宅録や配信といった今時のシーンにぴったりなマイクが新登場
Seide「PC-Me MK2」「EC-Me MK2」徹底レビュー(今注目すべき2種類のマイクのシーン別活用法を大紹介。リーズナブルなのに高性能な驚きのマイク)
Seide「PC-Me MK2」「EC-Me MK2」徹底レビュー(今注目すべき2種類のマイクのシーン別活用法を大紹介。リーズナブルなのに高性能な驚きのマイク)
2022/08/25
Seide(ザイド)から本格的なサウンドの小型ピュア・コンデンサーマイク「PC-Me MK2」と、ストリーミング配信やホームレコーディングに適した「EC-Me MK2」がリリースされました。ここでは、エンジニアの篠崎恭一さんにご協力頂き、これら2タイプのマイクの音質や使い勝手を徹底レビューしていきたいと思います。音質はもちろん、リーズナブルで見た目にも「イケてるマイク」を探している方は必見です!
文:編集部 写真:小貝和夫 撮影協力:栞奈
◉本格的なレコーディングが行なえる「PC-Me MK2」

製品オフィシャル概要
「PC-Me MK2」は、可愛らしいデザインと本格的なサウンドが売りの実力派コンデンサーマイクです。トランスレス回路を使用し、クセの無い高域と力強い中低域を表現でき、特にボーカル、ギター、ドラム、ピアノ、アコースティック、管楽器などの録音に適しています。
エンジニア篠崎恭一さんによるインプレッションとシーン別の活用法

▲篠崎恭一氏
──「PC-Me MK2」の印象を教えてください。
レンジ感が広く、ロー(低域)もしっかりと出ているし、1万円ちょっとの値段でこのサウンドが録れるのは驚きですね。一言でまとめちゃえば、本当に「コストパフォーマンスに優れているマイク」という印象です。
──具体的にはどのようなレコーディングで活用したいと思いますか?
僕が使うとしたら、男女問わずボーカル全般、あとアコギなどのアコースティック楽器ですかね。マイクの中にはローがかなり強めに出るマイクもあって、そういうものは男性の低い声とかアコギの箱鳴りを録る場合にはいいんですけど、意外とミックスの際に面倒なケースも多いんですね。「PC-Me MK2」はそういった偏りもなく、しっかりと全帯域をカバーした音で録れるので、入門者が後からミックスでEQ処理するとしても非常に扱いやすいと思います。
──「PC-Me MK2」を使う際のマイキングのコツを教えて頂けますか。
「PC-Me MK2」は「単一指向性」なので、まずはSeideと書かれた面をしっかりと音源に向けることが大事になります。それと「PC-Me MK2」には最初からポップガードが付属されていますが、ボーカルのみをオンマイクでレコーディングする時は「ポップノイズ(マイクに当たる強い息による破裂音)」を防ぐためにこちらも活用したいところですね。いずれにしても、マイクとの距離感によって低域や高域のニュアンスが変わってきますので、そこを意識するのが重要になると思います。


また、アコギの録音に関して言えば、「ローが欲しいならサウンドホール寄り、高音が欲しいならネック寄りにマイクを立てる」のがセオリーなのですが、この辺りも実際にヘッドホンとかで音を聴きながら「自分が欲しい低域や高域の感じ」を調整していくといいと思います。


ちなみに、「PC-Me MK2」を弾き語りのレコーディングに使う場合は、「ピアノと歌」や「ギターと歌」といった音源と音源の距離を一定にするところからマイキングを始めるといいと思います。こういった時はポップガードはなくても大丈夫なので、ちょっとオフ気味に、例えば、ギターを持って歌うのであれば、胸のあたりを狙ったマイキングにするとか。ピアノの弾き語りの場合も同じですね。とにかく「PC-Me MK2」はコンパクトで重さもあまりないので、マイキングを色々と試せるのもメリットだと思います。マイクが重いと、ブームを伸ばしたセッティングをしたらマイクスタンドごと倒れちゃうこともありますから。
──「PC-Me MK2」はどんな人に向いているマイクだと思いますか?
やっぱり、リーズナブルだけど、ちゃんとした音で録音できるマイクを探している人ですね。値段のわりに高級感のあるデザインで見た目もいいですし、ポップガードなども一式入っているし。これから音楽制作をやりたいという入門者にもおすすめしたいです。
◉ストリーミング配信やホームレコーディングに適した「EC-Me MK2」

