、yukihiroという完璧なバンドの屋台骨が存在し、圧倒的なカリスマ・京がフロントにいる。
高松がボトムを支えて、ツインギターの相方としてのantzがいる。
そうしたメンバーに積極的に絡みにいくミヤの肩肘張らないステージの姿は、いちギタリストとして、純粋にライヴを楽しんでいるように思えた。
 
そんなミヤがken(L’Arc〜en〜Ciel)のシグネチャーモデル、Fender ken Stratocaster® Experiment #1を手にした「come to a screaming halt」。
ヘヴィなアンサンブルが幽玄なシンセサウンドに乗って伸びやかに変化するトリップホップ。
高松のうねるようなグルーヴが重々しく禍々しく楽曲を差配し、京が艶めかしく妖しく歌う。
場内には煙を含んだ無数のスモークバブルが舞い、ステージ後方にはプロジェクションマッピングによって大きな目が映し出される。
そして、場内サイドに設置されたモニターには「神、悪、人間、信仰、証明、価値……」といった文字が映し出され、
美しい悪夢のような世界を演出していった。「come to a screaming halt」は元々、yukihiroがACID ANDROID用に作ったという曲だが、
この日披露された新曲「surely」もそう思わせるエレクトロサウンドが特徴的なナンバーだった。yukihiroの妙に説得力のあるビート。
シーケンスに絡むフィル、両手のハイハット捌き……他では聴くことのできない、見られないようなドラミングが心地よい。
ニヒルな京のボーカルもシナジーとなり、Petit Brabanconのロックバンドとしての大きな懐を垣間見た。
 
ギターの無国籍フレーズ、儀式的なトライバルムードが引っ張っていく「無秩序は無口と謳う」からのゴシックな「非人間、独白に在らず」。
気が触れたかのように痙攣する動きを見せた京は、おもむろに己の口の中に指を挿れ、引っ掻くと、血を吐いた……。
その血を顔に塗りたくり、血まみれになって絶叫する京の姿をまさかPetit Brabanconで見るとは思わなかった。
しかしながら、京のそうした自傷行為は、ひたすらに負の感情を叩きつけていくDIR EN GREYのときとは少しだけ違って見えた。
それは獣のようなグロウルも、耳をつんざくホイッスルボイスも同じだ。そのひとつひとつがより衝動的で人間的なものに思えたのである。
 
前回のツアーでも披露された未音源曲「Miserable」。変幻自在のアンサンブルと、多様な声色を操る京が織りなすカオティックな世界が拡がっていく。
 
「狂ってこい! 狂ってこい!」
 
京の煽りにオーディエンスも全力で応える。無声の歓声が湧き上がり、頭を振り、腕を上げ、「疑音」へ。
ミヤは京の隣に寄り添ってみたり、antzと向かい合って呼応するようにプレイする。
メンバーそれぞれが黙々と演奏していく印象の強いなかで、その間を自由に行き来るミヤの存在にこのバンドの新たな可能性を見た。
 
「いけんのかー!? いけんのかー!? お前ら、ひとつになれんのか!? もっと噛みついてこい!!!!」
 
オーディエンスの士気を残らず絞り出させるように京が叫ぶ。イントロが鳴り響いた瞬間、沸き立つフロア。
ラストはアッパーなパンクチューン「Don't forget」だ。下手のミヤと上手のantzは立ち位置を入れ替わって、オーディエンスを煽っていく。
ミヤが高松に向かって拳を突き出すと、お互い向き合って顔を確認しながらプレイする。
アイコンタクトやセッション的なものとは程遠いバンドだと勝手に思っていたのだが、
ライヴを通してバンドとしての大きな手応えを感じていることがわかる、印象的な一幕だった。
 
こうして約70分のライブは幕を閉じた。時間で見れば短めかもしれないが、濃密で濃厚すぎるライヴであった。
 
メンバーが引き起こす化学反応という部分では、それぞれの個性とキャリアを持ち寄って生まれた『Fetish』制作時に既に起きていたわけだし、
そこからライヴを重ねるごとによって更なる進化を遂げ、深化していった。
そして、今新たなフェーズに突入しようとしている。5人が次を見据えていることは、
6月のEPリリースと7月のツアー『INDENTED BITE MARK』の発表が物語っている。
狂犬を超えたモンスター、Petit Brabancon。
異形のヘヴィロックをかき鳴らし、この先も大きな牙を剥き出しにしながら我々に噛みついてくるのだ。
 
 
Petit Brabancon 「Petit Brabancon EXPLODE -01-」
2023年1月28日 チームスマイル・豊洲PIT
SETLIST
 
01. Isolated spiral
02. Ruin of Existence
03. 渇き
04. OBEY
05. A Praying Man
06. come to a screaming halt
07. 刻
08. 主張に手を伸ばす修羅
09. 無秩序は無口と謳う
10. 非人間、独白に在らず
11. surely
12. I kill myself
13. Pull the trigger
14. Miserable
15. 疑音
16. Don't forget

 

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