EDP(EXITTUNES Dance Production)所属の4人のDJ・クリエイターが語る

ズーム「ARQ AR-96」試奏インタビュー
【Ryu☆、korsk、かめりあ、P*Light 編】

ズーム「ARQ AR-96」試奏インタビュー【Ryu☆、korsk、かめりあ、P*Light 編】

2016/09/29


今までに類のない独自の円型フォルムと最先端のダンスミュージックサウンドで注目を集めるズーム「ARQ AR-96」。第1回目のAZUMA HITOMIさんに続き、今回はこの話題の製品をEDP(EXITTUNES Dance Production)所属の4名(Ryu☆、korsk、かめりあ、P*Light)に試奏してもらい、その印象や活用法を語ってもらった。国内はもちろん、海外でも活躍する人気DJ/クリエイターの彼らの反応は…!?
※写真 L to R:P*Light、かめりあ、Ryu☆、korsk
 

 


Ryu☆

Ryu☆


 

──まず始めに「ARQ」の第一印象はいかがでしたか?

korsk:見た目がポップで、キャッチーで可愛いと思いました。LEDも色々なアニメーションがあって、動きがあるのがいいですよね。暗いところで持ったときにかなり映えそうです。

Ryu☆:写真で見るより、実際に見た方が美しく奇麗ですね。楽器が光ると言えば、以前にヤマハさんの「TENORI-ON」というのもあったと思いますが、それとも違って、なんかすごくワクワク感があります。

かめりあ:僕は、最初ARQはエフェクター的なものなのかなと思っていたんです。でも、実際に見てみると“生み出す系”というか、イチからちゃんと音楽を作れそうな製品なんだなと。

──P*Lightさんは?

P*Light:最初は「これは何なんだろう!?」と(笑)。正直、実物を見る前までは“おもちゃ感”もあったんですけど、いざ実物を見てみると作りもしっかりしていて。色々な面で驚きました。

かめりあ

かめりあ

──実際に試奏してみて、サウンドや操作性はいかがでしたか?

korsk:サウンドは、僕やRyu☆さんが昔にイジっていたグルーヴボックスに比べて格段に良いと思いますし、プリセットに入っているジャンルも幅広くて面白いです。基本的にはビートミュージックというか、ストリートっぽいノリの音が多い印象で、最先端の音楽ジャンルも多くて勉強になりますね。

Ryu☆:僕は昔、ローランド「MC-303」とかで打ち込みをしていたこともあったのですが、それと比べると画面もカラーで見やすいし、パターンも今風でいいですよね。

かめりあ:パターンに“Future House”とか入ってますしね。

Ryu☆:そうそう。

かめりあ:あと、キャプチャーとか、サンプリングできる部分にも可能性を感じますね。

P*Light:さっき、かめりあくんとも話したんですけど、DAWで作ったものをARQに持って来たり、反対にDAWに持っていったりも出来そうですよね。ARQは良い意味で大味というか、DAWでは作れないグルーヴがあると思うし。だからこそ、ARQを曲作りに活かせるんじゃないかなと思いました。

かめりあ:ACID系の曲とか作ってみたいよね。

P*Light:うん。エフェクトとかも多彩だし。曲作りに詰まったときに、このパンチのあるARQを使いたいかな。

korsk:PCでの曲作りは、どうしても画面ばかり見ちゃうから、インスピレーションを湧かすにはハードのマシンの方が良いときもあるよね。

P*Light:そうですね。光るからテンションも上がるし。

korsk

korsk

──DJなどでも「ARQ」を使ってみたいですか?

korsk:仕込みをしっかりやれば出来そうですね。でも、単純にLEDが奇麗なので、会場に向かって投げたくなっちゃうかも(笑)。

Ryu☆:アハハ。でも、7万円なんで返してもらわないといかんね(笑)。

──「ARQ」には、自身の曲も読み込めますよね。そういった点はいかがですか?

Ryu☆:その点もいいですよね。今すぐにこのARQで何かをするとしたら、僕なら自分の曲をSDカード経由で取り込んで、リングを回しながらのフィルタープレイだと思います。とにかくお客さんから見て“光る”ことがアドバンテージだし、フィルタープレイならばお客さんも何をしているかわかりやすいと思います。

──かめりあさんは何か思い付きましたか?

