12月21日、恵比寿ガーデンホール
鈴木真海子、アンコール公演『鈴木真海子ワンマンライブ-ENCORE-』が大盛況のうちに終了!(シークレットゲストでSTUTS&SIKK-O,Rachel登場)
鈴木真海子、アンコール公演『鈴木真海子ワンマンライブ-ENCORE-』が大盛況のうちに終了!(シークレットゲストでSTUTS&SIKK-O,Rachel登場)
2021/12/22
Photo by 横山マサト
開始時間に満席となった会場の灯りがすべて落ちると、ステージ上に置かれたランタンだけが光り、ほの明るい幻想的な雰囲気が会場を包む。そしてその灯りと客席からの拍手に導かれるように、この日のバックを務めるバンドメンバーと、真海子が登場。ビルボードでは白いシャツに黒のベストという出で立ちだった真海子だが、この日は背中が大きく開いた黒いドレス姿で登場。つなぎなどのカジュアルな衣装が多いchelmicoとは大きく異なった、大人っぽいエレガントな姿に、会場からはどよめきと、特に女性から「綺麗……」という、思わず口に出てしまったような小さな声が上がっていたのが印象的だった。
この日のライブは、アルバム「ms」のオープニングを飾る「Lazy river」、そして「judenchu」からスタート。アルバムの曲順通りの展開からは、真海子のアルバムに対する自信も感じさせられた。
観客が着座でのライブ、そして本人のドレッシーな装いもあってか「発表会感があるね」とコメントする真海子。舞台上に敷かれた絨毯や、テーブルと本、そして自宅から持ってきたという花瓶と一輪挿しなど、ステージの随所には真海子の日常が垣間見えるようなセットが置かれ、気取りすぎないアットホームな雰囲気も、彼女の持つ穏やかな人間性が現れているようだった。
続いて披露された2017年リリースの初ソロ作『Deep green』収録の「Blue」は、青を基調にしたシックな照明の中、「金木犀」はオレンジとグリーンの明かりに照らされてライブを展開する真海子。この日は照明にも非常にこだわりを感じさせられ、パフォーマンスを文字通り彩っていく。
そしてキーボードのESME MORIと沼澤成毅、ギターの近藤邦彦、ベースの井上真也、ドラムのryo takahashiで構成されるバンドメンバーを紹介し、「じゃあバンドに注目っていう曲やります」という言葉から、ティーンエイジャーのマインドを描いた「19」から、ryo takahashiのドラムブレイクにそれぞれのパートが乗り合うスタイルで展開した「空耳」と連続披露。特に「空耳」はバンドメンバーのソロと真海子のスキャットのセッションによって、有機体としてのライブ/バンドとのコラボが緊張感を持って展開され、音楽的なスリルを感じさせられた。
そのまま軽やかなファンクビートにラップが絡み、カラフルな彩りで聴かせる「mani」へ。そして「ここでシークレットゲストを呼びます、STUTSくんです!」と、今年放送のドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」の主題歌であるSTUTS & 松たか子 with 3exes「Presence」を制作し、大きな話題となったMPCプレイヤー/トラックメイカーのSTUTSを呼び込み、客席からは大きな拍手が上がる。そのまま「冬の曲やります」と、STUTS×SIKK-O×鈴木真海子名義でリリースされた「0℃の日曜」のイントロが流れると、「俺も混ぜてよ」と、ヒップホップユニット:TOKYO HEALTH CLUBのラッパー:SIKK-Oが登場。11月に行われたSTUTSのワンマン「90 Degrees」での共演や、「ONE PARK FESTIVAL 2021」など同じフェスに出た際にはコラボライブを重ねていたこともあってか、小気味よくセッションを展開していく3人。MCでは2017年にこの3人で制作したEP「ALLSEASON EP.」の制作秘話などをユルッと話すが、当時は現在ほど名前が高まっていなかった3人が、それぞれにキャリアを伸ばし、音楽シーンの中で確かな足跡を刻みながら、改めてコラボを展開する様は、感動的な光景でもあった。そして同EP収録の「Summer Situation」のイントロが流れると、座りながらもほとんどのオーディエンスが体を揺らし、この曲にかかる魔法を堪能した。
