8月27日の夜

石渡マキコの誕生日を祝うthe peggiesとラブリーサマーちゃんの対バンライブ開催!

石渡マキコの誕生日を祝うthe peggiesとラブリーサマーちゃんの対バンライブ開催!

2019/08/29


the peggiesとラブリーサマーちゃん

カメラマン:Taichi Nishimaki

the peggiesとラブリーサマーちゃん
the peggiesとラブリーサマーちゃん
the peggiesとラブリーサマーちゃん
the peggiesとラブリーサマーちゃん

新星ガールズバンドとして登場以来、メキメキと力をつけてきたthe peggies。ベースの石渡マキコが24歳の誕生日を迎えた8月27日の夜、彼女たちとゆかりのあるライブハウス、下北沢シェルター主催によるライブイベント『“THE REAL THINGS”〜Born in the ME.GA.MAKIKO〜』が開催された。対バンを務めるのはthe peggiesの3人と中学・高校で同級生だったラブリーサマーちゃん。夏の終わりに甘酸っぱい花火を打ち上げるようなイベントとなった。
 
◎無鉄砲さと愛くるしさのアンバランス
 
まずは、自由奔放なキャラクターと音楽スタイル、キュートさと情念が織りなすポップネスで、どうにも目耳を引きつける“ラブサマちゃん”ことラブリーサマーちゃんが登場。この日はギター2本、ベース、ドラムのサポートメンバーを連れた5人編成での演奏となった。
 
ステージに現れるやいなや、湿り気ある90年代風のオルタナティブなバンドサウンドが響き、「心ない人」(新曲)でステージは幕を開ける。王道のフレーズを最新型に昇華させたラウドなギターリフにニヤリとする「PART-TIME ROBOT」「どうしたいの?」(新曲)では、けだるくもキュートな歌いっぷりが光る。フロアから起こる自発的なハンドクラップに、ラブサマちゃんは「こういうの、いいよね」。ラブサマちゃんを見ていると、無鉄砲さと愛くるしさのアンバランスさにハラハラしてくる。それがいいのだ。
 
「ここが夏フェスだ ここで跳べ!」とイソップ寓話の成句のオマージュで煽り、始まった「FLY FLY FLY」は清涼感いっぱいの4つ打ちダンスナンバー。青春の“青さ”がギュッと詰まったこの曲はまさに夏の開放感をフロアにもたらした。乙女心のせつなさがキュンとくる「ファミリア」、キラキラの眩しさが包む「海を見に行こう」と続く。「海を見に行こう」は、息苦しい時代を軽やかにステップする“今を生きる彼女”そして同世代の若者のフィーリングに根づいたバカンスミュージック、あるいはサーフミュージックなんだろう。そんなことを感じさせた。
 
高校時代に仲良しになった石渡マキコとの出会いのエピソードを語ったMCに続き、ミドルテンポのロッカバラード「アトレーユ」(新曲)とメランコリックなタイトル未定曲、湿り気のある色気と情念がにじむ「あなたは煙草 わたしはシャボン」に。織り交ぜるウィスパーボイスと、時々裏返る声がなんとも雰囲気たっぷり。フロアはしっとりと聴き入る。ステージはラストスパート。アッパーなグルーブで押す「青い瞬きの途中で」から、ラストナンバーの「僕らなら」へ。ハウリングするギターから始まったドラマチックな「僕らなら」を、ラブサマちゃんは身をよじるように歌い、炸裂するバンドサウンドに乗せて幕を閉じた。
 
◎時の旅を進む勇敢なガールズロック
 
フロアをぎゅうぎゅうに埋める観客が待ちきれぬなか、the peggiesがステージに上がる。オープニングナンバーは「サマラブ超特急」。the peggiesの独特の感性が弾けるサマーソングに大きな声援が飛ぶ。
 
