これさえあればすぐに始めらる!
持ち運びに便利なBlackstarとVOXのトラベルギター・セットをギタリストの北島健二さんがレビュー!
持ち運びに便利なBlackstarとVOXのトラベルギター・セットをギタリストの北島健二さんがレビュー!
2021/03/30
コルグから「これからギターを始めたい!」「昔やっていたけど、またギターが弾きたくなった!」という人向けに、Blackstar「Carry-on Deluxe Pack」とVOX「VOX ELECTRIC GUITAR SET」という2種類のトラベルギターのセットが販売され、注目を集めている。ここでは、自身のバンドFENCE OF DEFENSEや水樹奈々を始めとする様々なアーティストへのツアーサポートなど、40年以上にわたり第一線で活躍している日本を代表するギタリスト、北島健二さんに協力してもらい、それぞれのセットの魅力に迫ってみたいと思う。
取材:編集部 写真:小貝和夫
──そもそも、トラベルギターと普通のギターの違いを北島さんはどのようにお考えですか?
北島:まずは重さの違いですよね。トラベルギターは旅先とかへの持ち運びを前提に考えられているので、とにかく軽いです。ただ、その分、スケール(弦長)が普通のギターに比べると短いということと、あと、1弦から6弦までの幅も普通のギターと比べると少し狭いんじゃないかな。なので、複雑なコードやギターソロを弾こうとするよりも、シンプルなコードやフレーズをジャカジャカと演奏するのに向いていると思います。
Blackstar「Carry-on Deluxe Pack」
(セット内容)
・Blackstar CARRY-ON GUITAR(トラベルギター)
・Blackstar FLY3 Bluetooth(アンプ)
・ギグバッグ
・ストラップ
・ロゴ入りピック(3枚)
・トラベルノート&ペン
・ギターケーブル
・トラスロッドアジャスター
──では、Blackstar「Carry-on Deluxe Pack」のセットについてお聞きしますが、こちらのセットに入っているトラベルギターはいかがでしたか?
北島:Blackstarらしいというか、コシがあってサウンドの表面にギラギラっていう感じがありますね。まさに、Blackstarのアンプとの相性がバッチリだと思います。キャラクターとしては、芯のあるガツンとしたサウンドというか。あと、VOXのトラベルギターと比べるとスケールはこちらの方が長いんですよね。つまり、Blackstarの方が通常のギターに近いと言うことです。芯があったり、粒だちがしっかりしているのは、このあたりに起因しているかもしれませんね。
──付属のミニ・アンプ「FLY3 BLUETOOTH」についての印象も聞かせてください。
北島:これ、いいですね! 僕はミニ・アンプ・オタクなんで、今までにも色々なモデルを買ってきたんですけど、これは一段階上を行っていると言うか、クリーンをしっかりと出せるギリギリの大きさで使い勝手もいいです。特に「ISF」と書かれたEQが独特で、一般的なベースやトレブルではない音作りができますね。ソファーに座りながら、テレビから聴こえてくる音楽番組に合わせてギターを弾いても楽しいんじゃないかな。
──ちなみに、北島さんはどのようなアンプセッティングで鳴らしたいですか。
北島:まず「ISF」は割とシャープな音になる方向の「0」にして、「DELAY」を軽くかけつつ、「GAIN」を上げてドライブ感を出しながら、その分「VOLUME」を下げるという感じでしょうね。で、クリーンで弾きたい時は反対に「GAIN」を下げ気味にして、「VOLUME」を上げて調整します。
──「FLY3 BLUETOOTH」のブルートゥース機能はいかがですか?
北島:いいですね。これを使えばスマホなどの音楽を聴きながらギターを弾く場合にもケーブルは要らないですからね。ただ、僕に関していえば、普段からiPhone専用のアダプターとミニケーブルはいつも持ち歩いているんですよ。なので、「FLY3 BLUETOOTH」にAUXの入力があることもありがたいです。「FLY3 BLUETOOTH」はすごくコンパクトですけど、本当に欲しい機能がちゃんと搭載されていますよね。
VOX「VOX ELECTRIC GUITAR SET」
(セット内容)
・VOX SDC-1 mini(ミニギター)
・VOX VGH-AC30(ギターアンプ・ヘッドホン)
・コルグ GA-2(ギター/ベース・チューナー)
・アーニーボールBlack Polypro(ギター・ストラップ)
・アーニーボールBeefy Slinky(エレクトリック・ギター弦)
・VOX マイクロファイバー・クロス
──では、続いて、VOXのセット「VOX ELECTRIC GUITAR SET」ついてですが、こちらに入っているトラベルギターの印象はいかがでしたか?
