「ようこそ宇宙一のクリスマスパーティーへ」

“最新の布袋が最高の布袋”。布袋寅泰、2017年12月25日の横浜アリーナ公演をレポート

“最新の布袋が最高の布袋”。布袋寅泰、2017年12月25日の横浜アリーナ公演をレポート

2018/02/27


布袋寅泰が2017年12月25日、横浜アリーナにて全国ツアーのスペシャルVer『HOTEI Paradox Tour 2017 The FINAL 〜Rock’n Roll Circus〜』を行なった。最新作『Paradox』を軸としながらも、BOØWY時代のナンバーを織り交ぜた全26曲の特別編成となるセットリスト。きらびやかにパーティーモードな熱狂、クリスマスにふさわしきスペシャルな夜となった。

Text By:ふくりゅう(音楽コンシェルジュ)
Photo By:山本倫子

布袋寅泰

サブタイトルに掲げられた“Rock’n Roll Circus”は、なんとBOØWY時代の1986年〜1987年のツアータイトル。ただならぬ期待感を煽るキーワードにドキドキが止まらない。鉄壁のバンドメンバーは、ザ・ルースターズの井上富雄(Ba)、デヴィッド・ボウイ・バンドのザッカリー・アルフォード(Ds)、ソウル・フラワー・ユニオンの奧野真哉(Key)、ギターには黒田晃年(Gt)、岸利至(プログラミング)という、表現力豊かな最強のミュージシャンが集結した。

現在、ロンドンに拠点を移している布袋寅泰。イギリスはEU離脱やテロ、移民など様々な社会問題に揺れている。そんな混迷の時代を独自の視点からロックンロールしたのが17作目のオリジナル・アルバム『Paradox』だ。ライブでは、NEW HOTEIモデルのギターを手に、オープニング曲「Amplifire」から一撃必殺のハンマービートをアタック。「Pandemoniac Frustration」で描かれていく“銃を規制できないU.S.A.の議員 失業者で溢れるEurope 不穏な空気が澱むAsia”という描写のリアリティー。立て続けに、近未来感漂うBOØWY時代のダンサブルな「DANCING IN THE PLEASURE LAND」、「BAD FEELING」へと時代を紡いでいく。スリリングなナンバーの連続で会場の温度は早くも沸点へ。

「ようこそ! 『Paradox Tour The FINAL』へ。そして、ようこそ宇宙一のクリスマスパーティーへ。とうとうファイナルの横浜アリーナまでやってきました。今日はクリスマス、思い出深い横浜。特別なプレゼントを届けたくてステージに立っています。一番の俺たちからのプレゼントは、いいサウンドを届けることだと思っています。最後まで楽しんでいってください!」。

ここで新作アルバムから「Paradox」、「Blue Sky」に続いて、注目すべきナンバーが選ばれた。アーティスティックに澄んだ空気感が会場を変えていく「Aquarium」だ。コブクロの小渕健太郎作詞によるポップアートな輝きを放つミディアムチューン。オトナの布袋を堪能できる、珠玉のメロディーに心を鷲掴みされていく。

突如爪弾かれた名曲「わがままジュリエット」のイントロダクション。布袋は「OK、スペシャルゲストを紹介します。小渕健太郎!」と呼び入れた。印象的なフレーズ“何一つ残ってないけど〜”の箇所では、オリジナルへのリスペクトを感じるファルセットで歌い、 布袋はコーラスで「DON'T YOU CRY〜」と合わせた。記憶の扉が開くまばゆい光を感じられた瞬間だった。

興奮冷めやらぬまま、BOØWY解散後初披露となるロックナンバー「LIAR GIRL」をプレイ。前日のクリスマスイブにBOØWYが渋谷公会堂で解散宣言をした際のライブ映像『1224 -THE ORIGINAL』がリリースされたこともあり、1曲目に収録されていた30年目の奇跡といえる選曲に会場中が狂喜乱舞した。さらに、BOØWY時代初期のレアチューン「OH! MY JULLY Part 1」で盛り上がる縦ノリのフロア。

「特別なプレゼントをしたいと考えたんです。みんなが大好きな、俺も大好きな、小渕くんも大好きなBOØWYの曲。俺がどうしてもギター弾きながらじゃ歌えない曲をね。この曲たちやるの30年ぶりですか?」。小渕も「みなさんと同じ布袋愛を、小さい頃からG柄を胸に刻んで。ここに立たしてくれる、夢を見させてくれる布袋さん。ずっとそんな存在なんです」と真摯に答えた。

続いて「みんなにクリスマスプレゼントを。この曲は、ライブでやったことないかな」と、ジョン・レノンの「Happy Xmas(War Is Over)」をギターで披露。両サイドのスクリーンには、美しくも雪がしんしんと舞っていた。そして、シアトリカルなインスト「SPACE COWBOY」、ビートロック・アンセム「CAPTAIN ROCK」を奏でる最強のメンバーたち。22年前にもツアーのテーマソングとして、ここ横浜アリーナでも披露されたナンバーだ。音楽はタイムマシーン。楽曲がキーとなり、心の扉が時空を超えて開けられていく。続けざまに、パーティーな夜にふさわしくアッパーチューン「POISON」、「スリル」が感情をさらにアップリフトし、21世紀の今こそ輝きを増すロックンロール「DIRTY STAR」が炸裂し、後半戦へと突入する。

新作アルバム『Paradox』からツアー本編ではやっていなかったギミッカブルなポップナンバー「Parade」や、布袋が熱い思い入れを持つというナンバー「Strawberry Fieldsの太陽」など、新しい表情のHOTEIチューンに思わずハッとさせられる新作モード。そして、ラスト・スパートは「MERRY-GO-ROUND」をハイテンションに着火。後半の高速ギター・カッティング・パートにオーディエンスがハンズアップして熱狂する。本編ラストは、優しきメロディーでリスナーの想いを包み込んでくれる「Dreamers Are Lonely」。メッセージ性の強い布袋代表曲「LONELY★WILD」第二章というべき、新時代の“俺たちのテーマソング”を奏でていく。

アンコールでは、「バンビーナ」、「RUSSIAN ROULETTE」、「IDENTITY」という強靭なるビートチューンをオーディエンスへプレゼント。BOØWYはもちろん、ローリング・ストーンズにもシンクロする“Rock’n Roll Circus”という世界観への思い入れ。ジャパンツアーを共にしてきたメンバーへの感謝の気持ちを言葉にあらわし、ラストは語りかけるように愛を感じるメッセージナンバー「ヒトコト」で締めくくられた。レジェンダリーなロックヒストリーを更新し続ける、布袋最新モード。まさに“最新の布袋が最高の布袋”であることを証明したスペシャルな夜だった。

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