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ユナイト『NEW CLASSIC』インタビュー
ユナイト『NEW CLASSIC』インタビュー
2018/07/18
──次に4曲目「ubique」は未緒さんによる楽曲ですが、いつ頃に作られてたのでしょうか?
未緒:この曲は前々からあったストックではなく、アルバムの曲作り期間に作りました。前情報で、「元気で楽しい曲を作ろう選手権」みたいなのがあって、なおかつ “ライブで使える激しくない曲” というお題があって。“ヴィジュアル系のノリが良い=ヴォォォーイ!” みたいなイメージですけど、俺が作れる激しくなくて、ノリの良い曲ってチャキチャキした感じなので。そういうことをテーマに作った曲のうちの1つです。
──未緒さんはいつも曲から作られていますよね。
未緒:そうですね。この曲はイントロのドラムリズムから思い付いて、ギターをジャカジャカ弾いてAメロ、Bメロ、サビみたいな順番で作りました。
──歌詞はどのようなことをイメージして書かれたのでしょうか?
未緒:主に自分のことなんですけど、今のバンドのことを含めて書いています。“へんざい” って、「遍在」は広く存在している、「偏在」は偏って一部に集まっている、というように漢字が違うだけでまったく違う意味になるじゃないですか。大衆に受けようとすることでオリジナリティが失われる、逆に偏っているけれどそれがオリジナリティみたいな。ラーメン屋でも、チェーン店とこだわりのある地方店。それってどっちが良いかって分からないじゃないですか。それを自分に置き換えたというか、俺がどちらにいるべきなんだろうと。バンドも同じで、ヴィジュアル系というシーンで、もっと広くいうと音楽シーンでやっていく中で、どちらが良いのかと。どっちを選んでも最終的にはたどり着かなきゃいけないのは、独自性つまりオリジナリティ。“一人でも強く生きてください” って自分やバンドに向けてるんですよね。もちろん、聴き手にも向けていて「今これが流行ってるから聴こう」ではなく「自分が好きだから聴く」で良いじゃないの?っていう自戒、提案でもあるし。調べると、広く知れ渡っている方がポジティブに書かれていることが多くて、「本当にそうかな?」って。
──個人的に、今までの未緒さんの作品とは異なった内容の歌詞だと感じました。
未緒:というのも、これまでの未緒曲って鬱憤だとか悪口だったり、メチャクチャが多かったんですよ。でも、何年か前に結さんが「そういう曲はもう歌いたくないんだよね」って話が出て。それで未緒曲であっても内容が悪口であれば、それはユナイトでは止めようかなと。俺は曲に合わせて歌詞を書きたいタイプなので、激しい曲にラブソングは不成立なんですよ。未緒曲は、自分の中でライブで盛り上がる作品と位置付けているので、結さんが歌えて、俺的にも納得いく曲にしようと。そこで思想的というか、提案や疑問を投げかけた内容になりました。文字面だけ見ると悪口のように読めますが、根本的にはそうではないという前提になっています。
──LiNさんがこの曲のデモを聴いた時、どんな印象を受けましたか?
