夢の共演がいよいよ日本上陸

ダリル・ホール with トッド・ラングレン 来日公演初日のライヴ・レポートが到着!

ダリル・ホール with トッド・ラングレン 来日公演初日のライヴ・レポートが到着!

2023/11/21

ダリル・ホール with トッド・ラングレン 来日公演初日のライヴ・レポートが到着! ダリル・ホールとトッド・ラングレン、その夢の共演がいよいよ日本上陸。初日ステージが、超満員のすみだトリフォニー・ホールで開催された。

 

ダリル・ホール with トッド・ラングレン 来日公演初日のライヴ・レポートが到着! ダリル・ホールとトッド・ラングレン、その夢の共演がいよいよ日本上陸。初日ステージが、超満員のすみだトリフォニー・ホールで開催された。

 

ダリル・ホール with トッド・ラングレン 来日公演初日のライヴ・レポートが到着! ダリル・ホールとトッド・ラングレン、その夢の共演がいよいよ日本上陸。初日ステージが、超満員のすみだトリフォニー・ホールで開催された。

 

ダリル・ホール with トッド・ラングレン 来日公演初日のライヴ・レポートが到着! ダリル・ホールとトッド・ラングレン、その夢の共演がいよいよ日本上陸。初日ステージが、超満員のすみだトリフォニー・ホールで開催された。

写真:山路ゆか

77歳のダリルと75歳のトッド、共にフィラデルフィア・エリアの生まれ。直接の交流としては、ホール&オーツがブレイクする前の3rdアルバム『WAR BABIES』(74年)をトッドがプロデュースしたのに端を発する。音楽的にも商業的にも成功とは縁のない作品だったが、2人がシンパシーを感じ取ったのは間違いなく、その後は互いのアルバムにゲスト参加し合うなどして交流を続けてきた。比較的新しいところでは、活動を再開したホール&オーツの02年作『DO IT FOR LOVE』に収録された<Someday We'll Know>で、3人一緒にヴォーカルを披露。ダリルとトッドの歌声が結構似ているという声も出ていた。また07年にスタートしたダリルの映像番組『LIVE FROM DARYL’S HOUSE』(通称LFDH)では、09年9月にトッドが出演。80本を超えるアーカイヴで、過去最大級の話題を提供している。だからダリルがハウス・バンドを率いてツアーに出るなら、最初のゲストとしてトッドを招くのは当然の流れなのだ。 

こうして昨年4月、実際にツアーがスタート。断続的に全米各地を巡り、いよいよ日本にも来ることになった。ジョン不在を嘆くホール&オーツ・ファンは少なくないが、一方でトッドとの共演を喜ぶ音楽フリークも多い。かく言う筆者もその一人である。コロナ禍などで休止期間があったLFDHも、タイミング良く、この11月からニュー・シーズンがスタートした。今回のツアーのステージ・セットも、LFDHの雰囲気をそのまま再現したアット・ホームなモノとなっている。 
 
定刻をわずかに回って、まずはトッドのステージがスタート。15年作『GLOBAL』のアートワークを髣髴させる渦巻き状のブラックTシャツにサングラスという目を引く出立ちで、オープニングの<Real Man〜Love Of the Common Man>から大熱演を繰り広げる。ハンドマイクでステージを右へ左へと歩き回り、中盤からはグリーンのストラトキャスターを激しく弾き倒すのだ。そうかと思えば、<It Wouldn’t Have Made Any Difference><I Saw The Light><Hellow It’s Me>といった美メロの人気曲では、オーディエンスを諭すように丁寧に歌い込む。そして終盤では、<I’m So Proud〜Ooo Baby Baby〜I Want You>のソウル・クラシック・メドレーになだれ込んで、ソウル・ミュージックへの深い愛情を提示。時にマルチ・ミュージシャンらしく、相当実験的なコトも平気で演ってしまう人だが、今回は多才なトッドの魅力をバランスよく1時間にパッケージ。声もよく出ていたし、思い余ってシャウトしたりで、70歳代とは思えぬ熱血漢ぶりを発揮した。何よりトッドをよく知らないファンに対して、“This is Todd”と断言できる、そんなパフォーマンス。プロデューサーとしての実績も多いだけに、状況に応じた自分の見せ方を演出できるのはサスガだと唸らされた。 

しばしのインターヴァルを挟んで、<Dreamtime>からダリルのステージがスタート。「今日は『BEFORE AFTER』の曲をフィーチャーするよ」と、立て続けに<Foolish Pride>で畳み込む。しかしそのあとはホーツ&オーツのヒット<Out Of Touch>が矢継ぎ早に。さすがにハイノートは若い頃と同じとは行かないが、喉の調子は良さそうで、曲ごとにギターを取っ替え引っ替えしながら、ご機嫌なパフォーマンスを見せた。LFDHでギターを弾く機会が増えたせいか、プレイするのが楽しそうで、<Say It Isn’t So>ではお馴染みのサックス奏者チャーリー・デシャントと、カッティングで掛け合いも。それが終わって初めてギターを置くと、「僕のフェイヴァリット・アルバムから」と言って、ハンドマイクで<I’m In a Philly Mood>を。サビのリピートではオーディンスにもマイクを向け、ジンワリと盛り上げていった。 