北島:先ほどのBlackstarもVOXのギターもどちらもハムバッカーのピックアップだと思いますが、パワーはこっちの方があるように感じました。クリーンはブライトで艶のある感じに出せるし、歪ませた時も強く歪んでくれますね。「スモーキーなサウンド」というか、いい意味でちょっと燻(くす)んでいるような感じもあって、Blackstarに比べるとサウンドキャラクターの幅はVOXの方があるように思います。
──セットに含まれる「VGH AC30」は、VOXのアンプの名機「VC-30」の音が出せるというものですが、そもそもこういった製品があるのはご存知でしたか?
北島:はい。実は僕はVOXの「Amplug」や「VH-Q1」のヘヴィ・ユーザーなんですよ。なので、「VGH AC30」は使わなくてもその魅力はわかります(笑)。日頃ツアーの楽屋でこういう製品を使っていると、みんな「それ何ですか?」って寄ってくるんですよね。そういう時に「ちょっと試してみる?」って渡すと、かなりの確率で後で購入しますね(笑)
──「VGH AC30」の音に関しては?
北島:まぁ、正直、半分くらいは何ちゃってAC30だと思います。でも、ビートルズとかが好きな人はこれでも十分楽しめると思いますし、外にアンプを持ち運ぶことを考えれば本当に便利ですよね。しかも、1つのツマミでコーラス、リバーブ、ディレイを切り替えながら使える内蔵エフェクトまで付いているし。ディレイに関しては、個人的にはもっとディレイタイムを長く設定できるとよりうれしいんだけど、逆にこのくらい短めのディレイタイムだと60年代の雰囲気には近いかもしれませんね。
──この「VGH AC30」は、北島さんとしてはどのようなセッティングで使用したいですか?
北島:「VGH AC30」も「FLY3 BLUETOOTH」と同じように歪ませて使いたいですね。「VGH AC30」にも「GAIN」と「VOLUME」が付いているので、基本は「GAIN」を上げ気味に、その分「VOLUME」を下げて使うと思います。そして、内蔵エフェクトも残響が多めに聴こえるように使うかな。
──VOXのセットはどのような人に向いていると思いますか?
北島:どちらも旅先にギターを持って出かけたい人に向いていると思いますけど、あえて言えば「ヘッドホン」は外に音が漏れないわけですから、それこそ公園でお花見をしながら一人でギターを弾くこともできますし。ビートルズっぽいサウンドで一人でギターを弾きたい人にオススメだと思いますね。逆にBlacstarのセットは、実際にアンプで音を鳴らすことができるので、みんなで楽しむことができると思います。近所迷惑にならないことは当たり前ですけど、ある程度の音量できっちりと鳴りますから、先ほども言ったようにリビングでテレビの音に合わせて弾くなんてこともできると思います。
──トラベルギターを購入した後、何か使いこなす上でポイントなどがあれば教えてください。
北島:今回のBlackstarとVOXのギターは、もともと太めのゲージ(1.0〜1.1程度)が張ってありますけど、自分でギターの弦を張り替える時に細い弦(0.9など)を選ぶと、チューニングが少し難しいかもしれません。というのも、トラベルギターは普通のギターよりもスケールが短いですし、ゲージ(弦の太さ)選び、弦高の設定などは意外と重要なんですよね。ポイントとしては、太めのゲージを選んで弦高をいじってチューニングをして、弾いた時のテンションが自分好みになるようにすることだと思います。
関連する記事
2023/04/03
2022/07/28
ニュース
2023/12/25
2023/12/20
2023/12/18
インタビュー
2023/03/23
2022/09/15
2022/05/26
2022/01/26
特集/レビュー
2023/04/03
レクチャー
2022/11/15
2022/11/01