かめりあ:例えば、サンプルを読み込んで、楽曲を構築する手順を見せるDJパフォーマンスとか。海外のマデオンの手法に似てますけど動画で撮って、それを見せるのもいいと思いますし。

──P*Lightさんはどうですか?

P*Light:そうですね。僕はダンサーとかに持たせても面白いかなと思いました。これありきのパフォーマンスというか。それにバンドとかと一緒に使ってもいいだろうし。型にハマらない使い方の方が面白いかもしれないですね。

korsk:リングが取り外せるっていうのがいいよね。

P*Light:そうですね。あと、LEDのアニメーションの設定も細かくできるので、例えば、DJの後ろのスクリーンとかにも同じ映像を出すとか。照明とかも含めて同期させるとか。そういったことをすれば、パフォーマンスとしてのクオリティも高いものができそうです。

P*Light

P*Light

──なるほど。では、あらためて「ARQ」はどんな人にオススメだと思いますか?

korsk:直感的に操作できるという点では初心者の人にもオススメだと思いますし、ストリート系の人にも良さそうですね。

Ryu☆:ストリートだと電源の問題とかあるけど、でも、リングは充電で動くし。僕もパフォーマンスしたい人にオススメだと思います。

──かめりあさんはいかがですか?

かめりあ:そうですね。もちろん、音楽をじっくり作っている人にもオススメですけど、例えば音楽以外のパフォーマーが使っても面白いんじゃないかな。僕の知り合いで、複数のリングを回すパフォーマンスをしている人がいるんですが、そういった人が、パフォーマンスの一部としてARQの音を使う手もありなんじゃないかなと。とにかく、ARQを使えば面白いことができそうですよね。

──では、最後にP*Lightさんはどうですか?

P*Light:やっぱり運転手の方にオススメですね(笑)。

Ryu☆:ハンドル回したらフィルターかかっちゃうじゃん(笑)。

P*Light:冗談ですけど(笑)。僕はこの「ARQ」を最初に見たときに、“これはやっぱりライブやDJパフォーマンスで使いたいな”と思ったんです。で、今日実際に触ってみて、音楽的な使い方ができることが実感できたし。DJって、実はパフォーマンスが地味になりがちで、日本のようにDJ文化がそれほど浸透していない国だと、まだまだお客さんにもパフォーマンスが伝わりにくいところもあって。そんな中で、このARQの「リング」を活用すれば、他のDJとも違った見せ方が出来るだろうし、ARQのアイデンティティーはやっぱり「リング」の部分にあると思うんですよね。そういった意味では「ARQ」から新しいパフォーマンスが生まれるかもしれないし、そんな新しいことをやってみたい人に「ARQ」はオススメだと思います。

 

プロフィール


Ryu☆(プロデューサー、クリエイター、DJ)

2000年、コナミの音楽ゲーム「beatmania IIDX 3rd style」の公募に送った楽曲が同ゲームに採用され、以来「beatmania」シリーズの主力トラックメーカーとして活躍。BEMANI各機種への楽曲提供の他、BEMANIレーベル「beatnation」の一員としても活躍している。2009年にRyu☆名義の1stアルバム「starmine」を発表して以来、ゲームのサントラを多数手がけている。またその一方でプロデューサーユニット、Another Infinityを結成し「beatmania」シリーズに楽曲を提供するほか、テレビアニメ「FAIRY TAIL」のオープニングテーマ「永久のキズナ」、エンディングテーマ「Glitter」、アニメ「ゆゆ式」エンディングテーマ「Affection」を提供している。2016年2月、ベストアルバムとして「Ryu☆BEST -STARLiGHT-」「Ryu☆BEST -MOONLiGHT-」の2作品を同時リリースした。また自身のライブ、PV制作など次世代のエンターテインメントクリエイターとして活動の幅を広げており、2016年4月「日本のダンスミュージックを世界に」をコンセプトに自身企画主宰のレーベル・プロダクション「EDP」を設立。海外も含めた幅広い展開を行っている。