するとそこで、ステージ上手にグランド・ピアノが登場。デュオのライヴではステージ・ピアノ類が出てくるのが常なので、これは嬉しい驚きだ。ダリルがそこへ移動し、やおら歌い出したのは、名曲<Everytime You Go Away>。もともとオルガンが鳴り響く渋めのバラードだったが、今回はゴスペル・テイストを加味し、より厳かにアレンジされた。そしてLFDH最新回にロバート・フリップが出演していることを紹介し、フリップ制作のソロ1st『SACRED SONGS』から<Babs And Babs>を取り上げ、演奏陣をフィーチャーしてジックリ濃厚に届けてくれた。ここでピアノのダリルとアコースティック・ギターを抱えたシェイン・テリオットだけがステージに残り、ユーリズミックスのカヴァー<Here Comes the Rain Again>をアンプラグドで。ユーリズミックスのデイヴ・スチュワートもまた、トッド同様、ダリルとは馬の合う間柄で、2ndソロ『ドリームタイム(Three Hearts In The Happy Ending Machine)をプロデュースした他、LFDHにも出演。その模様は『BEFORE AFTER』にも収められている。 

ちなみにダリルズ・ハウス・バンドのメンバーは、『LIVE IN DUBLIN』として映像作品が残されたホール&オーツ2014年の欧州ツアーとほぼ同じ。バンド最古参の名物男チャーリー・デシャント、ギター/コーラスのシェイン・テリオットのほか、ブライアン・ダン (ds)、クライド・ジョーンズ (b,cho)、ポーター・キャロル・Jr. (Perc,cho) で、旧メンバー:故ボブ・メイヨーの息子グレッグ・メイヨー (kyd,cho) のみが新参となる。しかもブライアンとクライドは、再編アヴェレイジ・ホワイト・バンドの出身。ホール&オーツとはデビュー当時から近しい存在だったアヴェレイジの元メンバーが複数いることは、もはや偶然とは思えない。何せ一時は、アヴェレイジの創設メンバーであるアラン・ゴーリーも、ダリル・ソロのブレーンだったのだから。またヴォーカル面でダリルをしっかりサポートしていたポーターは、アトランティック・スターのオリジナル・メンバー。知名度はさほど高くなくても、キャリア豊富な実力派ミュージシャンが揃っているワケだ。 

メンバーが再び自分のポジションに戻り、ダリルのピアノ・ソロから導かれたのは、何ともブルージーに変貌した<Sara Smile>である。なるほど、LFDHのセットを背景にグランド・ピアノでこの曲を滋味いっぱいに歌われると、デュオとは違った親近感、リラックスした雰囲気が伝わってくる。そしてラストは大ヒット<I Can’t Go For That>。チャーリーがステージを練り歩き、シェインとのソロ掛け合いで本編が幕を閉じた。 

アンコールでメンバーが出揃うと、ダリルが旧友トッドを呼び込み、どちらからともなく手を伸ばしてグー・タッチ。ダリルが新たに用意されたキーボードに座ると、グッとテンポを落とした<Wait For Me>が始まった。1コーラスめを歌うのはトッドで、2コーラスめがダリル。続いてトッドの<Can We Still Be Friends(友達でいさせて)>が歌われ、こちらはダリル〜トッドの順でリードを取る。面白いのは、相手の曲だと原曲メロディに忠実に歌い、自分の曲だと自在にフェイクしまくる。もちろん互いをリスペクトしているからこうなるのだが、やっぱりこの2人、思考が似ているかも、なんて思ったり…。そしてアンコール3曲目は、歌声を合わせるかのようにデルフォニクスのカヴァー<Didn't I (Blow Your Mind This Time)>が飛び出した。 

普通はココで終わりになる。でも今回はダブル・アンコールで、ダリルが再登場。満面の笑みで、昨年からのツアーで今回が初披露となる<Private Eyes>を歌ったから少々ビックリ。これは日本だけの特別サービスなのだろう。 
 
実のところ、ホール&オーツのライヴなら、もう何度も観ている。けれど、こんなにリラックスしたショウは初めてだ。ダリルのソロ・ツアーは、おそらく『SOUL ALONE』を発表した93〜94年以来かと思うが、今だからこそあまり片意地張らず、自然体でステージに立てるのだと思う。ピアノを小道具的に使い、まさにダリルの家の居間にいるようなアット・ホームな雰囲気を醸成したことが、その象徴。きっとLFDHは、ダリルがダリルらしく居るために必要な空間なのだ。 
80’sのノスタルジーではなく、現在も進化を続けるダリルとトッドの姿、その貴重な共演を体感できるのは、東京と大阪であと1日ずつ。それを見逃しては、後悔先に立たず、である。 
 
