今年で20回目
hide「hide Birthday Party 2019」開催!(12月8日に今年も川崎のCLUB CITTA’にhideとゆかりの深いアーティストが大集結)
hide「hide Birthday Party 2019」開催!(12月8日に今年も川崎のCLUB CITTA’にhideとゆかりの深いアーティストが大集結)
2019/12/09
ライブ写真:上野宏幸 堅田ひとみ (nonfix creative)
今年も、毎年恒例となっているhideのバースデーイベント「hide Birthday Party 2019」が、12月8日(日)に今年も川崎のCLUB CITTA’にて開催された。このイベントは、毎年hideの誕生日である12月13日に合わせて開催されており、hideにゆかりのあるアーティストや、hideから影響を受けた新進気鋭のアーティストまで、ジャンルや世代の垣根を超えた “おもちゃ箱をひっくり返したような”まさにhideらしいイベントとして開催され続けている。2000年より開始されたこのイベントも今年で20回目。今年は特にhideとゆかりの深いアーティストが大集結し、約1,500人のファンとともに、hideの誕生日を祝福した。
今年一番の冷え込みが予測されていたこの日も、hideのコスプレに身を包む人、赤い髪のhide人形を大切そうに抱きかかえる人、思い思いにhideの話に花を咲かせる人、多くのファンが開場時間前からCLUB CITTA'の前に集まり、年に一度のお祭りを今か今かと心待ちにしている。hideが旅立ってから長い年月が経とうとも、この光景は変わらない。
10組のアーティストの出演が発表されており、今年もお昼から丸一日かけて行われるこのイベントは、heidi.からスタート。hideの所属事務所の後輩である彼らが先陣を切り「hide Birthday Party2019!みんなで盛り上がっていこうぜ!」 と1曲目の「一瞥」から激しくフロアを煽る。おなじみの「月光ショータイム」ではサビに合わせて拳を回し、歌謡曲的メロディに哀愁を感じさせる「泡沫」と、heidi.らしいメロディラインとロックサウンドの融合を披露する。続く「がらんどう」では転じてエキサイティングなロックナンバーという新しい側面も見せてくれる。「早いもので最後の曲です」とhideの楽曲「MISERY」をカヴァー。序盤からガッツリとファンの心を掴んでいった。
二番手のSPEED OF LIGHTSは、かつてhideに見出されたshameのヴォーカルCUTTを中心に結成された、全員が宇宙服を着た宇宙系エレクトロロックバンド。「悔い残さないようにお祝いしようぜ!」と「Fusen Asteroids」では心地よいエレクトロサウンドに合わせた横揺れを誘い、自身のバンド名を冠した「Speed of Lights」では上昇感を伴ったポップな楽曲がフロアを盛り上げる。二番手の登場にして、彼らの生み出す独特な世界観がこのイベントの多様性を強く感じさせてくれる。同時に、CUTT自身は大のhide好きを公言しており、「hideさんに感謝を込めてスペシャルメドレーを披露したいと思います。ただ、普通にメドレーをしても面白くないので」と、「異星人が遠い未来、遠い銀河でhideさんの楽曲を発見するのだけど、その異星人がドジでhideさんの楽曲を再生する時にオケと歌がゴッチャになっちゃったというメドレーをお届けしたいと思います!」と少々トリッキーな説明からhideの楽曲をマッシュアップしたノンストップメドレーを披露。「ピンク スパイダー」のオケに載った「ROCKET DIVE」や、「50% & 50%」のオケに載った「Hi - Ho」など、なんともマニアックで“らしい”展開に会場は笑顔に包まれる。PCのトラブルに見舞われながらも、それでも最後の曲として締めくくったニューアルバムの表題曲「Supernova」では、宇宙的な雄大で浮遊感のある世界を披露してくれた。
三番手での登場は、こちらもhideに見出され世に放たれたバンドdefspiral。ヘヴィなドラムのビートと空気を切り裂くハードなロックサウンドの「AURORA」が会場を黒く染め上げる。「PULSE」にてTAKAが吠えれば、MASATOのギターが叫び、RYOのベースが唸れば、MASAKIのドラムが踊る。ハードなサウンドの中にシンセサイザーの音色が織り交ぜられた大人なナンバーがフロアを掻き立てる。続いて、数多くのhideイベントに出演している彼らがカヴァーしたのはhideの「限界破裂」と「DICE」。初披露であった限界破裂と共に、忠実に原曲をカヴァーしつつも、シャープにエッジの立ったパフォーマンスには息を呑む。defspiralが代名詞と言えるダンサンブルなロックナンバー「IRIS」では再びフロアを渦に巻き、「GALAXY」ではドラマチックに美しいメロディが響き渡り、ワンマンライヴのような密度のステージを締めくくった。
