8万人を動員した地球デビュー30周年期間限定再集結ツアー

【完全ライブレポート】聖飢魔Ⅱ、日本武道館2DAYSファイナル公演にて完了!

【完全ライブレポート】聖飢魔Ⅱ、日本武道館2DAYSファイナル公演にて完了!

2016/02/22


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聖飢魔Ⅱ、日本武道館2DAYSファイナルの様子(カメラマン:今元秀明)
 

D.C.17(2015)年8月15日RISING SUN ROCK FESTIVALのステージにて衝撃の期間限定再集結を遂げた聖飢魔Ⅱ。その後、「全席死刑TOUR」「続・全席死刑TOUR」にて全国各地を恐怖のどん底に陥れ、遂に日本武道館2DAYS公演で期間限定再集結を終え、再び魔界に帰還した。8万人を動員した30周年公演の参拝券(チケット)は全会場即時ソールドアウト。解散後も信者(ファン)が増え続けるという異常な盛り上がりを見せ、参拝券(チケット)が入手出来ない信者が続出。その為、2月20日の最終公演はWOWOWでの生中継に加え、全国25館の映画館にてライブビューイングが実施されるに至った。ここでは、2月20日の最終公演の模様を完全レポートしたいと思う!
 

日本武道館2DAYSファイナル公演レポート(テキスト by 長谷川幸信)


「私は、初代魔王から遥かな昔、地球と呼ばれる宇宙の歴史上、もっとも美しい惑星が存在したことを聞かされた。私はその美しい星をひと目見たいと思い、デーモン一族を率い、紀元前約10万年の地球へとタイムワープした。聞きしに勝る美しい光景を目の当たりにした私は、それを我が物にしたいと考えた。悪魔による地球制圧が始まったのである…」

暗転した直後、ミサ会場の日本武道館に流れ始めたエピローグ。聖飢魔II誕生のストーリーを語る私という声の主は、中盤、こう問いかける。「ところで、一体、誰か分かるかね? 1番、イェーイのおじさん。2番、イェーイのおじいさん。…666番、ダミアン浜田陛下」
ジックリと話に聞き入っていた信者達、もう大爆笑。しかし、聖飢魔IIの創設者であるダミアン浜田陛下が、声だけであっても降臨とは、まさかである。そしてダミアン浜田陛下は最後にこう締めくくった。

「悪魔に魂を売り払った敬虔な信者達よ、今宵の黒ミサをマブタにシカと焼き付け、その教えを心と身体に深く刻みこむがよい。永遠に…、忘れることのないものとして」ステージに広がっている威厳ある洋館が光に包まれ、その光の向こうから一名ずつ構成員が登場。ライデン湯沢殿下、ゼノン石川和尚、ジェイル大橋代官、Sgt.ルーク篁III世参謀。現れるたび、個悪魔ごとのオーラは信者達を熱狂させるばかり。いよいよ悪魔教儀式、大黒ミサの始まりである。

ライデンのフロア・タムを合図に、一気にバンド・サウンドが武道館を揺るがした。ジェイルとルークはお互いに指さし合いながら速弾きも決める。そのまま始まったナンバーは「創世記」。その力強く硬質なサウンドの中、黒装束の従者2名によって棺桶が運ばれてきた。怪しい煙と共に棺桶の蓋が開かれていくと、ご本尊、デーモン小暮閣下が眼光も鋭く姿を表わした。

「フワッハッハッハ…、聖飢魔II、地獄の皇太子」

ジェイルとルークがツインで決めるメロディと共に、曲はその「地獄の皇太子」に突入。メロウィック・サインを掲げて信者達を煽りながら歌うデーモン。ギター・ソロのときにはそれぞれの構成員のもとに歩み寄り、パワーを注入するようなポーズを取りながら真っ赤な舌も出す。それらのお姿を崇め、一心不乱に悪魔教への忠誠心を改めて誓い腕を振り上げる信者達…。

