9月26日「ビルボードライブ東京」をレポート
chelmico鈴木真海子、即完の初単独公演「鈴木真海子 Billboard Live Tour 2021」にシークレットゲストでiri参戦、大盛況で終了!
chelmico鈴木真海子、即完の初単独公演「鈴木真海子 Billboard Live Tour 2021」にシークレットゲストでiri参戦、大盛況で終了!
2021/09/27
カメラマン:横山マサト
8月18日に初のソロアルバム「ms」をリリースした、chelmicoのMamikoこと鈴木真海子によるライブツアー「鈴木真海子 Billboard Live Tour 2021」が、9月23日に「ビルボードライブ大阪」、9月26日に「ビルボードライブ東京」で開催された。本稿ではその東京公演を紹介する。
ソロライブとしても初となるこのツアーは、東京大阪ともに一日二回公演で構成されたが、その全てがソールドアウト。そこからは彼女への注目度の高さを伺わせとともに、アルバム「ms」の充実度も感じさせる。
このビルボードライブ公演はバンドセットでのライブとなり、ドラムにryo takahashi、ギターに近藤邦彦、ベースに井上真也、キーボードはESME MORIと沼澤成毅のツインキーボードで構成させるバンド隊がステージに登場。そのバンドが演奏する ジョージ・ベンソンの“Face It Boy It’s Over”が流れる中、黒のベストとパンツのセットアップに、白のシャツという、シックな装いの真海子が登場し。目の前の席、そして左右の席に挨拶する。
そしてライブは2017年リリースの初ソロ作「Deep green」収録の“Blue”からスタート。彼女のソロの原点ともいうべき楽曲を丁寧に、リスナーに染み入るように厳かに披露し、ソロライブの幕は開いた。そのままchelmicoのバックDJも務めるTOSHIKI HAYASHI(%C) 作品に客演した“金木犀”を披露するが、楽曲の後半はボサノバでリアレンジされ、生バンドならではの、そしてライブならではの展開で聴かせる。
久々のライブということもあり、またソロということもあってか、「大阪の一回目は緊張してもはや面白かった」とMCで話す彼女だが、東京公演では多少の緊張は感じるが、終始笑顔で楽しげにパフォーマンスする真海子。この日のライブも、現在の状況を反映してオーディエンスは歓声を出さず、拍手でアピールする方式。「なにかあったら拍手があるとテンションが上ります」と真海子がアナウンスすると、会場からは大きな拍手があがり、彼女への声援を拍手の形で伝えた。
「じゃあやるか!ラップします!」と「ms」収録の“mani”を披露、バンド隊の演奏に合わせてタイトなラップを聞かせ、そのグルーヴの強さにオーディエンスの身体も自然に揺れ始める。そして「1.2.3.4」という真海子のカウントに続いて始まった“Lily”は、東京公演の前日にセットリストに入れたということで、新鮮な聴き応えを感じさせた。
MCではこの日のオリジナルノンアルコールカクテル「MS」を飲み、「世界で一番美味しい」と宣伝(?)。そして彼女が19歳の時に制作した“19”は、MCでも自ら「あの時は19だったのに大人っぽくなった〜」と話すように、原曲よりもノリよくリアレンジされたバンドサウンドに乗る彼女のラップも、よりスキルアップしたことを感じさせ、彼女のアーティストとしての成長をパフォーマンスとして証明した。それはバンドセッションのカラーの強いバンドの演奏に、スキャット的にヴォーカルを刻む“空耳”や、爽やかな空気感のあるサウンドをスウィングするヴォーカルで彩り、彼女の手によるセンチメンタルな歌詞とともに鮮やかな感触を覚えた“どっかの土曜日”など、彼女のヴォーカリストの魅力と進化は、様々な楽曲の端々から感じさせられた。
続くMCではバンドメンバーを紹介し、バンマスのryo takahashiがトラックメイカーとして大きな寄与を果たした「ms」の冒頭を飾った“Lazy river”、“judenchu”を連続して披露。そして「11月にはchelmicoとしてライブするんだけど、本当に久々だからどんな気持ちになるのかな……レイチェルは泣くかもな〜。じゃあレイチェルの曲をやります」と、chelmicoのパートナーであるRachelをテーマにした“R”を披露。力強いアレンジとバンドメンバーとの混声コーラスなどドラマティックな展開で聴かせた。「ms」のラストを飾った“untitled”では、メランコリーな歌詞とアンニュイなヴォーカル、そしてアンビエンスなバンドサウンドの拮抗によって、この日のライブの中でも最も浮遊感のある楽曲展開で聴かせた。