20分の休憩をはさみ、ベロア素材のドレスと赤いピアスを身に着け、ヘアアレンジも変えた真海子が再びステージに登場し、ポール・マッカートニー「Wonderful Christmastime」のカバーを披露。そして曲が終わると同時に、後半のサプライズゲストとしてRachelが登場し、会場からは万雷の拍手が上がる。そのままchelmicoのライブでもなかなか見られないchelmico「Give Me Love」に展開。この曲について「chelmicoの中で一番ダサい曲」とRachelが話せば、それに「でもバンドでアレンジして生まれ変わった」と真海子が返したように、バンドとのセッションによって新たな側面をリスナーに響かせた。そして「Deep green」収録の「Lily」がRachelと初共演され、曲が終わると「あとは楽しませてもらいます」とステージを降りた。
「もう一曲、カバーをします。電気グルーヴの『N.O.』」という言葉に続いて、ESME MORIによってリアレンジされた「N.O.」をパフォーム。エレクトロではなくバンド感を高め、原曲ではお馴染みのリフを中盤以降に持ってくるなど、様々な細工が施された演奏に対して、しっかりと歌い上げ、特にサビでは感情を強烈に込めて歌った真海子。そして丁寧に、情緒深く歌われた「untitled」、描かれる柔らかな光景を愛おしむように歌う「山芍薬」と、日常の中に生まれる感情や、心の奥底を描くような楽曲を展開させ、それに併せた真海子のボーカルの豊かさを聴かせたこの3曲の流れは、歌い手としての真海子の表現力の高さをしっかりと観客に印象づけた。そしてRachelに向けて作った「R」に続いて、「どっかの土曜日」を軽やかに披露し、「どうもありがとう、鈴木真海子でした」という言葉を残し、ステージを後にした真海子。
アンコールでは「最初に歌った『Lazy river』が悔しすぎたのでもう一回やります」と、「Lazy river」を再披露……するが、ライブ冒頭での披露と同じ場所を間違えてしまい「呪われた曲だね。でもこれがライブだね」と笑顔で話す真海子。そのまま、この日のMCでは一番の声量で「M-1の話する!?」と、錦鯉の優勝や、モグライダーの順位など、熱く語り始めた。
そして「先に謝っとくけどiriはこない」と宣言してから「じゃむ(feat. iri)」を歌い、「改めましてありがとうございました。大変だったね〜今年は。でももう少しだから走りきろうね。みんな体調に気をつけて。本当に2021年お疲れ様でした。みんな本当に頑張ったよね。来年も楽しみにしといて。連絡するから」という言葉から、「Contact TOSHIKI HAYASHI(%C) remix」でライブを締めくくった真海子。
11月に行われたchelmico2年ぶりの有観客ライブ「大きい音ライブ」で見せたような「chelmicoのMamiko」とは違う、ソロアーティストとしての鈴木真海子の魅力を遺憾なく発揮し、改めてソロ活動に、そしてそれがフィードバックするであろうchelmicoの活動の両方に期待させられる、彼女の未来を感じる充実のライブだった。
尚、大盛況のうちに終了したライブのセットリストのプレイリストも公開されているので、ぜひチェックしてほしい。
Text by 高木“JET“晋一郎
Photo by 横山マサト
【鈴木真海子 ワンマンライブ-ENCORE- セットリスト(2021.12.21)】
https://mamikosuzuki.lnk.to/setlist1221
01. Lazy river
02. judenchu
03. Blue
04. 金木犀
05. 19
06. 空耳
07. mani
08. 0°Cの日曜
09. Summer Situation
10. Wonderful Christmastime
11. Give Me Love
12. Lily
13. N.O.
14. untitled
15. 山芍薬
16. R
17. どっかの土曜日
EN1. Lazy river
EN2. じゃむ (feat. iri)
EN3. Contact TOSHIKI HAYASHI(%C) remix
Vo: 鈴木真海子
dr: ryo Takahashi
key: ESME MORI
key: 沼澤成毅
gt: 近藤邦彦
ba: 井上真也
関連する記事
ニュース
2023/12/25
2023/12/20
2023/12/18
インタビュー
2023/03/23
2022/09/15
2022/05/26
2022/01/26
特集/レビュー
2023/04/03
レクチャー
2022/11/15
2022/11/01