D.C17(2015)年8月から地球デビュー30周年を記念して、期間限定再集結を果たし、日本全国を布教活動してきた聖飢魔IIだが、その活動のファイナルとなったのが今回の日本武道館における大黒ミサ。再集結は今回で6度目になるが、ダミアンも「地獄には6度あることは7度あるというコトワザはない」と説法したように、これが本当のファイナルである。信者達の思いはタダ事じゃない。すでに歓喜と悲しみが混じったような涙をこぼす者もいるほどだ。悪魔達にとっても最期のミサ、ひたすらテンションは高い。「イヤーハッ!」と尋常じゃない雄叫びでコール&レスポンスも起こすデーモンだった。

「聖飢魔II、悪魔のミサへようこそ。地獄の沙汰も金次第。今日は例の地獄の沙汰の日だ。最終審判上告、金持ってきたかー! 貢物いらねえから物販買ってくれ」

急に人間界に染まったお願い口調のMCも挟みつつも、アイデア満載のミサになることもデーモンは予告。また今回の布教活動で新しく信者になった者どもに「やりたかったのか〜、叫びたかったか。そうだな…、そのへんじゃ叫べないからな」と優しく問いかけながら取り出したのは赤いリンゴだった。

「これは紅玉。形もいい、大きさもいい。この紅玉、青森県南部地方及び岩手県地方において普通とはちょっと違う呼び方をしておる。ななな…なんと、紅玉のことをマンコウと呼んでいるんだ」

これを受けて「えーっ」や「うそー」、さらには「コマネチ」など、デーモンのポーズに合わせて叫ぶ信者達。おなじみのリンゴのイニシエーションである。デーモンの「女子達の思春期、自分の周りの誰が、誰彼にもうアレをあげたらしい。競うように気になってしょうがない。それはなんだ」などの問いに、「マンコウ!!」と叫ぶ信者達。それありか、ここは武道館だが。ともかく飛ばし過ぎのイニシエーションと共に「アダムの林檎」が始まった。ジェイルはメタリックなリフを刻み、信者達を指さして煽る。歌いながらジェイルのもとに歩んだデーモンは、片手に持ったリンゴをジェイルに噛じらせた。さらにルークにも。ギター・ソロではルークとジェイクが華麗なポーズで絡み合いながらツインでハモる。メタルの様式美を存分に感じさせるドラマティックなアプローチには鳥肌も立つ。その間、デーモンはゼノンやライデンにもリンゴを噛じらせていった。

そのリンゴが信者に当たる抽選会を挟んで、曲は「秘密の花園」へ。伸びやかな歌声が感動的に響き、感情たっぷりに奏でる各悪魔のフレーズは、まさに花園へ誘惑するような美しさ。そこからレーザー光線も飛び交いながら「MASQUERADE」へ続く。この曲のクライマックスはやはりルークとジェイクのギター・バトルだろう。それぞれの個性を発揮したフレージングで火花を散らしながら、後半ではハモりながら高速プレイも決める。白熱のミサへとテンションは高まり続けた。

そのムードを一変させたのは、怪しげな風の音とデーモンによる語り。ホラー映画の始まりを想起させるそれは「蝋人形の館」のイントロだった。デーモンの英語の語りを訳すのはゼノンだ。「…Noises that sound much like screams of MIDDLE AGED MADAMS」を「“年頃のご婦人”の悲鳴にも似た叫び声が聞こえるとか、聞こえないとか」と気遣い溢れる翻訳に、笑いも起こるミサ。さらに「…like screams of UEDA KICHIJIRO」など無茶ぶり。それに上田吉二郎のモノマネで訳すゼノン。そんな、ほぼ漫談のようなやり取りを続けて曲へ。信者達のコーラスもでっかく響かせながら、腐った地球をぶっ潰す呪文のコール&レスポンスも起こす。それがまた「雛人形」や「蝋人形」はともかく、「貧乳ちぎって針でさせ」など遊びまくり。それでも曲に戻ればガッチリ決めるという大ギャップも、ミサならではの刺激だ。