【Ryu☆関連サイト】
http://edp-edp.com/
http://djryu.jp/
https://twitter.com/RyutaroNakahara
https://www.facebook.com/ryutaro.nakahara


kors k(プロデューサー、クリエイター、DJ)

2000年、beatmania IIDX 4th Styleにて弱冠16歳でデビューを飾り、9th Style以降レギュラーメンバーとして楽曲を提供し続ける。多彩なスタイルのトラックメイキングとオリジナリティを兼ね合わせポテンシャルを発揮。BEMANIシリーズを通して新しい音楽、トレンドなカルチャーを紹介している。ゲーム以外の様々なシーンでも活躍しており、楽曲のクオリティやパフォーマンスなどにおいて国内外から高い評価を得ている。2014年メジャーデビューを果たす。自身のレーベルS2TB Recordingを主宰している。

【kors k関連サイト】
http://korsk.jp/
https://twitter.com/S2TB_korsk

 

Xenna EP2 -Dark One-
Designed by FAVGEAR

価格:1,500円
品番:S2TB Recording | S2TB-0017
特設サイト:http://korsk.jp/s2tb-0017/

/

The 4th EP2
Designed by FAVGEAR

価格:1,500円
品番:S2TB Recording | S2TB-0018
特設サイト:http://korsk.jp/s2tb-0018/

 

 


かめりあ(音楽クリエイター、ボカロP、DJ)

1992年生。2003年、弱冠10歳から母親のPCでDTMを始める。 電波ソングやポップミュージック、ロック・メタル、EDM、ハードコア、ジャズ、民族音楽、ラテンなどの広い音楽ジャンルを制作、 インスト・歌ものを問わず、クラブミュージック、VOCALOID楽曲、東方アレンジ、リミックス、ゲームBGM等を広範囲に手がける。音楽ゲーム「SOUND VOLTEX」で行われた公募にて楽曲を複数曲収録され、とくに同ゲーム内で行われたKAC(KONAMI Arcade Championship)2013オリジナル楽曲コンテストでは 最優秀賞を獲得。またbeatmania IIDXシリーズなどで活躍するクリエイターが多数所属している「beatnation Records」 から、新たに設立された「beatnation RHYZE」にメンバーとして参加し、REFLECBEATシリーズやBeatmania IIDXシリーズ、jubeatシリーズ等に楽曲を提供している。2014,15年には上記beatnation RHYZEのメンバーとして、さいたまスーパーアリーナ、ZEPP Divercity、豊洲PITにてDJ出演を行った。2016年には人気ボーカリストkradnessとのユニット「Quarks」を結成、5月にはワンマンライブを行うなど活動の幅を広げつつ、 7月には自身初となるメジャーソロアルバム「MEGANTO METEOR」のリリースを発表した。男性ボーカロイド「VY2V3」公式デモソングの制作、「蒼姫ラピス生誕祭」でのDJ出演、「初音ミクのミクミクメイクミク」にてED楽曲を提供するなど、ボカロPとしても活動が多く、 VOCALOID楽曲としては「システマティック・ラヴ」「Fly to night, tonight」「ココロの質量」など、エレクトロ~ダブステップ系の楽曲を主に投稿する。同人音楽フィールドでは(表記上の理由から)CamelliaとしてAlstroemeria Recordsなどへ幅広く楽曲を提供する。アイドル「私立恵比寿中学」(編曲)、「METROPOLIS」(作編曲)、「末広アンテナ」(編曲)で参加。

【かめりあ関連サイト】
https://cametek.jp
https://twitter.com/cametek

MEGANTO METEOR/かめりあ
ジャケットイラストレーター:雅

発売元:EXIT TUNES /販売元:ポニーキャニオン
価格:¥2,300 (本体)+税
品番:QWCE-90001
特設サイト:http://camellia.extsm.com/#

 

 

 

 


P*Light(音楽クリエイター、DJ、リミキサーetc)

2007年から本格的に音楽制作を開始。トラックメイカー、DJ、リミキサー等、活動は多岐にわたる。「形に囚われない、ポップで透明感のあるサウンド」をコンセプトにHAPPY HARDCORE、UK HARDCOREを中心に制作しており、一度聴いたら忘れないキャッチーでポップなP*Lightサウンドを生み出している。また、自身のレーベル「pichnopop」での精力的なリリース、KONAMI BEMANIシリーズへの楽曲提供の他、beatnation RHYZE、HARDCORE TANO*Cでの活動等、今後の活躍が益々期待されている。