「みんなで最高の時間を作っていきましょう!」とVo.北澤ゆうほ。北澤とBa.石渡がステージの最前に並び、フロアを煽る。ソリッドでスピーディなビートナンバー「そうだ、僕らは」で聴かせる北澤のキレのいい歌に観客がコール&レスポンスで答える。ひねくれポップ的なギターとベースのリフがクセになる「マイクロフォン」が続き、早々に場の空気を持っていった。
 
石渡の誕生日、同級生だったラブサマちゃんとの対バン、高校1年の時に右も左もわからずに立ったシェルターの舞台……。石渡はこの夜、昨年の誕生日にラブサマちゃんがプレゼントしてくれたネックレスをつけていた。少女時代からの時の流れをともに歩んだ仲間、友だちとの関係が感じられてしみじみするも、彼女たちの長き音楽の旅はまだまだ序章だ。
 
北澤はMCで「アットホームに、暖かく激しくいきましょう!」。ここから美しき“ポップの黄金比”を誇る「ボーイミーツガール」へ。ロマンチック、胸キュン、勇敢な冒険心がつまったエバーグリーンな傑作ナンバーだ。そして、Dr.大貫のバスドラの4つ打ちが体を揺らす「MOTTO」と一気に畳み掛ける。
 
石渡が「ラブサマちゃんは学校で有名な変人だった」というエピソードを披露してステージは中盤に。北澤が「人との繋がりの儚さ、大切さ」を描いたという「スタンドバイミー」。北澤のボーカルと石渡&大貫のコーラスがまぶしい仲間感を醸す「ネバーランド」、激しい情念がほとばしる「はちみつ」が披露される。
 
the peggiesの魅力は“当たり前とされていること”を簡単には当たり前とは頷かないアティチュード、情感と一体となったソリッドなバンドサウンド、3人の“同士感”、北澤のギリギリなところで歌うボーカルなど数多いが、この夜もそれがしっかりと発揮されていた。彼女たちっての思い出の場“シェルター”のフロアには福岡や三重など、全国からファンがかけつけていた。
 
ステージは最終盤。“こりない青春のみずみずしさ”が詰まった胸キュンナンバーの「君のせい」を観客がハンドクラップで盛り上げる。「ペギーズと愛の旅に出る旅に出る準備はできていますか!」という北澤の発破で始まった「LOVE TRIP」。そして、ラストナンバーの「明日」が、冒頭で観客との合唱で始まる。「また絶対に会おうぜ!」。一気呵成に曲が進んでいく。胸をかきむしるような性急さに心がムズムズしてくる。最後は北澤の声とフロアの声のみで再び大合唱。「自分をかけて戦っている若者はまぶしい」。そんな思いが浮かんだ。
 
アンコールは2018年にリリースされた「なつめきサマーEP」に収録されている「ちゅるりらサマフィッシュ 〜ラブリーサマーちゃんREMIX〜」をラブリーサマーちゃんをステージに迎え入れての競演。「学生当時を考えるとなかなかすごい場面」と北澤が言うなか、夏の終わりをかけぬけるようなナンバーでイベントは大団円を迎えた。
 
文=山本貴政
 
■セットリスト
SHELTER presents.“THE REAL THINGS”
〜Born in the ME.GA.MAKIKO〜
ラブリーサマーちゃん
01.心ない人
02.PART-TIME ROBOT
03.どうしたいの?
04.FLY FLY FLY
05.ファミリア
06.海を見に行こう
07.アトレーユ
08.タイトル未定
09.あなたは煙草 わたしはシャボン
10.青い瞬きの途中で
11.僕らなら
 
the peggies
01.サマラブ超特急
02.そうだ、僕らは
03.マイクロフォン
04.ボーイミーツガール
05.MOTTO
06.スタンドバイミー
07.ネバーランド
08.はちみつ
09.君のせい
10.LOVE TRIP
11.明日
 
EN
ちゅるりらサマフィッシュ 〜ラブリーサマーちゃんREMIX〜

 

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