ルークの「オマエらの元気が本物かどうか、俺達に試させてもらっていいかい?」のMCでミサは一緒に歌おうのコーナーへ。「全くブレのない俺の人生のような一本の線が、真ん中に引かれたとする」と、ジェイル組とルーク組に信者達を分け、コーラス合戦だ。それが合わさると、美しいハーモニーがミサ会場に広がった。ルークも「すごーい! うまーい!!」と大感激。そこから続くのはおなじみ「悪魔組曲 作品666番 変ニ短調」だ。邪悪極まりないフレーズとコーラスが飛び交い、聖飢魔IIの真髄をこれでもかと見せつける。曲の途中にはギロチン台も登場し、処刑された生首を掴み、生き血を飲み干すデーモン。血を毒霧に変換して吹いたり、倒立で歌ったりと、そのお姿はまさに悪の権化そのものだった。

10分のインターバルを挟み、「GO AHEAD!」から第二部は開幕。プログレに通じるスケール感ある演奏が繰り広げられる中、白いマントをひるがえしながらデーモンは歌うが、その声の伸びと力強さはとてつもない。続くアメリカン・ロックのノリもある「OVERTURE〜WINNER!」でも本領を発揮し続ける。

そして構成員紹介ではそれぞれが感謝の気持ちを伝えながら、ジェイルは今後にも触れた。「君たちには想像力というものがある。これで二度と聖飢魔IIに会えない未来を選んで泣くのか、それともまたきっと会ってやると想像を膨らませて生きていくのか。健やかに生きれるほうを選んでください。聖飢魔IIをダシに使って元気にやってけよ!」「JACK THE RIPPER」や「BRAND NEW SONG」で盛り上がり続け、今度はデーモンから衝撃の発表が。

「今回、聖飢魔IIの161曲あるオリジナル・ソングを真っ二つに分けて、2つのツアーをやってきたわけではあるけど、それがね、163曲になりそうなんだ…」

なんと新曲2曲の入った小教典を4月に発布するという。当然、披露してくれと信者達は大絶叫で願うが、オトナの事情でできないという。練習しなきゃミサでできない、というのも理由の1つらしい。この変な空気、どうしたらいい。殺せというワケでもないだろうが、ミサは“殺せ”と“死刑”のコール&レスポンス大会が繰り広げられた。

美しく力強いバラード「BAD AGAIN〜美しき反逆〜」からミサは終盤へと向かっていく。「FIRE AFTER FIRE」では映像の炎に加え、本物の炎もステージから吹き上がり、バンドの放つ高い熱量と一体化して、信者達の気持ちをさらに熱くさせる。勢い溢れる荒っぽいバンド・サウンドと同化する1万人近い信者達。まさに大黒ミサらしい絶景が広がっていた。

「問いたいのだが、諸君達はまだまだ闘っていくつもりがあるのか? 我々にもまだまだ闘い続けてもらいたいわけか?」

今度は大拍手に包まれるミサ会場。しかしデーモンは続けて言う。「どうやったら我々に闘わせることができるか。そのヒントは諸君達自身が握っているわけだ。そしてそのヒントは諸君達の目の前にぶら下がっている。早くそのヒントを掴まないと、どこかへ行ってしまうかもしれない。早く行け…」

これはラスト・ナンバー「EL.DORADO」につながるMCでもあったわけだが、最期のミサながら、未来への夢も抱かせる言葉だ。ドラマティックな曲を全身で感じ浴び、グチャグチャな表情で悪魔達に思いをぶつける信者達。1人ずつの表情も確かめるように客席を見渡しながらミサを繰り広げる悪魔達。相思相愛の素晴らしさ。

「さあ、聖飢魔IIの遊び場はこれでおしまいだ。遊び場=闘いの場でもある。その遊びを通じて、闘いに転化されたとき、諸君達の未来はつながるだろう。それがない限り、次はないのかもしれない。どこかでまた会おう、フハッハッハッハ…!」
この言葉と共に、一名ずつ鋼鉄の扉が開いた先の魔界へと再び戻っていく聖飢魔IIだった。最後の最後、今回のミサのサブ・タイトル“地獄の再審請求「上告」”の結果を示すように、スクリーンには“死刑”と判決の文字が現れた。しかし闘いは永遠に終わらない。悪魔教の心得は信者達の心に永遠に生き続けるのである。

 

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