「ビクタースタジオ」のリスニングルーム「EX Room」の “音場” が持ち出せる新発想のヘッドホン
あのビクタースタジオの音場が眼前に現れる! 魔法のヘッドホン「WiZMUSIC90」体験レポート
あのビクタースタジオの音場が眼前に現れる! 魔法のヘッドホン「WiZMUSIC90」体験レポート
2017/07/14
WiZMUSIC90 体験レポート!
スピーカーと同じような聴こえ方を実現するために
個人個人の耳の音響特性を正確に測定
さて、ここからは私自身が実際に体験した「WiZMUSIC90」の測定過程をご紹介しよう。まず、測定が行われるビクタースタジオ「EX Room」は、PMC(音楽制作の現場で活躍している著名な英国ブランド)製スピーカーによって5.1chシステムが構築された、ステレオ/マルチチャンネル両対応のモニタールーム。スピーカー設置場所の壁面が専用加工されていたり、スピーカー台をオーダーメイドしていたりと、音質のために全てをとことん追求した作りとなっている。ビクタースタジオエンジニアグループを率いる秋元(あきもと)氏いわく「音質と音場の両面でとことんこだわったためコストがかかりすぎて経理担当にイヤな顔をされた」ほど突き詰めた空間だということだ。
そんな「EX Room」のスピーカーでまず、聴き慣れた楽曲をいくつか聴いてみる。サイズは、音質、音場ともにこだわった空間だからか。表現力のあるサウンドを聴かせてくれる。音色傾向は至ってニュートラル(スタジオなので当然といえば当然だ)。また、ステレオ再生なので鳴っていないはずのセンタースピーカーから音が出ていると錯覚してしまうくらい、ピシッとして揺るぎの定位感が再現されている。何よりも、細かいニュアンスまであまさず音が伝わってくる、わかりやすさがいい。このあたりは、さすがビクタースタジオといえる部分だ。
専門のスタッフがひとりひとりの耳の音響特性を計測を行う
この音をしっかり味わえただけで大満足してしまったが、本来の目的を思い返し、続いてヘッドホンの測定を開始。同じ曲をヘッドホンで聴きつつ、専用マイクを使って測定を行う。測定マイクがズレないよう頭を振ったりはできないが、思ったよりも(オーナーとしては負担の少ない)楽な工程だ。
人の耳は外形だけでなく内部の形状もいろいろで個人ごとに聴こえ方が異なる
ビクタースタジオ「EX Room」で聴く
生き生きとした音楽がヘッドホンから聴こえてくる!
そして、測定した結果を反映させ、EXOFIELDのオンオフをチェック。なんと、EXOFIELDをオンにすると、まるで目の前のスピーカーから音が出ているかのような、まさにスピーカーそのもののようなサウンドが聴こえてきたのだ。正直、これにはビックリした。「EX Room」のPMCスピーカーと全く同じ定位と音色を再現してくれているのだ。まるでスピーカーそのものが鳴っているかのよう。ピアノの響きやヴァイオリンのボーイングの様子などがしっかりと伝わってくる、きめの細かい、それでいて抑揚に富んだ表現。そんな活き活きとしたサウンドが、存分に楽しめるのだ。
確かに、低域に関してはPMCの絶対的な物量と空間そのものの響きが不足しているため、全く同じとまでは行かないが、中高域に関してはそのものの音色を再現しているし、何よりも「EX Room」ならではの揺るぎない定位感や広がり感、抑揚に富んだサウンド表現をパーソナルスペースに持ち帰ることができる点が素晴らしい。
断言しよう。確かに「WiZMUSIC90」は高価だが、それに見合う画期的なコンセプトとサウンドを持ち合わせている、唯一無二の素晴らしいパッケージだ。ビクタースタジオ「EX Room」のサウンドを持ち帰れるというスペシャルさや、“オーダーメイド”計測の手間、さらにビクタースタジオを自分の目と耳で体験できる“オマケ”まで含めると、大いに魅力的な製品といえる。特に、ビクタースタジオでレコーディングされた愛聴盤を持つ人は、是非とも体験して欲しい逸品だ。
野村ケンジ=プロフィール
ヘッドホンなどのレビューを中心に幅広いジャンルで活躍するAVライター。ハイレゾ音源についても様々な関わりを持ち、アニソンレーベルのスーパーバイザーなども務めている。TBSテレビ開運音楽堂「KAIUNハイレゾ」のアドバイザーとしてレギュラー出演するなど、近年は活躍の場をさらに広めている。
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