「いつも感謝していますし、本当に愛しています」
ATEEZ(エイティーズ)、全席完売となったアンコールコンサート「ATEEZ WORLD TOUR『THE FELLOWSHIP : BREAK THE WALL』ANCHOR IN JAPAN」で圧巻のパフォーマンスを披露!
ATEEZ(エイティーズ)、全席完売となったアンコールコンサート「ATEEZ WORLD TOUR『THE FELLOWSHIP : BREAK THE WALL』ANCHOR IN JAPAN」で圧巻のパフォーマンスを披露!
2023/05/15
©田中聖太郎写真事務所
2018年に韓国でデビューし、今や世界屈指の人気を誇る韓国の8人組ボーイズグループ「ATEEZ」。
2022年10月、ソウルを皮切りに日本、アメリカ、ヨーロッパを巡ってきたワールドツアー[THE FELLOWSHIP : BREAK THE WALL]の日本アンコール公演が5月2日(火)、3日(水・祝)に東京有明アリーナ、6日(土)、7日(日)に神戸ワールド記念ホールで開催された。
全編通してケータイでのみ撮影がOKとなるなど、開催前から大きな話題になった今回のアンコール公演。本稿では3日(水・祝)に行われた東京有明アリーナの公演の模様をレポートする。
開演時間を5分ほど過ぎた頃、客電が落ちると“Wake up...wake up Tokyo.”というナレーションとともに本編がスタート。オープニング映像に映るそれと同じ黒いマントを被った人々がステージに登場し不穏な空気を醸す中、マントを脱ぎ、煌びやかなホワイトジャケットを身に纏う8人が姿を現すと、MVでも印象的だったヒト型の大きなモチーフをバックに「HALAZIA」が始まる。冒頭から会場を一気にATEEZの世界観に引き込み、続く「今日も東京に錨を下ろします」というHONGJOONGのコメントに、これからここ東京で始まるATEEZとの航海の旅路に胸が躍った。
オープニングコメントではメンバー一人ずつ日本語で挨拶。YEOSANGがイヤモニを外して客席に歓声を求めるとまたたく間に歓声は大きくなり、ATINY(エイティニー:ファンの呼称)の熱気も高まる。ワールドツアーながらも早速、まだ数回しかパフォーマンスを披露していないという日本オリジナル楽曲「Paradigm」へ。続く「The Ring」ではセンターステージへ移動し、黒い太陽が昇る映像とともに再びダークで強烈な世界を描いた。
「今日、花が多いです」とMINGIが客席のATINYを一人ずつ指しながら「花……花……。今日本当にきれいですね」と言って会場を沸かせ、JONGHOが1階から4階まで客席に歓声を求めて会場をひとつにまとめると、「HALA HALA」を披露し会場を埋めるATINYとの一体感を高めた。
映像を挟むと、8人はホワイトと深いブルーが印象的な衣装で登場。全員がハンドマイクに持ち替え、まばゆい光の粒と水彩画のような色彩の中で歌い上げた「Dazzling Light」「Mist」では、彼らが持つもうひとつの顔を幻想的な演出で魅せた。
その後のMCでは、ATEEZで一番好きな曲の話題になると、“好き”のワードをきっかけにMINGI、SEONGHWA、YEOSANGによる“好き好きチャレンジ”が開催され、さらにATINYへの愛と感謝を伝えるコメントの中でSANが力強く手を振りながら「コンサートでストレスを発散!して!」と言うと、会場も巻き込みながら全員で「発散!」ポーズ。コンサート序盤で見せた、他を寄せつけない雰囲気でパフォーマンスする姿とは打って変わって、客席とコミュニケーションを取りながらトークを繰り広げる気さくさも、彼らが多くの人に愛される理由のひとつだ。笑いが絶えない柔らかな雰囲気のまま、「ATINYが観たいと思っている曲を準備しました」と語った「AURORA」の日本語バージョンをATINYに届け、客席との距離をぐっと縮めた。