LiN:MIXうめぇな〜って。
全員:笑
LiN:未緒さんのデモって「このまま作品として出せるんじゃねーか?」ぐらいクオリティ高いんですよ。それと、ライブライクというか轟音じゃなくて、心地よいクランチサウンドに寄せてるなって。で、サビを聴いたら未緒さんの曲だなと感じました。プレイ面では未緒さんが入れてくれたフレーズをそのまま弾いているんですが、俺最近、ハクさんと一緒に楽器屋行って、新しくジャズマスターを買ったんです。レコーディングでも、ほぼジャズマスターを使ってるんですけど、スゲー音が良くて曲にもマッチしてたんです。その上で、ビートが細かいので、ラフに弾いちゃいけないなと。なのでレコーディングの時間は結構かかりましたね。
結:僕は最初聴いた時「今までにないテイストが入ってるな」って感じて、特に最初のキメ部分が印象的でした。ライブの画が見えるような疾走感ある曲だったので良いなと。ボーカルに関しては、できるだけ声を聴いて歌詞の情景が浮かぶようなイメージで歌いました。全体的に気だるい、生意気な感じを多めに入れてみたかな。でも本当にユナイトで色々な曲を歌ってきたからこそ、こなせた曲だと思います。
莎奈:俺は「BPM(テンポ)速くて、忙しい曲になりそうだな」と。で、忙しくてそんなに曲を覚えられずにレコーディング当日を迎えたんですが、収録曲の中でも後ろの方に録ったんです。フレーズも固まってなかったので、当日叩きながらさらに複雑に仕上げていくという作業をしてたんです。未緒さんの好みのドラムって、メッチャかっちりしてるけど機械っぽくないというか。キックが綺麗に揃っているけど、全体的にグルーヴはちゃんとある。
──難しいですね。
莎奈:そうなんですよ(笑)。ドラマーっぽいけどドラマーっぽくないみたいな、不自然な感じにしたくて。そのドラマーとしての違和感みたいなものを考えながら未緒曲に合うフレーズを考えました。普段から作曲者に合わせるというよりは、曲自体に合うものを考えてます。これはだんだん分かるようになってきました。
ハク:俺は「ヤベぇ、このテンポでスラップのフレーズきた! ムズそう!」って、一番最初に感じたかな。それとサビのメロが未緒さんっぽいなと。
──未緒さんからの要望はありましたか?
ハク:全然ありませんでした(笑)
未緒:10年以上一緒にやってるので、安心して任せてます。
ハク:この曲ではLowA#でスラップしてるんですけど、これを上と下でどちらでやるかで迷って。上だと普通だし「ちょっと物足りないな」、一方でLowAでやると、スラップしてる感じが出ないというか。支えにはなるけど、アタック感が物足りない感じになるから。ちゃんと鳴ってるっていうのがわかるように、サムピングするのがメッチャムズかったです。
──5曲目の「五月已」ですが、今までにない布陣(作詞:結さん、莎奈さん/作曲:ハクさん)で制作されていますよね。
ハク:そうですよね、「何で!?」っていう。
莎奈:面白いですよね(笑)
結:これは俺が戦いきれなかったんです。
ハク:これは俺が先に曲を作りました。当時レトロなものを見たりするのにハマっていて、中でも山形県にある銀山温泉の写真見るのが好きで「ここ行きたいな」って思ってて。写真を見ながら「ここで流れてそうな曲って、どんな感じかな」って、自分の中でそういうテイストを感じられる曲が三拍子の三連のリズムだったんです。そこからリズムを作ってベースを入れて、みたいな感じで。
──アンティーク感がある曲ですよね。
ハク:一応、大正ロマンがテーマになっています。ここ数年、曲作りに参加することが増えたんですけど、みんな良い曲を作ってくるので、正直、採用されたいとかではなく、基本的には自分の好きなように作ってますね。ちょっと無責任なんですけど(笑)。まぁアルバムの中で箸休めになれば。
──歌詞はハクさんから何かオーダーはされたんですか?
