“未来=Future” は「バンドであり続けること」
橘高文彦(筋肉少女帯)『Future!』インタビュー
橘高文彦(筋肉少女帯)『Future!』インタビュー
2017/11/06
筋肉少女帯がニューアルバム『Future!』を10月25日にリリースした。今作は『最後の聖戦」(1997年発売)以来、20年ぶりとなるカバー/セルフカバー曲を一切含まないオリジナル・フルアルバム。昨年リリースしたカラオケDAMとのコラボ曲「人から箱男」など全11曲収録している。ここではギタリストである橘高文彦を迎えて、アルバムの楽曲制作秘話や長年使っているという愛用機材、また、11月11日からスタートするリリースツアーへの意気込みや橘高文彦が思う “ロック” について聞いてみた。ファン必見のインタビューだ!
取材:橋本周大(編集部)
──今作はいつ頃から制作を開始されたのですか?
橘高:まず「人から箱男」は先行シングルとして昨年リリースしていますが、今回のアルバムの制作を開始したという意味では今年の4月に「わけあり物件」を作り始めた頃かな。スタジオに入り始めたのもその頃で、それ以外の作業は7月スタート。以降、7月中旬からプリプロ、下旬にはリズム録りを開始していました。
──その進行スピードというのは、これまでのアルバム制作でも同じですか?
橘高:そうです。筋少って昔はもちろん、再結成以降もいつもレコーディングは夏なんですよ。というのも我々の衣装は暑苦しいので、夏は活動しないんです。つまり “逆TUBE” なんです(笑)。皆さんが外で半袖を着て夏を謳歌している時にスタジオにこもって冬の曲を作っているわけで。だから、昔から秋にリリース、秋から冬にかけてツアーというスケジュールでした。やっぱりバンドって季節に向き不向きがあるんです。ただ近年はおかげさまで、夏フェスにも出させてもらってたりしているので大変ですよ(笑)。
──アルバムのコンセプトというのは?
橘高:今回のタイトル『Future!』ですが、いつもコンセプトを決めるのは作詞家でもある大槻君です。彼が「今回はこんな感じのタイトルでいこう」というのをもとに進めていくわけですが、そこからは各自で解釈するんです。
──そういえば筋少のアルバムで英語のタイトルが付いたのは珍しいですよね。
橘高:そうです。2作前の『THE SHOW MUST GO ON』(2014年)、それ以前だと『SISER STRAWBERRY』(1988年)ぐらいかな。まぁバンド名が漢字だから。ただ、過去の作品名と並べたら目立つよね(笑)。
──橘高さんは『Future!』というタイトルにどのような解釈をされたのですか?
橘高:今って録音方法はもちろん色々なことが多様化しているじゃないですか。宅録的にいうと、打ち込みの作品で、ギターなんかもライン録りで制作されたマスターなんてたくさんあるわけで。それはそれで昔にはなかった新しいものだし、バキッとしてるし。例えばバンドでドラム、ベース、ギター、ボーカル、キーボードが揃っていなくても、打ち込めば音が鳴るし。だから1人だったりユニットでもバンドができるし。もしかしたら今のテクノロジーを利用すれば、俺が1994年に結成したバンド「Euphoria(ユーフォリア)」なんかも「全員揃わなくてもユニットっぽくできるかな」って考えもあったり。
──筋肉少女帯は違うと。
橘高:筋肉少女帯は、スゴくベーシックな “バンド” という形でスタートしているので、バンドであるから集まる意味があるんです。皆それぞれでソロ活動もしているので、「筋肉少女帯」の名の下に集まって演奏するということは、メンバーそれぞれがバンドを構成する一員であるという自負がとても重要だと思っています。
──なるほど。
橘高:筋肉少女帯は「マーシャルアンプにマイクを立ててフルボリュームで鳴らす。ピアノをちゃんと鳴らせるスタジオで音を録る。ドラムは何十本もマイクを立てて数センチずらしてアンビエンスがどれだけ変わるか」というのを一番大事にしてCDを制作してきたし。今後もそうでありたいと思っていて。その一方で、色々な状況でそれをしなくなったバンドがたくさんいるのも事実だけど、僕達は筋肉少女帯としてアルバムを作るんだから、それぞれのプレイヤーがちゃんと小さいころから練習してきた楽器、たくさん紡いできた歌詞というのをこれからも一番大事にしたい。それがない “未来” というのは筋肉少女帯には見えないんだよね。我々にとっての “未来=Future” は、「バンドであり続けること」なので、それがなくなったら筋肉少女帯で集まる必要もないんじゃないかなと。だって、それぞれソロでやっていける力を持っている人達なんだから。そういった意味を見出し続けることこそが『Future!』に繋がるんだと個人的には感じてます。
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