そして東京公演のゲスト、シンガーソングライターのiriを呼び込む真海子。chelmico×iriとしてのライブイベント<SAKEBANIGHT>の開催だけではなく、普段から仲のいい二人だが、作品を共作したのは、MVも制作された「ms」収録の“じゃむ feat. iri”が初。「関係は長いけどついに一緒に作れたね(iri)」「歌いながら泣かないでね(真海子)」とじゃれあいながら披露された“じゃむ”は、iriと真海子のラップとヴォーカルが交錯するように掛け合い、肩を組みながらそして共に歌うコーラスでお互いの魅力が結着するという構成は、ライブにおいても感動的な感触があった。
ライブのラストは「Deep green」収録の“Contact TOSHIKI HAYASHI(%C) remix”。原曲よりシティ・ソウル感の強いアレンジのオケに、真海子の軽やかだが深みのあるヴォーカルが乗り、会場をピースフルな空気が包む。バンド隊の奏でる“Face It Boy It’s Over”の演奏に合わせてステージを降りる真海子に続き、その演奏が終わりバンドもステージを降りると、アンコールを促す拍手が会場から湧き上がる。
そして真海子と沼澤成毅は再びステージに登場し、舞台に据えられた1973年発売のリズムマシーン「Roland TR-66」の演奏ボタンを真海子が押し、“山芍薬”をリズムマシーンとキーボード、そして真海子のヴォーカルというミニマムな構成で披露。情感豊かな真海子の歌声がシンプルで牧歌的なオケと溶け合い、聴くものの心を緩やかに、柔らかにしていく。
歌い終わると再び登場したバンドメンバーとともに会場全体に挨拶し、「またなんかあったら連絡します。それでは、じゃあね」と挨拶し再びステージを後にした真海子。MCでも語られた11月にZepp DiverCityにて行われる、chelmicoとしては1年9ヶ月ぶりの有人ライブとなる「chelmicoの大きい音ライブ」では、MamikoとRachelとしてはどんな魅力的なライヴを見せてくれるのか、大いに期待させられる充実のライブだった。
Text:高木 "JET" 晋一郎
●大阪公演セットリスト
鈴木真海子 Billboard Live Tour 2021
2021.9.23 (祝・木) ビルボードライブ大阪
01. (intro)
02. Blue
03. 金木犀
04. mani
05. TIME IS OVER
06. いかれたBABY
07. 19
08. 空耳
09. どっかの土曜日
10. Lazy river
11. judenchu
12. R
13. untitled
14. じゃむ (feat. iri)
15. Contact TOSHIKI HAYASHI(%C) remix
16. (outro)
EN1. 山芍薬
Vo: 鈴木真海子 dr: ryo takahashi key: ESME MORI key: 沼澤成毅 gt: 近藤邦彦 ba: 井上真也
●東京公演セットリスト
鈴木真海子 Billboard Live Tour 2021 東京公演
2021.9.26 (日) ビルボードライブ東京
01. (intro)
02. Blue
03. 金木犀
04. mani
05. Lily
06. 19
07. 空耳
08. どっかの土曜日
09. Lazy river
10. judenchu
11. R
12. untitled
13. じゃむ (feat. iri)
14. Contact TOSHIKI HAYASHI(%C) remix
15. (outro)
EN1. 山芍薬
Vo: 鈴木真海子 dr: ryo takahashi key: ESME MORI key: 沼澤成毅 gt: 近藤邦彦 ba: 井上真也
Special Guest: iri
関連する記事
ニュース
2023/12/25
2023/12/20
2023/12/18
インタビュー
2023/03/23
2022/09/15
2022/05/26
2022/01/26
特集/レビュー
2023/04/03
レクチャー
2022/11/15
2022/11/01