ハク:俺は歌う人に書いて欲しいので、結さんに書いてもらって。で、題材を作ってもらった後、さらに莎奈さんにイメージを寄せてもらって。
莎奈:結さんが書いた歌詞をより「大正」っぽく修正して。言葉遣いとか気をつけながら加筆しましたね。結さんが当初書いたものは可愛らしいというか。そこから割と変化しているんですけど、出てくるモチーフは結さんが書いた歌詞にあったものをそのまま採用しています。雨やシャボン玉、香水とか。そういった部分は結さんがハクさんの曲を聴いて感じたことなので、大事にしました。なおかつ僕が感じたハクさんの曲のイメージを入れ込んでいます。創作的作業というよりは、知的作業みたいな。色々調べながら仕上げました。
結:僕は詞を見て共感してもらったり、聴き手を励ますような歌詞を書くことが多いんですけど、大正ロマンっていうのが僕の引き出しの中になかったみたいで。だから僕がリスナーへ届けやすいような、曲を聴いて浮かんだイメージで歌詞を書きました。ただ、当初は大正ロマンっぽさはなくて。なので、うちの文学博士に助けてもらいました(笑)。
──続いて、8曲目の「Romantic☆Trampoline」ですが、これはLiNさんが作詞作曲ですね。
LiN:この曲はアルバムの曲出しの時に作ったものです。クソみたいな曲を・・・
莎奈:本当に「意味のない曲作りたい」って言ってたんですよ。
LiN:本気の良い曲が集まるのは分かっていたので、全然本気じゃない曲を作っちゃおうかなと。ハクさん「五月已」を箸休めとするならば、俺にとって「Romantic☆Trampoline」がそれに該当するんです。だからもう飛ばしてもらって・・・
結:でも一番最初に「この曲アルバムに入れよう」って言いました(笑)
LiN:デモを出す時にメロが思い付かなかったので、有吉さんのラジオを真似て、ラップを入れてたんですよ。
──『サンドリ』(『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』)ですか!?
LiN:そうです!
──僕も番組を聴いているので、「聴き覚えのあるフレーズだな」とは思っていましたが、まさか本当だとは。
LiN:“Don't forget!!” って部分も、有吉さんとアルコ&ピース酒井さんのやり取りから生まれたフレーズを真似てます。
──それと莎奈さんの関西弁フレーズもユニークですよね。
莎奈:「何でいつもこうなるんやろ」だけ録ってって言われて、それのマイクテストで色々言ってた言葉も採用されてました。完成してから「うわ、やられた」って(笑)
LiN:普通、文脈から大体予想できると思うんですけど、これは当てはまらないので(笑)。正直、俺も意味わかんないので。この歌詞は、思い浮かんだ単語や風景の言葉を、全部バーってテキストに打ち込んで。それをパズルみたいにはめ込んでいくんで、2時間ぐらいでした。とは言っても、間に休みを入れないと進められない人間なので、あくまでぎゅーっとした上での時間です。ちなみに “コーヒーぶって実はカフェオレ” とかは自分のことです。
──13曲目「ホワイトスイマ→」も新しいパターンで、作詞がLiNさん、作曲はLiNさんと結さんによる楽曲ですね。
LiN:セッションバンドのリハに入ってた時に、一人で暇な時間があったのでギターを弾いてたら、手グセでテーマ的なものができたので録音しといて。結さんと一緒に曲作りしてみたかったんで「ユナスタきて!」って結さんを呼んで、テーマ的なものを曲にして「はい! ここで歌って!」って歌ってもらったんです。そのメロディを起こして完成させました。
結:僕は割と音感はあるので、コードを聴いたらその場でメロディを浮かべることはできるんです。ただ、まさか一発で歌ったものが採用されるとは思いませんでした(笑)。言い換えれば、僕の一番直感的なメロディラインを採用した曲ですね。だからLiNくんの曲を聴くの好きな人がどんな反応をするのか気になります。
──歌詞はどうやって仕上げたんですか?
LiN:最近宇宙とかスピリチュアル的なものにハマってて。ネットで前世の記憶があって、アトランティス時代のことを語っている記事を見てたりしてて。正直あんま信じてないんですけど、そういうことにすがりたくて信じたい瞬間の自分もいて。それで宇宙人のことを調べてたら、地球上の生命体でクジラとイルカだけ次元を行き来できるって見たんです。曲的にゆったりしてるから、大きい物体をテーマにしたくて。クジラに敬意を払う曲にしたくて、僕たちが生活していた地球だと思ったら、大きい生命体の上に僕らは存在していたという。絶対ありえないですけど、面白いじゃないですか。
──その解説がないと読み解きは難しいですね。
LiN:俺は先に聴いてイメージして欲しい派なので、ぜひ聴いて欲しいですね。
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