陣内孝則原案/監督の映画『幸福のアリバイ~Picture~』主題歌
さかいゆう「再燃SHOW」インタビュー
さかいゆう「再燃SHOW」インタビュー
2016/11/15
──この曲はどういう流れで制作されたのでしょうか?
さかい:まず最初に歌詞の大体のテーマを決めて、それでメロディーから曲を作ってきました。この映画はすごく人間臭い話なんですが、曲の雰囲気はそうしたくなかったんですよ。ある程度機械的な曲の上に人間臭い歌詞を乗せたいなと思って。
──確かに、歌詞は熱い感じがしますが、トラックはあくまでクールな雰囲気ですよね。
さかい:そうなんです。そういう発想から広げて、盛り上がりの起伏は激しくないミドルテンポの曲なんだけど、ビートはノックしてるという僕の曲の中では珍しいタイプの曲が浮かびました。
──結構時間はかけられましたか?
さかい:いえ、イメージが浮かんでからメロディーとサウンドは3時間ぐらいで完成しましたね。歌詞はすごく丁寧に時間をかけて作りましたけど。
──さかいさんはコード進行から曲を作ったりすることはありますか?
さかい:メロディーとコード進行、どちらかから作ることもありますが、基本的には同時に考えていきます。
──作曲はピアノで行なわれるのでしょうか?
さかい:ピアノと鼻歌って感じです。ベースのリフから作ることもあるし、今回はメロディーとコード同時進行で作っていきました。ただこの曲、コード進行はワンループなんですよね(笑)。
──そこにもダンスミュージック的な意識はなく?
さかい:はい。僕、どこにも属していない音楽が好きなんですよ。需要は少なくなるんですが、強烈に “それ” を欲している人が世の中にいると思うし。
──その人たちに刺さるように作っていると?
さかい:そういうわけでもなく、単純に僕が好きだから(笑)。ただのダンスミュージックじゃなくて、いろんな要素も入れたいし、ダラダラ自分の主張を言っている曲になってしまうのも嫌で。メッセージ性とグルーヴが溶け合って、その人の人生が投影される作品が僕は好きだし、作りたいんです。
──さかいさん自身のためにも作っているんですね。
さかい:基本的に自分のために作っていますね(笑)。ただ、そうして自分に向けて作ったものは、完成したら自分のものではなくなると思ってます。完成した作品は聴く年齢、タイミング、シチュエーションによってすごく変わるから、そこからはもう自分のコントロールできるものではなくて、聴いてくれる人に委ねるしかないですね。
──楽器の編成はシンプルですが、これには何か意図があるのでしょうか?
さかい: “こうしよう!” っていう意図はないんですよ。アレンジの時に僕はとにかく “一番気持ち良いところで気持ち良い音が鳴る” ように作っていきますから。そうして音を重ねていって、最後に余計なものを引く作業をしていく感じです。
──今回、オケのサウンドで特にこだわったのはどこですか?
さかい: 全体的にギターサウンドになっているので、ピアノ主体のものとは違うパワー感と広がりを出すようにしました。だから洋楽にはない感じの気持ちの良いハイ感と、かつ洋楽と同じくらいのロー感を出すことで日本でしか、さかいゆうでしかできないサウンドを作ったつもりです。あまり気づいてもらえない要素かもしれないけど、好きな人にはたまらないと思いますよ。
──単純にレンジが広いということではなく、そんな風に洋邦の要素を併せ持ったサウンドというのはとても面白いですね。
さかい:それはいつも心がけてます。僕はアメリカにも少し住んでいた時期があるので、例えば料理を作るとして “アメリカのダイナミックな感じと日本の繊細な感じを両立させたい!” と思っちゃうんですよ。料理としてはどちらかに振れているほうが分かりやすいとは思うんですが、それはもう僕は食べたから(笑)。だからどちらでもない、誰でもないものを作りたいと思っていて、その上で自分の好きなメロディを作って、自分が救われる言葉を綴っている感じですね。
──歌詞はさかいさんの目線で描かれているのでしょうか? それとも映画の登場人物の視点ですか?
さかい:これは映画を見た僕の目線ですね。登場人物とかはそういった目線ではないです。僕は演技ができないんですよ。
──というと?
さかい:普段の生活からでも自分が何かになりきったりということができずに、全て “自分” になっちゃうんです。でも、その視点の違いってあまり意味はないと思うんですよ。歌詞を考えているのは自分ですが、この曲に関しては『幸福のアリバイ~Picture~』のことを歌っていて、「ジャスミン」っていう曲だったらジャスミンのことを歌っている。そういう意味で視点はあまり重要ではないし、どちらでもない、俯瞰と主観の危ういバランスで僕の曲はできてると思います。
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