5年ぶりとなるオリジナルソロアルバム
デーモン閣下『EXISTENCE』インタビュー
デーモン閣下『EXISTENCE』インタビュー
2017/03/27
デーモン閣下が5年振りとなるソロアルバム『EXISTENCE』を魔暦19(2017)年3月15日にリリースした。閣下と言えば、テレビ、ラジオ、大相撲中継など、幾昔も前からコメンテイターとしても人気を博しているが、本来は音楽業界屈指の実力派ヴォーカリストであることは言うまでもない。そして、今作の『EXISTENCE』は、そんな閣下の美しい歌声とシャウトを堪能できる渾身のメロディック・ハードロックアルバムとなっている。ここでは閣下に、作詞、仮歌、レコーディングなど、アルバム制作の裏話を聞いてみた。ファンはもちろん、ヴォーカリストを目指す人も必見のインタヴューだ。
──魔暦17(2015)年から18(2016)年にかけては、“期間限定再集結”となった聖飢魔IIの活動を非常に積極的に行なっていましたよね。
デーモン閣下:吾輩はべつに積極的にではなかったぞ、やむを得ず、というか。ワハハハハハ(笑)
──(笑)。聖飢魔Ⅱの期間限定での活動が終った後も多忙を極める中で、閣下がソロ・アルバムを制作していたとは、驚きました。
デーモン閣下:忙しくて大変だったぞ(笑)。途中で、「もうちょっと時間があれば」とも思ったが、でも時間がなけりゃないなりに、集中するんだな。最終的には、それほど「もっと時間があれば」とは思わなかったな。
──本作でも前作「MYTHOLOGY」に続き、閣下の盟友であるスウェーデン人のサウンドプロデューサー、アンダース・リドホルムとタッグを組まれたということですが、作業はどのように進めていったのでしょうか?
デーモン閣下:吾輩が5曲、アンダースが5曲を書いているんだけれども(残り2曲は、能楽師・一噌幸弘氏の作曲)、おおむね曲が先。アンダースの曲に関しては、彼のストックの中から、今回のアルバム用に吾輩が曲を選んだ。そのストックのデモには、仮の英語詞が乗っていたんだが、吾輩がまったく新しく日本語詞を書いていくという流れだな。
──詞はどのように書いていったのですか?
デーモン閣下:もう30年も詞を書いているとだな、年々、社会に物申すことも特段なくなってきて、大体のことは言い尽くしてるんだな(笑)。だから、はっきり言ってしまうと、作詞に煮詰まっていたんだ昨今。そうした時に、日本の制作プロデューサーが、「閣下は、自由に詞を書けと言われるとすごく悩むけど、タイアップで“このアニメのテーマソングを”“この映画のエンディング曲を”となると、スラスラ書くじゃないですか」と言うんだ。つまり、設定がはっきりしているものは大得意なんだな。じゃあ、すべての曲で設定を考えればいいじゃないかということになり、「ゴールはみえた」も、「Shibuya Scrambled Crossing」も、「てふのやうにまひ」も、詞に関しては、「この曲はどんな物語にしようか?」「どんな風景が見える曲にしようか?」と、架空のドラマや映画のテーマソングを作るというスタイルで書いていったんだ。
──そうした作詞手法は、今回が初めて?
デーモン閣下:初めてだったし、ある意味で、新境地だったな。別の言い方をすれば、聖飢魔IIは“説教メタル”と呼ばるくらい、いわゆる説教臭い社会へのメッセージを歌ってきたのだが(笑)、それは言ってみれば、文章としては“エッセイ”や“論文”なわけだ。でも本作は、そういう意味では“ファンタジー”。嘘のストーリーだからね(笑)。そうやって、“エッセイ詞”ではなく、“ファンタジー詞”を書いたという点で、初めてではないけれども、自分的には新しい取り組み方だったね。
──実際に、詞はスラスラと書けましたか?
デーモン閣下:うん、案外ね。順番で言うとだな、まず詞の内容をどうこうと考える前に、曲のキーを決めるために、最初に仮歌を歌うんだ。その時に、メロディに対してパッと浮かんだ単語というのは、後々になって最終的な歌詞に残ることがよくあって。やっぱり、第一印象というのは大事だな。
──仮歌も、“ラララ”ではなく、ちゃんと“仮詞”を乗せて歌うのですか?
デーモン閣下:もちろんだ。それにも、いろんな変遷があって。それこそ、聖飢魔IIの時代に遡るんだが、最初に仮歌という作業をやり始めた頃は、本当に適当な“英語ハナモゲラ”で歌っていたんだな。でも、いざその曲に日本語の“本ちゃん”の歌詞を乗せてみると、「全然イメージが違う」ということが多々あって。英語っぽく歌うと、曲が過度にカッコよく聴こえてしまうから、これはイカンと、聖飢魔IIの割と初期段階で、仮歌も日本語で歌うようになったんだ。ただ、そう簡単に言葉が浮かぶわけではないから、適当に、その辺にある雑誌の記事とかを読みながら歌うようになって。
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