24種類のリアルなドラムを収録!
【KORG「KR-55 Pro」を徹底レビュー】気軽に弾き語りセッションが楽しめる多機能型リズムマシン
【KORG「KR-55 Pro」を徹底レビュー】気軽に弾き語りセッションが楽しめる多機能型リズムマシン
2018/05/29
KR-55 Proは、自宅やスタジオ、ステージやストリートなど、場所を問わずにリアルなドラムとのセッションプレイが手軽に楽しめるリズムマシンです。今回は、このKR-55 Proの特徴と、KR-55 Proで広がる音楽の楽しみ方を紹介しましょう。
演奏:野村大輔 文:平沢栄司
写真撮影:小貝和夫
撮影協力:松戸スタジオダグアウト2
打ち込みではない生演奏を再生するリズムマシン!
KR-55 Proの特徴の1つが、生録音されたリアルなドラム&パーカッションによるリズムパターンが24種類内蔵されている点です。パネルに並ぶボタンで演奏したいリズム名を選ぶだけで、すぐにリズムを鳴らすことができます。
そして、これらのパターンは、従来のリズムマシンのように打ち込まれたものではなく、実際にドラマーやパーカッショニストが演奏したプレイを収録したものを設定したテンポで再生している点にも注目です。
打ち込みとは違う生き生きとしたリズムは、本物のプレイヤーとセッションしているようなグルーヴを感じさせるでしょう。
中央の8×3段のボタンに全24種のリズムパターンが割り当てられている。ボタンには各リズムの名称が表示され、演奏中のリズムはLEDが点灯するので、リズムの選択と確認を直感的に行なうことができる。なお、再生中に違うリズムを選択すると、次の小節から演奏が切り替わる
また、1つのパターンに対して、2つのリズムのバリエーションが用意され、更には、それぞれのパターンごとにフィルインが2種、エンディングが1種用意されいます。
例えば、演奏に合わせて途中でリズムを変えたり、気持ちの盛り上がりに合わせてフィルインを入れたり、最後にエンディングを入れて曲を気持ちよく終わらせることが可能です。
再生停止ボタンの横に並ぶ「F1」と「F2」のボタンでフィルインを、「VAL」ボタンで同一リズムのバリエーション・パターンを、そして、「TAP/END」ボタンでエンディングのパターンを呼び出す。各ボタンを押すと、その次の小節から指定したパターンに切り替わる
これらは、パネルのボタンやオプションのフットスイッチでリアルタイムで切り替えができるため、即興的な演奏にも即座に対応できます。
また、チェイン機能を利用すれば、小節単位でリズムパターンやフィルイン、エンディングなどの切り替えをメモリーし、あらかじめ1曲分の演奏パターンを組んで演奏させることもできます。
ギターの演奏のように両手がふさがっていても、オプションのフットペダルを接続すればリズムの切り替えやフィルインの挿入、エンディング挿入の操作を足元でコントロールすることができる
Chain機能を利用すると、あらかじめ指定しておいた順にリズムパターンやフィルインなどのパターンを演奏させることができる。なお、チェインは、最大で30バンク(30曲分)をメモリー可能だ
ギターデュオに最適、ステージやストリートでの演奏に便利な入力端子を用意
このように、KR-55 Proならば、ギター弾き語りの生演奏にリアルなリズムを手軽に加えて音楽の幅を広げることができます。
そして、自宅などプライベートな場面でリズムを演奏するツールとしてだけでなく、ステージなどで演奏するときにもKR-55 Proは威力を発揮します。本体には、ボーカル用のマイク入力が1系統、ギター/ベース用の入力が2系統、
さらに、オーディオプレイヤーなどが接続できるステレオAUX入力があり、それぞれの入力とリズムの音量バランスを調整するツマミも用意。別途ミキサーなどを用意しなくても、自分の歌とギター、そして、一緒にプレイするもう1人のギターやベースを接続してアンプなどのPAシステムに送れます。
パネル上部には、マイク入力、ギター/ベース入力の端子が並び、その下のツマミで各入力やリズムの音量バランスを調整するようになっている
また、KR-55 Proは持ち運びにも便利な小型軽量なボディを採用し、単3電池6本で7時間の駆動が可能です。同じく電池駆動可能なアンプを用意すれば、ストリートなど野外での演奏にも積極的に活用できるでしょう。
付属のACアダプターよりも、乾電池の方が使い勝手がいい。アルカリ乾電池かニッケル水素電池6本で約7時間の使用が可能だ
作成した伴奏をバックにプレイしたり、演奏を録音することも可能!
基本はギター弾き語り+リズムというスタイルながらも、曲によっては他のパートを加えた伴奏をバックに演奏したいということもあるでしょう。そんな要求にもKR-55 Proは答えてくれます。
あらかじめ、パソコン(DAW)などで作成した伴奏を収録したオーディオファイルを用意し、SDカードに保存してKR-55 Proのスロットに装着すれば、SDカードからオーディオファイルを再生しながらギターやボーカルをミックスすることができます。
また、再生する際に±25%の範囲でピッチを変えずに再生速度(テンポ)を変更することも可能です。
リアパネルのスロットにSDカードを挿入することで、保存されているオーディオファイルを再生したり、歌やギターとリズムをミックスしたものを録音することができる
そして、SDカードを利用すれば、KR-55 Proのリズムに合わせて演奏した歌やギターをレコーディングすることも可能となります。
例えば、曲作りではKR-55 Proのリズムに合わせて即興で演奏しているとき、アイディが浮かんだならレコーダーやDAWなどの準備に手を煩わすことなく忘れないうちに録ることができるのです。
さらに、録音したサウンドやSDカード上のオーディオファイルを再生しながら更に新しい演奏を重ね録りするオーバーダビングも可能。先にリズムとギターの伴奏を録った後、マイクを接続して仮メロを歌って録音するといった使い方もできます。
定評のあるチューナー機能も内蔵
KORGのチューナーは定評がありますが、KR-55 Proにもその血統を受け継ぐオートチューナーが内蔵されています。
ディスプレイには、チューニングしている弦の音名が表示され、リズムパターンを選択するボタンのLEDが点灯してメーターとして機能するためチューニングも容易で、暗いステージでも高い視認性を誇ります。
TUNERボタンをONにすると、オートチューナー機能が利用できる。リズムを選択する8つのボタンのLEDがメーターとして機能し、ピッチが低いときは左に、高いときは右に振れて、中央の2つが点灯した時が正しいピッチとなる
サウンドを豊かにするエフェクトを内蔵
KR-55 Proには、サウンドを豊かにするエフェクトも内蔵されています。まず、マイク、ギター/ベース用のインプット側には、リバーブを用意。ボーカルやギターに心地よい残響を加えることができます。
一方、アウトプット側には、BASS/TREBLEの2バンドEQと、より広がりのあるサウンドが得られる「ACOUSTAGE」を用意。再生環境や好みに応じて音質を調整したり、独自のバーチャルサラウンド技術による立体音響体験を演出できます。
リバーブ、EQのつまみでサウンドを調整できる。リバーブはインプット側の信号に、EQはアウトプット側の信号に対して効果がある。また、「ACOUSTAGE」ボタンをONにすると、通常のステレオサウンドよりもさらにスピーカーの外側に広がるような効果が得られる
歌やギターにリズムを加えることで音楽の世界観を広げるだけでなく、曲作りやステージなどでのライブ演奏に便利な機能を内蔵したKR-55 Proは、ギター弾き語りスタイルの生演奏から一歩前に進んでみたいギタリストにお勧めしたいリズムマシンです。
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