2023年3月7日(火)に東京ガーデンシアター
ワンリパブリック、5年半ぶりに東京ガーデンシアターで圧巻のパフォーマンスを披露!
ワンリパブリック、5年半ぶりに東京ガーデンシアターで圧巻のパフォーマンスを披露!
2023/03/09
写真:Kayoko Yamamoto
2007年にデビューして以降、ヒットチャートを賑わすさまざまな楽曲を発表、昨年日本でも社会現象を巻き起こすほどのヒットを記録した映画『トップガン マーヴェリック』のサウンドトラックとして発表した「アイ・エイント・ウォーリード」で、さらに知名度をあげた米・西海岸発のポップ・バンド、ワンリパブリック。2017年以来となる単独来日公演が、東京・有明ガーデンシアターにて開催された。
チケットは、発売開始と同時にソールドアウトしたこともあり、開演前からオーディエンスの期待と興奮の空気で充填され、濃密かつ熱のある雰囲気。ゆえに、会場が暗転すると、自然と大きな歓声が巻き起こり、彼らの登場を歓迎していたというか。ようやく制限が緩和されて、自由にライヴを楽しもうという人々の開放的な叫びが轟いていたような印象だ。そんな空気に包まれて、フロントマンであるライアン・テダーをはじめバンド・メンバーが登場。来日公演を記念して2月にリリースされた日本独自のベスト盤『ワンリパブリック - ジャパン・パラダイス・ツアー・エディション』にも収録されている「シークレッツ」と「グッド・ライフ」を立て続けに披露。ライアンは途中でタンバリンを駆使した華麗なステップを披露するなど、日本とのオーディエンスと再会した喜びを身体全体で表現しているように感じた。
冒頭のパフォーマンスを終えると<ネイティヴ>な発音の日本語で「ここ、大好き。ありがとうございます」とライアンが挨拶。さらに「2008年に(サマーソニックで)来日して以来、僕にとって東京は世界で最も大好きな場所になった。今回、この素敵な場所で素晴らしいみなさんと再会できたこと、本当にうれしく思います。特に、この3年間は(ロックダウンなどの影響で)、私たちはとても奇妙な時間を過ごし、それを乗り越えて、ようやく日本に戻って来ることができた。だから、今回はバンドを結成して16年の集大成のようなステージにしたい。みなさんが大好きな楽曲ばかりを披露するよ。アメリカのラジオ局では<Just Hits>というカテゴリーがあるんだけど、まさにそういう構成。みなさん、カラオケに来た感覚で、一緒に歌いましょう」とコメント。
ハイトーンのロングブレス・ヴォイスで観客を圧倒させた「ストップ・アンド・ステア」から、「レスキュー・ミー」、「ホエアエバー・アイ・ゴー」など、ベスト盤に収録されているアップテンポのナンバーを次々と披露すると、会場からは大合唱が巻き起こると同時に、フロアも大きく揺れ、カラオケ空間というよりもクラブのフロアのような熱狂に包まれたのだった。
また、今回の公演は、バンドのキャリアを彩った楽曲の数々だけでなく、プロデューサー/ソングライターとしてこれまでさまざまなヒット曲を量産してきライアンの軌跡を辿るセクションも用意された。
「今までは、バンドの楽曲と自分が携わってきた音楽は別物と考えていたんだけれど、この3年の状況の変化によって、考えが変わったんだ。自分が手がけた楽曲、どれも好きで誇りを持っている。それを区別してしまうのは違うのかなって。だから、自分がやってきたことを、このステージでも表現したい。これから15分はカラオケ・ショーだ。みなさん、一緒に歌ってください」と、ビヨンセ「ヘイロー」やマルーン5「マップス」から、リル・ナズ・X「ザッツ・ホワット・アイ・ウォント」まで、さまざまな楽曲をセルフカヴァー。次々に響く名曲の数々から、改めてライアンの音楽的才能の高さを感じることができたのだった。
息つく暇のないほどのヒット・ソングのオンパレードになったステージ。その興奮状態をさらに高めたのが、「アイ・エイント・ウォーリード」である。口笛のイントロから、大きな歓声が巻き起こり、ライアンと一緒に歌い出す人々が続出。軽快なリズムにのって、ここ数年世界に蔓延していた<心配事>を吹き飛ばし、未来に向けて軽くステップを踏み出していくようなバンドの姿、そしてオーディエンス(人々)の思いが見事に融合して、特別な一体感や盛り上がりが生まれていた気がする。
さらに、バンドの名前を世界中に広めたバラード「アポロジャイズ」をライアンがピアノの弾き語りで披露。それまでの興奮を優しくクールダウンさせるような美しい旋律を響かせたのだったが、ラストでは「会場全体でクワイア(合唱)をやろう」と提案。4つに分かれた各フロアごとに、ライアンが即興でサビの”Too Late”のメロディを構築、提案し、壮大で美しいハーモニーを生み出したのだった。ほんの数秒で、さまざまな人々を結ぶ音を生み出してしまうライアンのセンスに、改めて圧倒された人も多かったように思う。
ライヴの終盤では、「アイ・リヴド」や、観客が自然発生的にステージを照らした携帯電話(スマートフォン)の光が星のような煌めきに見えた「カウンティング・スターズ」、そして「イフ・アイ・ルーズ・マイセルフ(ベスト盤はアレッソ vs ワンリパブリック・ヴァージョンを収録)」など、盛り上がり必至のダンス・トラックで締めくくったステージ。
「とても素晴らしいエネルギーを感じるショーになった。最高の瞬間だったよ。次はもっと短いスパンで来日したいと思っている。東京だけでなく、大阪や京都、そして沖縄でもツアーをしたいね」とコメント。ラストにはバンド・メンバー全員で深くお辞儀をし、ライアンは手でハートマークを作って会場にいるすべての人に感謝と愛を伝えていた彼ら。
2月にリリースしたばかりのワンリパブリック初のベスト・アルバム『ワンリパブリック - ジャパン・パラダイス・ツアー・エディション』では、ライヴの余韻を味わえるのはもちろん、残念ながら会場に足を運べなかった人も、日常やここ数年の閉塞した状況を忘れられる<パラダイス>な空気を聴き取れるはず。ここでバンドの魅力や、ライアン・テダーの孤高の音楽センス、そして日本のリスナーへの愛を感じていただきたい。
【文:松永尚久】
◆ 商品情報 ◆
ワンリパブリック
来日記念盤『ワンリパブリック – ジャパン・パラダイス・ツアー・エディション』
2023年2月15日(水)発売
UICS-1399 / 2,750円(税込) / 解説・歌詞・対訳付き
購入はこちら:https://umj.lnk.to/OneRepublic_JPTE
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