センターステージの上に浮かぶ月が照らされ、客席には大きなシャボン玉のような透明なボールがいくつも投げ込まれ浮遊する。まるで無重力空間にいるかのような感覚に陥る中で、メンバーも透明なボールを持って登場すると「ILLUSION」がスタート。楽曲の世界観を再現するようなドリーミーな空間でATINYとボールを介して戯れ、夏の気配を感じる今の季節にピッタリな「WAVE」へ続くと、センターステージや花道でメンバーそれぞれが思い思いに客席を盛り上げ、軽やかに会場のボルテージを上げていった。
8人が再びメインステージに揃うと、HONGJOONGキャプテンの「船員ども!位置につけ!」の合図で次なる旅が始まる。バックの巨大LEDには荒れ狂う海を進むわれらが船首が映し出され、ステージの高い位置からはATEEZロゴがあしらわれた大きなフラッグが、まるで帆のように垂れ下がる。出航の合図が鳴り響く中、「WIN」がスタート。船に打ちつける荒波に負けじとギアアップするダンスと、「우리 배는 편도로만 가 (ぼくらの船は片道切符)」というフレーズが場内の温度を上げ、続く「Horizon」で魅せたボーカル、ラップ、ダンスのリレーで会場は青い炎のように燃え上がっていく。そして、「東京のみなさん!準備はできましたか?」というHONGJOONGの声とともにヘヴィなイントロで始まった「WONDERLAND」は、2021年に韓国で放送されたテレビ番組「KINGDOM : LEGENDARY WAR」で披露され話題になった、ドボルザークの交響曲第9番「新世界より」とのマッシュアップバージョンだ。シアトリカルに展開するパフォーマンスに会場の熱狂は最高潮に達する。客席のエネルギーを正面から受け止めながら、それを上回る猛烈なパワーを放って突き進むATEEZ。燃えさかる火の海を猛然と進むその船が、もはやそれ自体が炎そのものとなって圧倒的な熱量とスケールで会場全体を掌握したこの瞬間は、間違いなく本公演のクライマックスだった。
怒涛の展開に興奮冷めやらぬ会場には、オープニングとリンクする映像が流れる。黒いマントを頭から被り顔を隠していた彼らがマントを脱ぎ捨て、希望を手に新たな世界へ踏み出そうとする映像に続くのは、「Cyberpunk(Japanese Ver.)」。まさにサイバーパンクな夜の街をイメージした映像に照らされて浮かび上がるメンバーのシルエットに、大歓声が上がる。ブラックの細身の衣装に身を包み、椅子を駆使しながらのパフォーマンスは彼らの肉体美をより一層引き立てる。曲が終わった後にはSEONGHWAが客席を指しながら、「セクシーな服好きですね?」とATINYの心の内をズバリ言い当てていた。
SANが「みんなまだいけますよね? 僕たちももちろんいけます! 久しぶりに会ったのにまだ疲れちゃいけません!」と投げかけると本編も終盤へ。その言葉どおり、ここまで2時間近くパワフルなパフォーマンスを繰り広げてきたとは思えないほど力強いボーカルとラップ、そしてダンスで「Fireworks (I'm The One)」「ROCKY(Boxers Ver.)」「Say My Name」と、これぞATEEZなナンバーを畳み掛ける。
本編最後のコメントでYUNHOが、「これからも日本で新曲を披露しながら、日本にもっと来られるように頑張るので応援よろしくお願いしますね」と伝えると、会場も大きな声援で今後の活動への期待を伝える。そして最後にメンバーの「せーの!」の掛け声で、会場に集まった全員でツアータイトル「BREAK THE WALL」を高らかに叫び、「Guerrilla」で本編を締めくくった。
アンコールで再びステージに立った8人はカジュアルな衣装に着替え、「夜間飛行 야간비행 (Turbulence) (Japanese Ver.)」「Celebrate」「From」を披露。残りわずかなATINYとの時間を惜しむように、8人が8人それぞれの方法で会場全体に歌を届けるあたたかな時間が流れていった。JONGHOが、「次のコンサートの時にはクロージングコメントを日本語で自由に話せるように、日本語を頑張って勉強してきます!」と、ATINYと日本で再会する日までの約束を交わし、ラストの「The Real (Heung Ver.)」へ。サビ前のブレイクのアドリブも曲中のアジテーションも、曲が終わりに近づくにつれてますますヒートアップしていき、本編で見せたそれとはまた違う、彼らの眩しすぎるほどのポジティブなエネルギーに会場が照らされ、花びらが舞う会場を多幸感で包み込んだ。
