東京公演を恵比寿LIQUIDROOM

須田景凪、2019年4月7日 東名阪ツアー「須田景凪 TOUR 2019 "teeter"」の東京公演を開催!

須田景凪、2019年4月7日 東名阪ツアー「須田景凪 TOUR 2019

2019/04/08


須田景凪須田景凪

 

須田景凪
須田景凪
須田景凪カメラマン:藤井拓

須田景凪が2019年4月7日、東名阪ツアー「須田景凪 TOUR 2019 "teeter"」の東京公演を恵比寿LIQUIDROOMで開催した。

2013年からボカロP“バルーン”として活動し、2017年からシンガーソングライターとしてのキャリアをスタートさせた須田景凪。今年1月にリリースされた1st EP「teeter」のレコ発ツアーとして行われた同ツアーは、全公演のチケットがソールドアウト。超満員のオーディエンスの前で須田は、アーティストとしての大きな可能性を改めて証明する圧巻のステージを繰り広げた。
 
「teeter」の文字がスクリーンに映され、まずはバンドメンバーのモリシー(G/Awesome City Club)、雲丹亀卓人(Ba/Sawagi)、矢尾拓也(Dr/ex.パスピエ)がステージに登場し、心地よいグルーヴを感じさせるイントロを演奏。

そして須田景凪が姿を見せると、大きな歓声が巻き起こった。オープニングナンバーは、1st EP「teeter」の収録曲「farce」。シャープなギターサウンドと軽快なリズム、切なさと鋭さが共存するメロディが響き、フロアの空気が一変する。続いて「街灯劇」「idid」「鳥曇り」など、1stアルバム「Quote」の楽曲を次々と披露。高度な音楽性と切実なメッセージ性が共存する独自の世界観で会場全体を染め上げた。優れた演奏センスと強烈なダイナミズムによって、楽曲の魅力を引き出すバンドサウンドも素晴らしい。
 
「(会場を見まわし)すごい人ですね。ありがとうございます。今日を楽しみにしていました。いい夜にしましょう、一緒に。よろしくおねがいします」という挨拶の後も、奥深い音楽世界を実感できるシーンが続く。映像と音楽を融合させた演出も須田景凪のライブの魅力。「Cambell」では“雨”、「シックハウス」では“額縁の中で揺れる花束”、そして「レソロジカ」では“額縁の中で花束を持って歩く人”の映像を映し出し、楽曲の世界観を増幅させていた。
 
「2年くらい前、LIQUIDROOMに好きなアーティストのライブを観に来て、“とんでもないものを観た”という衝撃を受けて。それ以来、この場所が怖かったんですけど、今日はすごく楽しいです」「ここから激しい曲が続くので、テンション上げていきましょう」というMCから、ライブは後半へ。軸になっていたのは、やはり「teeter」の楽曲だ。繊細なピアノから始まるスリリングなアッパーチューン「Dolly」、疾走感のあるサウンド、起伏に富んだ旋律、“君を連れ去ってしまいたいと思ったんだ”という衝動的なリリックがぶつかり合う「mock」では映像作家アボガド6が制作したミュージックビデオを使用。ここでも映像と楽曲が絡み合い、観客の興奮を引き出していた。須田が観客に手拍子を求め、一体感が増していくステージングも印象的。そして特筆すべきは、須田のボーカルだ。日本語の響きを活かし、緻密に構築されたメロディを生々しく描き出す歌からは、シンガーとしての高いポテンシャルがはっきりと伝わってきた。

「知ってる人は一緒に歌ってください」という言葉に導かれたバルーン名義の代表曲「シャルル」のセルフカバー、鋭利にしてキャッチーなギターリフ、ドラマティックなメロディが響き渡り、イントロで大きな歓声が沸いた「パレイドリア」と高揚感溢れるナンバーを次々と披露し、フロアの熱気は頂点へ達した。ここで須田はオーディエンスに向かってゆっくりと語りかけた。

「ここにいるみなさんが“今日、須田というヤツのライブに行ってきたんだが”と誰かに話したときに、ピンと来ない人がいるというのが申し訳なくて。たくさんの人たちの共通言語になれるように、良い曲を書いて、良いライブをして。あとは……徳を積みたいと思います。これからもよろしくお願いします」と話すと、会場から大きな拍手と歓声が送られた。本編ラストは「浮花」。叙情的なメロディがゆったりと広がり、大きな感動へと結びついた。
 
強烈なアンコールの声に導かれ、須田とメンバーが再びステージに登場、まずはバルーン名義の人気曲「メーベル」を演奏。しなやかなファンクネスと10年代以降のギターロックがひとつになったサウンド、どこか挑発的なボーカルに誘われるようにオーディエンスが熱狂の度合いを高めていく。

「もう終わっちゃいますね…。本当にありがとうございました」という感謝の言葉に導かれたのは、須田のアルぺジオから始まった「密」。エモーショナルなボーカルが会場を包み込み、ライブはエンディングを迎えた。
アーティストとしての圧倒的な才能を改めて見せつけ、観客の期待にしっかりと応えてみせた須田景凪。「須田景凪 TOUR 2019 "teeter"」の追加公演として7月14日に東京・中野サンプラザホール公演が決定するなど、活動の規模も確実に拡大している。2019年の春以降、その存在にさらに多くの注目が集まることになりそうだ。
 
文/森朋之
 
【セットリスト】
1.farce
2.街灯劇
3.idid
4.鳥曇り
5.Cambell
6.シックハウス
7.レソロジカ
8.morph
9.Dolly
10.mock
11.レド
12.シャルル
13.ポリアンナ
14.パレイドリア
15.浮花
 
en.1 メーベル
en.2 密
 

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