ヤマジカズヒデ（dip）

小林祐介（THE NOVEMBERS）

木下理樹（ART-SCHOOL）

勝井祐二

dipのフロントマンとして知られるヤマジカズヒデの50歳の誕生日を祝うためのバースデーイベントが下北沢で3日間に渡って開催される。イベントには木下理樹（ART-SCHOOL）や小林祐介（THE NOVEMBERS）といったヤマジの友人たちが参加予定。

なお、3日間すべてに来場した人にはヤマジから感謝の気持ちを込めた秘密のCD-Rをプレゼントされるという。

以下、今回のイベントの御意見番である小野島大氏（音楽評論家）からのコメント。

2016年3月25日。ヤマジカズヒデが50回目の誕生日を迎えるという。

実に感慨深い。まさかあのヤマジが、50歳を超えてもなお、どころか過去にないぐらいエネルギッシュな音楽活動を繰り広げているなんて、かつては想像もつかなかった。叙情的でエモーショナルなシンガー／ソングライターとしても、サイケデリックなギタリストとしても、オルタナティブなロックミュージシャンとしても、類い希な才能を持ちながら、ピンと張り詰めたロープの上を歩くような緊張感と危うさを常に感じさせた男が、ここ数年はその音楽的な閃きや美しさをそのままに、よりアグレッシブで多面的な音楽活動を安定して繰り広げている。ホームとしてのdipを始め、uminecosounds、qyb、ZOMBIE DON’T RUNなどのバンド活動、ソロ、そしてジャンルを問わぬさまざまな腕利きミュージシャンとの気ままなセッションなど、かつてのヤマジでは絶対考えられないような精力的で開かれた動きを見せるようになったのだ。

そしてこのたび開催されるヤマジ生誕50年を記念してのイベントは、そうしたヤマジのヘルシーな現在形を余すところなく示すものになりそうだ。おなじみのレギュラーバンドに加え、この日初めて手合わせする音楽家たちとの丁々発止のインタープレイ、そして秘話満載のトークショーまで、絶対に見逃せない内容である。

2005年9月、ぼくはヤマジを招いてのトークショーを企画したことがある。案の定ヤマジは開演時間に2時間遅刻してきた。立錐の余地もない超満員の会場で「いつものこと」と言わんばかりにじっと待っていたお客さんを思うと、今でも申し訳ない気持ちで一杯になる。

あれから10年。ようやく借りを返す時がきた。我らがヤマジの50歳の誕生日を祝いつつ、たっぷりと楽しんでください。

小野島大