製品のオフィシャル概要
「EC-Me MK2」は小型振動カートリッジを搭載し、低ノイズ、広ダイナミックレンジを実現したエレクトレットコンデンサーマイクです。単一指向性で、ボーカル録音やナレーションなどの声の録音に適しています。カラーはバーミリオンレッドとエメラルドブルーの2色からお選びいただけます。
──続いて、「EC-Me MK2」の印象はどうでしたか?
音的には中域から高域にかけてフォーカスされたマイクだなと思いました。
──どういったシーンに向いているマイクだと感じましたか?
基本的にジャキっとした現代的なサウンドなので、言葉の粒立ちやニュアンスを重視した女性ボーカルやナレーション、アコギなどのレコーディングですかね。ボーカルに関して言えば、ローを体で響かせるようなタイプよりかは優しい感じの囁くような歌声向きかなと。あと、それこそYouTubeやポッドキャストの配信などに使うと、手軽に声の音質がアップできると思いました。
──マイキングのコツがあれば教えてください。
「EC-Me MK2」はコンデンサーマイクなので、そもそも感度がいいんですが、基本的にオフ気味にセッティングしないで「声や音源の近くにマイクをセットしてあげる」といいと思います。どちらかと言えば、マイクから外れると本来の性能を発揮できないので、マイクに向かって歌ったり、話したりすることを意識する感じですかね。


──「EC-Me MK2」はどんな人にオススメしたいですか。
普段パソコンやスマホの内蔵マイクでしか音を録ったことがない人ですかね。この「EC-Me MK2」を使えば、簡単に自身の声をアップグレードできると思います。また「EC-Me MK2」のバーミリオンレッドとエメラルドブルーのカラーも映えますよね。これは映像コンテンツを作る上ではかなりのポイントになると思います。見た目がいいので、それだけで好印象になりますから。あと、「EC-Me MK2」には付属品としてマイクのミニスタンドが付いているのがいいですね。これを使えば配信の際のセッティングも楽だと多います。デスク状に置いても邪魔にならないですし、このミニスタンドはかなり重宝されると思います。

「PC-Me MK2」
【仕様】
エレメント:Φ34mmダイアフラム
指向性:単一指向性
周波数特性:20Hz~20kHz
MAX. SPL:130dB(at 1kHz 1% T.H.D)
感度:-34dB±2dB(0dB=1V/Pa@1kHz)
電源:DC48V ファンタム
出力レベル:13mV
端子:3pin XLR
寸法:48 x 154 mm
付属:ショックマウント/XLRケーブル/ポップフィルター
本体価格:オープンプライス
(市場想定価格:¥11,000- 税込)
メーカー製品情報ページ:https://e-spec.co.jp/sounds/pc-me-mk2/
「EC-Me MK2」
【仕様】
カラー:バーミリオンレッド / エメラルドブルー
エレメント:Φ16mmエレクトレットピックアップ
指向性:カーディオイド
周波数特性:40Hz-18kHz
MAX. SPL:146dB(at 1kHz≤1% T.H.D)
感度:-35dB±2dB(0dB=1V/Pa@1kHz)
電源:DC48V ファンタム
出力レベル:13mV
端子:3pin XLR
寸法:48 x 154 mm
付属:スイベルアダプター・ミニスタンド/XLRケーブル/ポップフィルター
本体価格:オープンプライス
(市場想定価格:¥6,600- 税込)
メーカー製品情報ページ:https://e-spec.co.jp/sounds/ec-me-mk2/

篠﨑恭一
エンジニアや楽曲制作、ラジオ番組の製作など、音に関する仕事は「来るもの拒まず」の方針。豊富なDAWの知識を活かし、ReoNa、IDOL M@STER、DIALOGUE+やテレビ番組等でマニピュレーターも担当している。雑誌記事の執筆や、専門学校での講師業など、様々な業務を手がける。

栞奈 遥
都内を中心に活動するシンガー。自身での制作の他、楽曲提供を受けての制作も行い、そのバリエーション豊かな楽曲と幅広い表現力に定評がある。2019年末に行われたサウンドハウス×TuneCoreJapan主催「音魂ぐらんぷり2019」ではグランプリを受賞。現在はラジオパーソナリティとしても活動中。
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