メンバーがステージから姿を消してもなお興奮の余韻を帯びながら鳴り続ける「The Real (Heung Ver.)」がフェードアウトすると、「こんにちは、ティニー、WOOYOUNGです」と、画面にWOOYOUNGの姿が映し出される。「これからももっとカッコいいアーティストになるように努力します。いつも感謝していますし、本当に愛しています」と、最後にサプライズとして、メンバーひとりひとりからのビデオレターが今日の旅を共にした会場のATINYたちに届けられると、本公演の幕は下ろされた。
ワールドツアーの日本アンコール公演という記念すべき本公演。そのセットリストには、昨年末の日本公演とは異なる日本オリジナル曲と人気楽曲の日本語バージョンが組み込まれ、このワールドツアー中に彼らが感じたことや目の前のATINYたちへの思いは、そのほぼ全てが日本語で真摯に伝えられた。こうしたところからも、彼らがこのツアーの1公演1公演にいかに真剣に向き合っているかということを汲み取れるし、なにより、日本のファンを想うATEEZの心意気を感じずにはいられなかった。
世界各地を旅してきたATEEZという船は、その大冒険の旅路において絶えず挑戦し続け、時には大波にぶつかったりもしながら、そのひとつひとつを自分たちの成長の糧へと変えて乗り越えてきた。そしてそれをまた前進する力に変えて、この日、東京の地にやってきた。そこで目の当たりにしたのは、ちょっとやそっとのことでは怯まない逞しさと、会場を丸ごと抱きしめるような大らかな愛をたたえる彼らの姿だった。それは、このツアーを通して8人のチームワークがますます強固になっている証明であり、そしてこの日のすべての瞬間を共有したATINYたちとの絆への信頼感の表れだったのではないだろうか。
世界を股にかけるこの航海を終えた時、ATEEZという船が打ち破った壁の向こう側には一体何が見えるのか。それを目撃するために再び乗船できる日を楽しみに待ちたいと思う。
ライター=中村萌
日本でのアンコール公演となった、本ライブのセットリストは以下の通り。
【「ATEEZ WORLD TOUR 『THE FELLOWSHIP : BREAK THE WALL』ANCHOR IN JAPAN」セットリスト】
INTRO + HALAZIA
Paradigm
The Ring
HALA HALA (Hearts Awakened, Live Alive)
Dazzling Light
MIST
AURORA (Japanese Ver.)
DIAMOND
Limitless
INTRO + ILLUSION
WAVE
INTRO + WIN
Horizon
INTRO + WONDERLAND (Symphony No.9 “From The Wonderland”)
Cyberpunk (Japanese Ver.)
Fireworks (I’m The one)
ROCKY (Boxers Ver.)
Say My Name
Guerrilla
●ENCORE
夜間飛行 야간비행 (Turbulence) (Japanese Ver.)
Celebrate
From
The Real (Heung Ver.)
関連する記事
ニュース
2023/12/25
2023/12/20
2023/12/18
インタビュー
2023/03/23
2022/09/15
2022/05/26
2022/01/26
特集/レビュー
2023/04/03
レクチャー
2022/11/15
2022/11/01