全ギタリスト必携のソフト「Guitar Rig 6 Pro」本日発売!
SYU(ガルネリウス)が、Native Instruments「Guitar Rig 6 Pro」をいち早くレビュー!【試奏動画付き】
SYU(ガルネリウス)が、Native Instruments「Guitar Rig 6 Pro」をいち早くレビュー!【試奏動画付き】
2020/10/01
──まずは「Metal」のカテゴリーにある「1993 Hot Solo Rig」というプリセットを試した印象から聞かせてください。
▲「1993 Hot Solo Rig」
──そうですね。コンプはアンプの前段に入っています。
SYU:なるほど。ストラトキャスターとかシングルコイル・ピックアップのギターで弾くと、猛烈に気持ちいいと思います。今、自分のギターをコイルタップして弾いてみたんですが、芯の部分を太く再生してくれるんですね。オケへの乗りもいいと思いますよ。
──マイクは57が選ばれていて、スピーカーの中心を狙っています。このセッティングも変えることができます。
SYU:素晴らしいです。マイクの特性もしっかりモデリングされていますよ。
──同じく「Metal」の中の「Satched Van 51」についてはいかがですか?
SYU:ローをかなりタイトに締めている印象です。これぐらいタイトだとオケの中でギターがヌケやすいし、音を作りやすいでしょうね。BassとResonanceをもう気持ち上げても、オケとのなじみはいいと思います。このプリセット、ラット系のディストーションも入っているんですかね?
──そうですね。「CAT」という歪みエフェクターが入っています。
SYU:やっぱり。それも相まってのローの感じなんですね。エディ(エドワード・ヴァン・ヘイレン)的なアンプに対して、薄くディストーションをかけて、そこにアンプでオーバードライブを少し重ねて、フィルターも若干強めにかかってのこの音なんですね。エフェクターの再現度も高いし、エディの音になっていると思います。ヌケのいい音ですよ。アンプやエフェクターって、同じ実機が10個あっても、それぞれ個体差があるけど、モデリングは常に同じで、それが信頼性につながるし、使いやすかったりしますしね。
──Guitar Rig Proではアンプタイプも自由に変更できます。
SYU:「JUMP」というのが気になりますね。ちょっと試してみますね。(試奏後)おお! まるで真空管アンプをブーストさせたようなコンプレッション感がすごいですね。あまりラインの音とは感じないです。オールド系のアンプをシミュレートしたものって、なかなか難しいというか、ハイのチリッとした出方や真空管をブリッとさせた時のしばかれる感じのウォームさが出しにくいんですよね。でも、この「JUMP」を爆音で鳴らすとそれが感じられると思います。リアルに再現されていますよ。
──SYUさんはオレンジのアンプも使われているとお聞きしましたが、Guitar Rig Proに含まれる「Citrus」の印象はどうですか?
SYU:ヘッドの個性とスピーカー・キャビネットの個性が合わさってこそのオレンジの音だと思うんですね。オレンジってヘッドだけ使ってもあの音になりにくいんです。スピーカーの個性も強い。でも、この「Citrus」は、そのスピーカーの個性もきれいにシミュレートされていますね。パーンとヌケてくれるミッドが全体を支配しているんですが、そこがちゃんと出ていて、メタルの中でも使いやすい音だと思います。ツマミにMidがないんですが、なぜかというとつねにミッドがいるからなんだろうな。高域のヌケもいいですよ。
──では「GRATIFIER」についてはどうでしょうか?
▲アンプタイプに「GRATIFIER」を選択
SYU:メタルにおいてドンシャリの音ってわかりやすいんですね。ミッドを下げて、ベースとトレブルを上げるわけですけど、うまく作れないとミッドが全然いなくてトレブルやプレゼンスが強くなりすぎた線の細い、使えない音になってしまうんです。「GRATIFIER」の音も、一瞬そうなのかなと思ったんですが、弾けば弾くほどミッドの成分がちゃんといてくれますね。だから、メタルの硬いドラムの音にも負けない音が作れます。わかりやすく言うと、初期のイン・フレイムスのようなメロデス系のバッキングをLRで録りたいという場面に向いているかと思います。ああいう音ってドンシャリの中にヌケてくるミッドが存在していて、それがこの「GRATIFIER」ではしっかりと再現されていると感じますね。
──さて、今回のバージョン6では新たなアンプとして「CHICAGO」と「FIRE BREATHER」が追加されています。これらに関してはいかがでしたか?
▲新搭載されたアンプ「CHICAGO」
SYU:ブルースとかオールディなロックン・ロールを弾きたくなり音ですね。セミアコが合いそうです。ツマミがToneとVolumeだけなので、アンプでの音作りというよりは、ギターそのものの音を鳴らすという感じですかね。非常にわかりやすいし、モデリングの元となっているのは真空管アンプだと思うんですが、Volumeを上げていって真空管がクリップした時の気持ちよさを感じます。Toneも耳が痛くならないプレゼンスのあたりが上がったり下がったりして、いいところに効いてくれますね。
──「FIRE BREATHER」に関してはどうでしたか?
SYU:今、最高峰と呼ばれるギターアンプの1つとして、フリードマンがあるんですけど、そのニュアンスがかなりいい感じに再現されているのではないでしょうか。何しろ、アタックが速くて、すべてのレンジがきれいに出る、そしてメタルのオケの中でもすごいヌケてくれるという強みがフリードマンにはあるんですが、それを感じます。実際にバンドのオケの中で弾いてみたいですね。オーバードライブのノリもよさそうです。今、チャンネルのⅡになっていますが、これをⅢに変えるとより歪みが強くなりますね。アタックが速くて気持ちいいです。「FIRE BREATHER」自体はそんなに歪みが強くなくて、ゲインを上げてもクランチという印象なんですが、低域でザクザクと弾いた時のうまくまとまってくれている感じなど、使いやすいと思います。
──バージョン6では、GUIや使い勝手の部分でも改良が加えられています。この点はいかがですか?
▲お気に入りを色で指定できる
▲「Fuchsia」という色を設定したプリセットを呼び出したところ
SYU:もともとのネーミングやグラフィックもわかりやすいんですが、今回のバージョンから色分けもできるんですね。これだけたくさんのプリセットやアンプが入っているし、いくつかお気に入りの音を作ると、今度はすぐに取り出せなくなると思うんですね。でも、これだとすぐに出したい音が選べるので、とても便利だと思います。
——では、最後にあらためて「Guitar Rig Pro 6」をレビューした感想をお願いできますか。
SYU:僕自身、Guitar Rigは以前のバージョンも試させてもらったことがあって、その時も感じたんですが、今回のバージョン6も元となっているアンプやエフェクターの再現性が非常に高くて使いやすいなと思いました。そして、何よりもサウンド自体がどれもバンドの中でヌケてくるんじゃないかと期待できます。今日、試させてもらった「Citrus」とか、すごいヌケ感がありそうですし、「Satched Van h51」も扱いやすいと思います。また、新搭載された「FIRE BREATHER」もさっきお話ししたように、歪み自体はそんなに強くないサウンドなんですが、適度な真空管ならではのコンプレッション感が感じられるし、イコライザーの効きもよさそうでした。
——SYUさんは「GUITAR RIG 6 PRO」をどういった場面で使いたいですか?
SYU:そうですね。デモ制作はもちろんですけど、本番のレコーディングでも使えると思います。特に「FIRE BREATHER」は実際のマイキングでは難しい “貼り付き感” もうまく設定できそうだし、オーバードライブのノリもいいですからね。メタル系のサウンドだったら、歪みの「Cat」や「Skreamer」と組み合わせればバッチリだと思います。
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