続いて登場したのは、史上最大規模のファイナルツアーを行っているモンスターバンドKISS、ではなくそのトリビュートバンドのMAKIN’ LOVE。しかし、トリビュートとは言え侮ることなかれ。MAKIN’ LOVEは、KISSの形のみではなくSpiritsまでを継承するとして1995年より活動を続けている本格派バンド。KISSといえばhideが少年時代に衝撃を受け、ロックンロールの世界にのめり込んでいくきっかけとなったバンドである。KISSの載っている雑誌を買い漁り、ファンクラブにも入会したhideが毎日のように自宅の郵便受けの前で会報を待っていた逸話は、ファンの中では今でも語り継がれるほど。幕が上がればそこには格好だけではなく、所作も佇まいもKISSの4人が。「Detroit Rock City」、「Deuce」など往年のヒットソングを披露し、ジーン・シモンズの火吹きや血を吐くパフォーマンスまで行う徹底ぶり。「hideちゃんが大好きだったKISS、みんなで楽しみましょう!」と「Shout It Out Loud」、「LOVE GUN」と荒々しいロックンロールナンバーを立て続けに披露し、ラストナンバーはKISSのライヴでもエンディングで演奏されることが多かった「Rock and Roll All Nite」。会場からシンガロングが生まれ、hideが愛したKISSを通して、全員が一つになった様子が印象的であった。
ステージ前方にせり出した特別ステージに現れたのは、hideの盟友DJ-INA。かつてはI.N.A.として、hideのバンド、ならびにhide with Spread Beaverのメンバーとしてまたhideの楽曲の共同プロデューサーとして、hideと共に歩んできたINAのステージでは、「CELEBRATION」、「ever free」、「MISERY」などhideの往年の楽曲をDJとしてプレイ。hideの生前の歌声とYAMAHAのボーカロイド技術を用い完成した「子 ギャル」ではアニソンDJ・リアルバーチャルYouTuberとして活躍する桃知みなみが飛び入り。幻のzilchヴァージョンの「DAMAGE」やhideが歌うX JAPANの楽曲「SCARS」が初お披露目されるなど、レアな楽曲も飛び出した。また、hideの誕生日の前日が誕生日であるINAの誕生日を祝うためにSPEED OF LIGHTSからCUTT、defspiralからTAKA、RYO、そしてhideの実弟でありマネジメント事務所の代表である松本裕士氏が少し早いサンタクロースの格好をして登場。hideだけではなく、INAの誕生日も盛大にお祝いするのも、このイベントの恒例となっている。
会場の熱がさらに増してきた後半戦トップバッターは、こちらもhideのバンド、hide with Spread Beaverのベースとして、hideをその重低音で下支えしてきたChirolyn率いるChirolyn & the Angelsが17年ぶりの再結成として登場。いきなり飛び出したのはChirolynによるhideの楽曲「子 ギャル」。この曲は、hideが旅立ってしまった後のツアーにて、Chirolynがヴォーカルを務めたことのある曲としても知られている。「HALENTI」、「I need your love」と、ドライブ感満載のビートに骨太なサウンドとハスキーなヴォーカルが合わさり、ソリッドなバンドサウンドとしてストレートに畳み掛ける。サポートベーシストとしてステージに立つことが多いが、自身の豪胆な音楽をギターの井上慎二郎と新ドラマーの柴田花連がChirolyn同様に暴れまわり体現する。ラストは「みんなロックンロールは好きかい?好きかい?ロックンロールは好きですか!?」とChirolynの代表曲「君は変わっちまった」が超絶ロックンロールバージョンにて勢いよく放たれ、フロアに残響を残していった。