【P*Light関連サイト】
https://twitter.com/P_Light/
https://soundcloud.com/p_light
https://www.youtube.com/user/pichnopop

P*Light

Double Universe/Hommarju×P*Light
ジャケットイラストレーター:はちぷよ
Designed by TOHRU MiTSUHASHi

価格:1,512円
品番:pichnopop | DUCD-001
特設サイト:http://double-universe.pichnopop.net/#top

 

 

 

 

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ズーム「ARQ AR-96」

【主な仕様】
・パッド数:96個
・LED数:160個
・音質:24ビット/44.1kHz
・最大同時発音数:16
・最大同時使用インストゥルメンツ数:33
・シーケンサー:最大ステップ数=32、テンポ=40〜250BPM
・ルーパー:サンプリング周波数=16ビット/44.1kHz、メモリ=内蔵(32MB)、記録媒体(SD/SDHC/SDXC)


【電源/サイズ】
・電源:内蔵電池(リチウムポリマー充電池)、
外部電源(別売ACアダプター/AD-14)
・外形寸法:
Base Station=260(W)×64(H)×260㎜(D)
Ring Controller=280.5(W)×33.5(H)×280.5㎜(D)
・重量:
Base Station=990g
Ring Controller部=540g


■価格:オープンプライス
(¥67,000前後)

メーカー詳細ページ

「Base Station」について

ARQ AR-96の「Base Station」には、468種類のPCM波形と70種類のシンセ波形を内蔵したパワフルなサウンドエンジンを搭載しています。また、最大5系統のDSPエフェクトを同時使用可能で、楽曲を再生しながらリアルタイムに利用できます。さらに、ステレオライン出力と専用ボリューム付きヘッドフォン端子に加え、ループ素材を録音できるステレオライン入力も装備。WAV形式のループ素材を取り込めるSDカードスロットを備え、シーケンスデータや音色キットのバックアップ保存、本体のファームウェア・アップデートにも対応。パソコン接続用のUSBポートも用意されています。

「Ring Controller」について

着脱式の「Ring Controller」は、「Base Station」だけでなくMac/iOS機器とBluetoothでワイヤレス接続して、多機能なMIDIコントローラーとして使用できます。ベロシティセンスおよびアフタータッチに対応した96個の自照式ドラムパッドを搭載し、リアルタイム演奏やステップ入力が快適に行なえます。
また、パッド演奏を行なうインストモードでは、キック/スネア/ハイハットなど最大32個の異なる音色を割り当ててリズム演奏が行なえる「PADレイアウト」と、1つの音色に音階を付けてキーボードのようにメロディを演奏できる「KEYレイアウト」を使い分けることができます。さらに、3軸加速度センサーを内蔵し、コントローラーの傾きや回転させる動作でエフェクトパラメーターをリアルタイムに制御できます。内蔵リチウムイオン電池で動作し、ベースステーションに設置すると自動的に充電を開始します。

その他の「ARQ AR-96」関連記事

「ARQ AR-96」では、どのようなサウンドを鳴らすことができるのか!? TuneGateでは動画付きで特集記事も公開しています。ARQ AR-96の基本的な使い方を知りたい人は、ぜひともチェックを!

解説記事はこちら

AZUMA HITOMI(アズマヒトミ)

人気の宅録女子「AZUMA HITOMI」がARQ AR-96を試奏。曲作りとパフォーマンスの両サイドからARQの魅力を語ってくれました。

(プロフィール)
東京生まれのシンガーソングライター/サウンドクリエイター。2011年にメジャーデビュー。2015年、矢野顕子のアルバム『Welcome to Jupiter』にトラックメイカーとして参加する。最新作は2014年に発表されたアルバム『CHIRALITY』。2016年よりガールズ・スリーピース・ロックバンド 「サンナナニ」 のボーカル&シンセベースとしても活動している。


試奏インタビューページはこちら

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