椎名未緒、LiN、莎奈の3人を直撃!
ユナイト「A Little Picture」インタビュー
ユナイト「A Little Picture」インタビュー
2017/02/03
莎奈(ドラム)
──続いて、莎奈さんによる「瞼に残光、」の曲作りついてお聞きします。莎奈さんは “先に考えていたアイディアをもとに曲を考えていく” ということでしたが、この曲も?
莎奈:そうですね。ド頭の “ダカダカダカダカ” というフレーズをギターで弾いていて。今までこの曲のように短くて速い曲って俺の作品にはなかったんですが、そのアイディアを使いたくて。そこから膨らましていって、サビまで作ったんです。その辺りで「この曲は短い方が良いかな」と思って。なので、あとは結構スッと出来ました。
──歌詞カードが横書きではなく、縦書きですね。
莎奈:日頃から、曲にしても歌詞にしても「こうしたい」というよりは、自然な方を選ぶようにしているんです。だからこの曲は縦書きの方が自然かなと。
──そして、宮沢賢治「よだかの星」の一節が掲載されていたりと文学的な要素を感じました。歌詞はどのようなことをイメージして書かれたのでしょうか?
莎奈:歌詞を考えていた時に、ふと「よだかの星」を思い出したんです。Aメロの “地下鉄、行き場のない〜” という部分は「よだかの星」を思い出しているくだりで。つまり、直接的に「よだかの星」のことを書いているのではなく、俺が作品を読んで思ったことを書いているんです。
── “ずっとのぼっていく” など、太陽に向かって飛んでいく「よだか」を連想して、個人的には現代版「よだかの星」というイメージを受けました。
莎奈:俺は “音楽じゃないものを音楽にする” というのは、スゴいクリエイティブなことだなと思うんです。ただ、自分が聴き手だったり読み手で何かメディアが変わった時に、作者の解釈みたいなものが必ず一つ入っていないと面白くないというか。例えば漫画が小説化されたり、小説が映画化されたりする中で、俺の中で再現率よりも作家がこの物語をどう思ったかというのが表現されている方が大事なんです。なので自分も「俺はこう思いました」みたいな歌詞の方が良いのかなと。
── “揺蕩う” など普段あまり目にしない単語が多く出てきますね。
莎奈:歌詞に出てくる単語は原作に出てくるものを中心に選びました。他にも “しずかに” と平仮名で表記していたり。
──なるほど。では、二人が曲を聴いた印象は?
未緒:デモを聴いた段階で、この曲は「A Little Picture」とは逆に、ギターが前に出るべきだと思っていて。それと、その時点では「できれば同期を入れない方が良いのかな」とも感じていました。結局、莎奈さんから「同期は無しにしようと思っています」と聞かされたので、「じゃあ、ギターは相当カッコイイ音じゃないと!」と。だから、音作りにはかなりこだわりました。
莎奈:スゴいカッコイイんですよ!
LiN:未緒さんの音メチャメチャ良いんです。
未緒:テックさんとかなり打ち合わせを重ねたので、ギターは両方共カッコイイですよ。
──LiNさんは?
LiN:莎奈さん、この曲のメロって何で入れたの?
莎奈:あんまり倍音が入っていないシンセです。
LiN:何というかその「ポーン」という音が特徴で。それでサビのフレーズを聴いたら、俺の中では “メッチャ速い『となりのトトロ』” というイメージなんです。バス停でサツキちゃんがトトロに傘を差し出すシーンがあるじゃないですか。その前を車がスゴい速さで走る、といった感じ。後に歌に変わってからは、全体的にメッチャ印象が変わりました。
──LiNさんらしい解釈の仕方ですね。続いてレコーディングで心掛けたことは?
莎奈:最初から一発で録ろうかなと思っていました。ただ、 “なるべく一発” なので、本当に一発録りというわけではないです。
──テイク数は少なく?
莎奈:3回くらいだったかな。いつもそれぐらいです。
LiN:莎奈さんの曲って、基本的に難しいんですよ。
莎奈:そうですか?
LiN:0:23あたりの二つ目のコードがメチャメチャ抑えづらくて。正直、物理的に不可能なんじゃないかと思うぐらい。そういう過激なことを要求されましたが、今は弾けるようになってきていますよ。この曲、オブリというか耳に残るようなフレーズは未緒さんが弾いていて、俺はこの曲もバッキングメインなんです。俺の中で俺の中で6本ある弦のうち、5本を押さえるというのは俺の中で至難の技で。俺が作る曲だと、省略して三つ鳴らすとかなんですけど。テンションコードでも3度を抜くとか。だから、フルコードをこんなにいっぱい弾いたことなかったです。腕がつりそうになりながらも「これは修行なんだ」と言い聞かせて頑張りました。
──未緒さんは?
未緒:この曲では、金属音っぽいブラッシングを入れていて、それを綺麗に録れるようこだわって何度も録り直しました。普段はそこまで神経質にならないんですけど、この曲は同期が無いからメッチャ聴こえると思うし、「あ、こいつのギター良い音だな」って思ってもらえるように心掛けました。あと、間奏の頭打ちの三拍子は、デモの段階では普通のバッキングだったんですけど、ただコード弾いているだけだとあまり面白くないかなと。目立つリードが無い分ギターでリズムを崩す感じの方が良いと思って、LiNさんのギター、ベース、ドラムとは少し違うリズムを刻んでいます。ただ、そういうことをすると作曲者から「元のやつで弾いてください」って言われてしまうので、長年の勘を頼りに「ここまでだったら言われないだろう」とか「ここはテンションコードでこだわってるから、変えて欲しくないだろうな」と色々考えながら弾きました。莎奈さんはピアノができるから和音の鳴りに厳しいんですよ(笑)。
莎奈:俺的には崩して欲しいんです。でも、弾いたデータが来るのがいつも未緒さんが先で、それだけ聴いていてもイメージが湧かなくて、「LiNさんが普通に弾いたら合うのかな」とか。ただ、未緒さんへの可否を回答する期限よりも、LiNさんからデータが送られてくる方が遅いんです。だから難しい(笑)。
LiN:ちょっと何言ってるのか分からないです(笑)。
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