続いての登場は、X JAPANとして、そしてhide、hide with Spread Beaverの助っ人怪人としても共にギターを響かせてきた、hideの相方であるPATAのバンドRa:IN。けたたましいほどの轟音が、圧倒的なパワーを持ってズシンと身体の底に響いてくる。「Happy」、「Summer of Love」と、様々に移ろいゆくインストゥルメンタル楽曲を荒々しく響かせる。ここまで出演してきたバンドの中でも、そのどれとも異なる個性のバンドの音に会場は静かに聴き入る。しかし、DIE(key.)がショルダーキーに持ち替えた「wish」をきっかけに、次第にその音に合わせて身体が揺れ動きはじめ、拳が挙がり始める。続く「within' You」では、ここまで繰り広げられてきた無言の圧力の世界から開放されるかのように、まるで世界に光が挿し込むかのように、ゆっくりと張り詰めた空気が解けていく。michiaki(Ba.)が「Last Song」と一言囁いた「382」では、Ryu(Dr.)の迫りくるようなツーバスに端を発し、再び荒々しく轟音を掻き立てるメンバー。しかしその様子は序盤のそれとは異なり、今度は会場がその音に身を委ね大きくうねりを打つ。その無言の調教劇は圧巻の一言であった。
本編のトリを飾ったのは、こちらもhideに見出されデビューを果たしたZEPPET STORE。94年にリリースしたアルバム「Swing, Slide, Sandpit」が偶然hideの目に留まり、hideは彼らをデビューさせるべくレーベルLEMONeDを設立。一度は解散をするも、2011年に起きた東日本大震災の震災チャリティーを目的として再結成した際には、hideの誕生日に合わせて8年ぶりのオリジナルアルバムを発表するなどhideには深い縁のあるバンドだ。「CROSS」、「NOTHING」では、木村世治(Vo. & Gt.)の暖かく甘美なヴォーカルが、トリプルギター編成の複雑なサウンドに絡み合い独特の浮遊感を生んでいく。「hide Birthday Party 2019 楽しんでいますか!?最後まで楽しんで行こうぜ」と「夜に這う」、「PARANOID」とパワフルに、そしてエモーショナルに自身の音楽性を余すことなく展開していく。ラストの「THE GAME」に至るまで、今年で結成30周年を迎えるバンドとしての完成されたグルーヴィなサウンドがステージを包んだ。
ここまで8組、hideにゆかりのあるアーティストがそれぞれ個性を発揮したステージを展開。決して一つのカテゴリーに収められるものではなく、これこそが、hideのイベントの最大の特徴ではないだろうか。
そして最後は、毎年恒例の出演者全員による大セッション。自身のステージに加え、司会から小コーナーの担当までマルチに活躍したCUTTがステージに現れ、このお祭りに出演した全アーティストを順番に呼び込むと、なんとhide with Spread BeaverのメンバーでもあるKiyoshi(Gt.)とJOE(Dr.)がサプライズで登場。最後の最後に飛び出したビッグサプライズにフロアの盛り上がりも最高潮に。「ROCKT DIVE」では会場内に銀テープが舞い、出演者がステージを所狭しと自由に、歌い、踊り、そして盛り上がる。続く「TELL ME」でもその勢いは加速していくばかり。hideが歌い、hideのバンドメンバーが演奏し、hideとゆかりのあるアーティストが寄り添い、hideを愛するファンたちが共に盛り上げ、そこには大輪の笑顔の花が咲く。あの頃と変わらない温かい空間がここにはあり、hideが紡いでくれた繋がりの不変さや、何よりその暖かさを毎年再確認させてくれる。この「hide Birthday Party」は今までも、これからもhideとみんなを結びつける場所であることだろう。
公演終了後には、2020年5月2日に「hide The 23rd Memorial @ CLUB CITTA’」が、本日と同じく川崎 CLUB CITTA'で開催されることも発表された。再びhideマネジメント事務所である株式会社ヘッドワックスオーガナイゼーション 代表取締役 松本裕士氏が壇上に現れ、「先程来年の告知もさせていただきましたが、ただ悲しいだけの日じゃなく、みんなで大きな声で歌えたらと思いっています。そのために色んな人が手を上挙げてくれています。」と予告。
来年はhideが旅立って22年を迎える。
まだまだhideの音楽、存在が多くの人々の中で生き続ける。
【本日のイベント】
タイトル:hide Birthday Party 2019
日程:2019.12.8 (日) OPEN 12:15 / START 13:00
会場:川崎 CLUB CITTA'
動員数:1,500名 THANK YOU SOLDOUT!
出演:(ABC順)
hide / Chirolyn & the Angels / defspiral / DJ-INA / DJ-桃知みなみ/ heidi./ MAKIN'LOVE ~KISSトリビュートバンド~ / Ra:IN / SPEED OF LIGHTS / ZEPPET STORE
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