初期の代表曲
ポルノグラフィティ「Mugen」を解説
【ヒット曲から学ぶ作曲テク その6】
ポルノグラフィティ「Mugen」を解説【ヒット曲から学ぶ作曲テク その6】
2015/10/01
こちらのページではJ-POPのヒット曲を例に、その曲に隠された作曲テクニックを紹介する。「Aメロ/Bメロ/サビ」のそれぞれからオイシイ箇所をピックアップしているので、これを読んで曲作りに役立ててほしい。今回はポルノグラフィティ「Mugen」を取り上げて解説していく。
参考曲:ポルノグラフィティ「Mugen」
幅広い音楽性を持っているロックバンド、ポルノグラフィティの初期の代表曲が「Mugen」だ。古いロックンロール的なリズムパターンやベースラインを基本に、シンセやブラスなどが絡むゴージャスなアレンジがカッコいい。 展開は、オーソドックスに「イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ」と進むが、Bメロで次々と転調させてからサビに突入することで、Aメロとサビのキーが変わるなど、凝ったアレンジになっている。途中の渋いサックスソロもロックンロール的だ。
解説その1:Aメロ
ペンタトニックでワイルドなR&Rのメロディを作る
参考曲のようなマイナーキーのロックンロールの歌メロは、ペンタトニックスケールを使ってフレーズを作るといい。さらに、もう少しワイルドなイメージを加えたい時は、ブルーノートを使ってみよう。 例えば、「ソ」に上がるところをあえて「ソ♭」にしたり、「ソ」から「ファ」に動く時に半音ずつ進んで「ソ→ファ♯→ファ」という動きにしてみよう。また、同じ要領で「ド」と「シ♭」の間の「シ」の音も、経過音として入れるといい。いずれも「Key= Cm」の場合なので、キーが変わった時はそのままズラせばOKだ。
解説その2:サビ
次々と転調してキーの違うサビに続ける
参考曲はストレートなロックンロール調の楽曲だが、Bメロの前半はかなり強烈なコード進行の連続で意表を突く展開になっている。2小節単位で、いわゆる「ツーファイブ進行」を繰り返しながら1音ずつ上に転調していくのだが、その際に分数コード(これによって9thや11thのテンションを加えたような響きが生まれる)やメジャー7thのコードを用いて、かなりオシャレに展開していく。これは、サビに向かうための大々的な転調だが、曲中でパッと転調したい場合には多用されるパターンなので、形を覚えてしまうといいだろう。
サビ前の小節の「E 7(♯9)」を「Esus4」に変えて、上のように展開すれば、もう1音上の「Key=B」まで転調することも可能だ
解説その3:サビ
オーソドックスなコード進行に7thでアクセントを付ける
壮絶な転調が連続するBメロの前半の後は、後半の4小節で徐々に軌道修正をして、サビではオーソドックスなロックンロール路線に戻るのが特徴だ。サビの3?4小節目と7小節目で「F7→E7」で7thの響きを強調し、最後のコードを「Em7」ではなく「E7」にすることでアクセントを付けている。一方、サビの最後では「Dm7→ Em→Asus4→A」と、少しメロウな雰囲気でメジャーキーに解決させることで、ポップな要素も感じさせる。この後、Bメロのような転調のプロセスなしで、一気にAメロの「Key= Cm」に戻るところも刺激的だ。
マイナーキーから同主調のメジャーに解決したい時には、この曲のようにsus4を経由するのが定番だ。参考曲では、この後にいきなり転調して、AメロのKey=Cmに戻っている
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