TEXT;金澤寿和 / Toshikazu kanazawa 
 
 
■11月19日(日)すみだトリフォニーホール公演セットリスト   
●トッド・ラングレン 
01. リアル・マン Real Man 
02. ラヴ・オブ・ザ・コモン・マン Love of the Common Man 
03. イット・ウドゥント・ハブ・メイド・エニー・ディファレンス It Wouldn't Have Made Any Difference 
04. ウィ・ガッタ・ゲット・ユー・ア・ウーマン We Gotta Get You a Woman 
05. バッファロー・グラス Buffalo Grass 
06. アイ・ソー・ザ・ライト I Saw the Light 
07. ブラック・マリア Black Maria 
08. アンラヴド・チルドレン Unloved Children 
09. ハロー・イッツ・ミー Hello It's Me 
10. サムタイムス・アイ・ドント・ノー・ホワット・トゥ・フィール Sometimes I Don't Know What to Feel 
11. アイム・ソー・プラウド I'm So Proud (The Impressions cover) 
12. ウー・ベイビー・ベイビー Ooo Baby Baby (The Miracles cover) 
13. アイ・ウォント・ユー I Want You (Marvin Gaye cover) 
14. ザ・ウォント・オブ・ア・ネイル The Want of a Nail 
 
●ダリル・ホール 
01. ドリームタイム Dreamtime 
02. フーリッシュ・プライド Foolish Pride 
03. アウト・オブ・タッチ Out of Touch (Daryl Hall & John Oates song) 
04. セイ・イット・イズント・ソー Say It Isn't So (Daryl Hall & John Oates song) 
05. フィリー・ムード I'm in a Philly Mood 
06. エヴリタイム・ユー・ゴー・アウェイ Everytime You Go Away (Daryl Hall & John Oates song) 
07. バブス&バブス Babs and Babs 
08. ヒア・カムズ・ザ・レイン・アゲイン Here Comes the Rain Again (Eurythmics cover) 
09. サラ・スマイル Sara Smile (Daryl Hall & John Oates song) 
10. アイ・キャント・ゴー・フォー・ザット I Can't Go for That (No Can Do)  (Daryl Hall & John Oates song) 
Encore1 :  
11. ウェイト・フォー・ミー Wait for Me (Daryl Hall & John Oates song) [with Todd Rundgren] 
12. 友達でいさせて Can We Still Be Friends (Todd Rundgren cover) [with Todd Rundgren] 
13. ディドント・アイ Didn't I (Blow Your Mind This Time) (The Delfonics cover) [with Todd Rundgren] 
Encore2 :   
14. プライベート・アイズ Private Eyes (Daryl Hall & John Oates song) 
 
【来日公演情報】  
DARYL HALL and The Daryl’s House Band with Special Guests TODD RUNDREN 
and CORNELIUS [Tokyo Garden Theater only] 
●2023年 11月19日(日)すみだトリフォニーホール OPEN 17:00 / START 18:00 
●2023年 11月21日(火)Zepp Namba OPEN 18:00 / START 19:00 
●2023年 11月23日(木・祝)東京ガーデンシアター OPEN 16:00 / START 17:00 
 
INFO:CREATIVEMAN :03-3499-6669 
https://www.creativeman.co.jp/artist/2023/11dh-tr/ 
 
【The Daryl’s House Band の来日メンバー】 
シェイン・テリオット Shane Theriot (Guitar) 
レッグ・メイヨー Greg Mayo (Key) 
クライド・ジョーンズ Klyde Jones (Bass) 
ブライアン・ダン Brian Dunne (Drums) 
ポーター・キャロル Porter Carroll (Percussions) 
チャーリー・デシャント Charlie DeChant (Sax) 
 
【ダリル・ホール】 
1946年生まれでフィラデルフィア出身。1948年生まれでニューヨーク出身のジョン・オーツと72年にコンビを組んで、『ホール・オーツ』でデビュー。75年に「サラ・スマイル」(76年)がヒットし、ソウル感覚溢れるスタイルで第一線に踊り出る。その後、「リッチ・ガール」(77年/1位)、「キッス・オン・マイ・リスト」(80年/1位)、「プライベート・アイズ」(81年/1位)、「マンイーター」(82年/1位)など次々に大ヒットと放ち、史上最高の売り上げを誇るデュオとして、一世を風靡。2014年にはロックンロールの殿堂入りを果たしている。H&Oとしての来日公演も多く、日本でもいまだ高い人気を博している。一昨年、ダリル・ホール&ジョン・オーツとしてはアルバム・デビュー50周年を迎えている。ダリル・ホールはソロとしても5作品を発表。ウェブ・シリーズからテレビの定番へと発展し、賞を受賞した『ライヴ・フロム・ダリルズ・ハウス』では主役を務め、ニューヨーク州ポーリングにある修復された建物を用いたライヴ・ミュージック・スペース、「ダリルズ・ハウス」のオーナーとしても成功を収めている。 
 
【トッド・ラングレン】 
美しく切ないメロディを作り出すメロディメーカー、ソングライターとしてだけでなく、ニューヨーク・ドールズ、グランドファンク・レイルロード、XTCやバッドフィンガー、ジェシ・ウィンチェスターやザ・バンド、他にもホール&オーツなど数々の有名バンド・アーティストのプロデュースを行ったプロデューサー兼マルチプレイヤー。       

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